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親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起原に迫る みんなのレビュー

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.2

評価内訳

19 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

誠実さが生み出す臨場感

2004/09/26 10:37

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書の表紙の折り返しには、《スリリングな知の冒険が始まる》とある。本書は、その紹介文に恥じない情熱に満ち溢れた姿勢で、人間の親指はなぜ太くなったか、というアプローチを行っている。
 自称「わが国で稀な独立研究者」が議論のスタートとするのは、マダガスカルのアイアイの指である。アイアイの中指は、イラストにあるとおり極めて細長い。また、親指が太い。なぜアイアイがこのような指の構造をしているかというと、それは主食に関係がある、と著者は言う。アイアイはラミーと呼ばれる巨木の果実を主食としており、太い親指と肉球はそれを掴むため、細い中指はラミーの種子の胚乳を取り出すためにこの形になった。また、主食は、手の形だけでなく歯の形にも影響を及ぼす。
 本書は、「棲み分け」によって生態を決定する旧来の仮説を否定し、「主食が霊長類の手と口の形を決定する」という、著者が言うところの「手と口連合仮説」によって霊長類の謎を解き明かす。著者は、実際に観察対象であるサルの生息場所に赴いて丹念に主食を調査し、その主食がいかに手と口の形に影響を与えたか、ということを、これまでの「定説」などを批判しつつ、読者に納得のいく形で提示する。また、著者が観察対象を調べに行ったり、京都大学霊長類研究所などに取材に行くシーンの記述は、読者に臨場感を味わわせてくれる。
 もちろん、「手と口連合仮説」に厳密に当てはまらない霊長類もいる。しかし、このような種族を取り扱うときにこそ、「例外」という聖域に逃げない著者の誠実さが光る。
 そして本書のクライマックスは、「手と口連合仮説」から現在の人類(ホモ・サピエンス)を説明するところである。これまでの人類学は、人類は二足歩行をすることによって前足(手)が自由に使えるようになり、知性が発達した、と主張してきて、そう思っている人も少なくないだろう。著者にとってはそれも批判の対象になる。著者によると、類人猿の類は最初から二足歩行に適した体格であること、初期人類の手と口は骨を主食とするのにふさわしい形をしていることなどを指摘し、さらにアウストラロピテクスは人類の祖先ではないのではないかという一部の学説に言及する。
 まさにスリリングな知の冒険。「今時の若者」の行動をサルの生態(しかしそれは厳密な観察に基づくものではない)に当てはめて「日本人は「退化」している!?」などと煽る輩とは格が違う。
 本書の態度で尊敬に値するのは、まず、先達を批判しても、それに対する敬意を失わないことである。また、多くの人たちは人類を進化の最頂点と考え、他の種族を、それがたとえ霊長類であっても未熟なものであるとみなしてきたが、著者は、今ここにいる種族の全てが進化の最先端なのだ、という態度でサルに接している。
 本書全体を貫く臨場感は、まさに著者の誠実さが生み出していると言ってもいい。観察対象に対する畏敬の念こそが、本書の魅力なのだ。そしてこれが、学問のあるべき姿であるかもしれない。少なくとも俗情に迎合し「善良な」人々に薄ら気持ちいいカタルシスを与える「学問」はいらないのである。

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紙の本

二足歩行を考える

2023/07/27 11:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は2003年の発行なのだが、大分長らくの積ん読状態から引き出し、読むことになった。これがおもしろく興味深いものとなった。学術的な詳細な説明は素通りしても直立二足歩行に至る推論を詳しく述べている。
 直立二足歩行に至ってからの人類の進化と発展の歴史については分かってきているようだが、どうして、どのようにして二足歩行に発展していったのかについては、これまでも多くの研究者が論陣を張っているものの、まだ真相はよく分かっていないらしい。
 著者の主張する「口と手連合仮説」は合理的だと感じさせてしまう。生きていくため、生存していくためには食べることが必要だがこの点に焦点を当てた論拠なのでそう思うのかも知れない。
 しかし、本書が発表されてから20年が過ぎており、この問題に関する最近の知見はどうなっているのだろうか?

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紙の本

推論の過程がスリリングで面白かった。

2004/02/24 23:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「直立二本足歩行の起源に迫る」という副題に惹かれて読み始めたのだが、なかな人類のご先祖様まで話題がいってくれなくて、前半三分の二ほどははもっぱら原猿類とか類人猿とかの食性とか習性の話しが延々と続く。で、これが退屈であったかというとそんなことはまったくなく、むしろ、現在の地球上にこれほど多種多様なお猿さんがいて、それぞれの環境に適応した食物を食べ、暮らしているのか、という、新鮮な驚きがまずある。一口に「サル」といったところで、ネズミに近いサイズのものからゴリラ、オラウータンサイズのものまで、また、食物も、草食、虫食、雑食等、種類も食性もきわめて多岐にわたる。
 著者の島氏は、サルの主食や移動方法と、手と口の形状の関連性を詳しく調査し、「口と手連合仮説」を提示する。その仮説と、初期人類がいた当時の環境、とくに食物のニッチ(同じ食物を競合して食べようとする他種の動物がいないのか)などの条件も詳しく検証し、結果、かなり妥当と思える結論を提示する。
 盲点というか、「そうか。たしかにアレなら、他の動物と取り合うことはないし、物を掴んだり道具を持ったりする形状の手が必要になるし、退化した犬歯とエナメル質で覆われた臼歯の説明もつくなぁ」と、思わず納得のいく仮説でした。

酩酊亭亭主

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紙の本

ああ,私のこの手はあれを食うためにこんな形をしているのか!!

2003/12/18 10:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

 マダガスカルに住んで「アイアイの謎」などもモノしている自称「日本で唯一の独立系霊長類学者」である著者が,霊長類の歯や手の形態と主食の間には強い関係があるという持論「口と手連合仮説」を駆使して人類の直立二足歩行の謎を解明する意欲作である。
 いや面白い面白い。門前の小僧の受け売り,道往くヒトをつかまえて聞かせてやりたいような話である。話はまず,著者専門のアイアイから始まる。このマダガスカルにしかいない原猿類の手は,中指が異様に細くそのうえ中指と薬指が上下左右に自由に動く「自在継ぎ手関節」を持っている。著者はここにチャールス・エルトンの「ニッチ概念」を援用,アイアイの手の形はこの動物が固いラミーの実を食べるというニッチを占めるために進化した結果であるとし,「口と手連合仮説」を提唱する。
 こっからがスゴい,多少牽強付会気味かなどと自嘲しつつ,代表的な原猿類の歯や手の形態をこの仮説に基づいて説明し,返すカタナで本丸・真猿類(ヒトもこの仲間)に切り込んで行くのだ。ニホンザルの指が我々のそれよりも細かいモノを確実につまめるようになっている秘密を暴き,なぜゴリラやチンパンジーは拳固で歩くのかを解明する。そして遂に最大の謎,ヒトの手はなんでこんな形をしているのかに迫る………。気がつけば来年はサル年でもある。そのスジ(どのスジだ?)の方々は是非ご一読を。

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アイアイの特徴と人類の二足歩行の起原をつなぐ見事な論理

2003/12/08 20:32

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投稿者:上原子正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 傑作と言っていいだろう。本書は、現生霊長類の生態および形態の特徴と、人類が二足歩行をするようになった理由という、一見離れた2つの話題を見事につなぐものである。中心となる概念は、著者の手になる「口と手連合仮説」だ。

 口と手連合仮説は、霊長類の歯と手の形、そして主食の間に強い関係があると主張する。著者はこの視点をマダガスカルでのアイアイの調査から得た。アイアイの手の形は特異で、特に中指は針金のように細長い。歯もリスのようで、霊長類では特殊なものである。それは何故か。著者は原因がその主食にあることを発見し、さらに他のサルを調べることで、この関係が霊長類一般に存在すると確信する。これが本書前半の内容だ。

 口と手連合仮説には、形は知られているが生態のわからないサルの主食を推理する力がある。そのようなサルとして、後半では初期人類が取り上げられる。著者は初期人類の主食に関する既存の説を検討し、70年代に発表された1つの説に注目、それを口と手連合仮説と組み合わせ改良することで初期人類の主食を見い出し、その仮定の上に、人類が二足歩行を始めた理由にまで到達する。

 本書は一般向けの解説というより専門家向けの論文だが、説明がわかりやすいため一般書として問題なく成立している。性質上、妥当性の判断にはピアレビューが必要だが、専門外の私が見た限り議論はほぼ健全である。ところどころで論理が怪しくなるが、それらの妥当性は議論の本筋に影響を及ぼさないと思われるので、問題はないだろう。個人的には、初期人類に関する議論はゆるくならざるを得ないと思っていたので、本書には認識を改めさせられた。

 本書の勝因は議論のスタイルだろう。対象をよく観察し、よく考え、一般性の高い結論を引き出し、それを武器にさらに難度の高い問題に挑戦する。こうすることで地に足の着いた議論ができ、抽象度の高い話題でも読者を放り出さずにすむ。見事だ。

(上原子 正利/bk1科学書レビュアー、km_bk1@mail.goo.ne.jp)

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おさるさんのおはなし

2004/05/31 20:29

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投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る

せかいには

いろんなおさるさんがいる

ヒトより大きなゴリラから ネズミのように小さなサルまで

みんなサル


いろんなおさるさんは

それぞれにいろんなものを食べるそうだ

くだものの好きなサル はっぱの好きなサル 虫の好きなサル


それぞれに いろんなものを食べる

それぞれに いろんなおさるさんは

それぞれに おもしろいかたちの いろんな手をしている

 
それは

それぞれに食べたいものを食べられるように

進化したんだって


それぞれに いろんなものを食べる

それぞれに いろんなおさるさんは

それぞれに おもしろいかたちの 歯ならびをしている


それは

それぞれに食べたいものを食べられるように

進化したんだって


じゃあ

きみの手は なにを食べたがっていたのかな

きみの歯は なにを食べたがっていたのかな

だって 

にんげんもむかしはおさるさんだったもの


なんだったろう

なんだったろね


おさるさんに聞いてみようか

そうしましょうよ 

そうしましょう

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2004/10/09 22:08

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2007/07/27 18:01

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2011/01/05 17:54

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2011/03/30 19:59

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2018/10/23 10:55

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2019/06/03 23:59

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