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みんなのレビュー790件

みんなの評価4.2

評価内訳

754 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

数学を勉強しようとしている中高生に読ませたい

2008/02/07 01:38

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:redhelink - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私は数学が好きでした。でも日本史にも興味があったので文系へ行ったので3Cまでやりませんでした。大学でも数学系の授業は教職関係程度でした。それでも懲りずに授業を受けて、どのように教えたらいいのか、○○の単元では△△がポイントなんだな、と思いながらノートを作った記憶があります。

 そんな淡い記憶を蘇らせてくれた作品でありました。この本は勿論数学についても触れられています。そしてそれは読み終えたとき、数学が好きな人も、数学が好きでない人にも読んでほしいという作者の(私が勝手に感じ取った)意図があるように思いました。決して数学の『○○の公式』について熱く語っているとかそのような学術書ではないけれど、つい調べたくなる書き方がされていることにも注目してほしいです。

 登場人物は、80分しか記憶がもたない「博士」、家政婦として派遣された「母」、母の息子で博士がつけたあだ名が「ルート」の三人で構成されています。登場人物が少ないのは読み手にとっては、一人ひとりにより注目できるのでいいことだと思います(勿論多いものはそれはそれでいいところがありますが割愛)。この本では特に感情移入がしやすいことが特徴ではないでしょうか。博士の記憶のリズムをつかむまでの母の試行錯誤、家政婦規則に反するけれど、人道的に後回しにしたことで色々指摘されるやるせなさ、突然の雇用先変更などがあります。人と接していくことの難しさを考えさせられた場面でもありました。将来の自分の職業を思うと憂鬱です(笑)。

 また個人的に印象に残ったのは、博士がルートに数学を教えるときの姿勢や褒め方でした。ヒントの与え方、考え方について、答えが導き出されたときのリアクションや賛美の仕方は、私にとっては授業のうまい先生の学術書でも読んでいる気分でした。私はまだまだ拙い教え方しかできないので、生徒一人ひとりに教え方を使い分けることがうまくできませんが、そのようなこともしなければならないとか、考えるときの間の与え方や褒め方には、本文で描かれているような方法もあるのだと博士に教えられたのが印象に残りました。

 これを書いている時点では、本屋大賞を2冊ほど読んだことになります。『東京タワー』と共通して言えるのは、「いい話(感動もの)」であったということです。本屋大賞(票を入れた書店員)が今後もこのような話ばかり選ぶと、読者は本屋大賞そのものに対して飽きてくるのではないかとも思ってしまった私がいます。感動ものは確かに売れます。しかし、言葉はストレートにしか表現できないものではありません。たまには悲しい話、あるときは強烈な印象を与える話(例としては『バトル・ロワイヤル』なんかがそれにあたると思います。)を選ぶことで、

本屋大賞=感動ものしか選ばれない

ということを否定してほしいと思います。性格のひねくれた私の独り言として聞き流してもらえると幸いです。

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紙の本

「いい話」というだけの物語ではない。

2008/01/27 03:02

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ばー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 小川洋子は、今作品『博士の愛した数式』で第一回本屋大賞を受賞。小川自身は、『妊娠カレンダー』で第104回芥川賞を受賞。

 ここでいまさら言う必要が無いほど有名で、蛇足かもしれないが、念の為に。
 本屋大賞とは、2004年に創設された文学賞の一つであり、他の文学賞と大きく違うのは、「新刊を扱う書店の書店員が選考委員」という特徴である。現在の所の受賞作品を見てみると、「女性作家が多い」、「文学性云々よりもエンタメ性が重視されている」、「受賞作品全てが映像化されている」などの特徴が見られる(一部、ウィキぺディアを参照)。
 2008年一月末現在までの所、四作品が受賞作として知られているが、もうすぐ最新受賞作が決まるはずである。選考委員が書店員、という特徴からも、やはりというかなんというか、次世代の書物、文学を牽引する役割を担っているだろう。大きく拓かれた文学の誕生(又は再誕?)である。
 
 …などと、評論ぶった偉そう口調が出てしまってすいません。直木、芥川、メフィストと並んで、個人的に注目してるんで。

 前置きが長くなったのは、実は書く事があんま無いからだったりする。

 事故で記憶を80分しか保てなくなった元数学教授の老人、「博士」。家政婦紹介組合を介して、彼の義姉に雇われたシングルマザーの美人家政婦。その家政婦の息子であり、博士に溺愛される少年、「ルート」。彼らが紡ぐ、美しく、どこか悲しい話。

 これが概観であり、大体全てを表現していると思うんだけど、そういう「感動系のお話」として、物語らしい物語で、現代の良いおとぎ話だな、というのが一点。そっち系のお話として読んだらこれは、「小川洋子が書いた」というだけで一流で、外れるわけがない。小川洋子が『妊娠カレンダー』で見せたブラックさが無い分少し物足りないと私は感じるが(おとぎ話として、博士の「性質」にブラックさを求めることも出来るかもしれないが、そこに対する言及は避けたい。というか、したくない)。もちろん、「博士から【私】へ」、「博士からルートへ」、「ルートから【私】へ」、「ルートから博士へ」、「【私】からルートへ」、「【私】から博士へ」、と三人の間でそれぞれが「親子」どちらにもなりえる、という構成にも注目できる。

 我らがげんちゃん(高橋源一郎)が、どこかで小川洋子について触れた事を覚えている。詳しくは覚えてないが、おそらく褒めているような内容だった。
  
 この作品で大きく扱われているのは、さきほど述べた「いい話」であると共に、それでいて、細かすぎるほどの数学に対しての描写である。話の全てに数学が絡んでいると言っていいだろう。数学の「美しさ」の上に、「いい話」が置かれている。
 この作品が「いい話」で終わらないのは、この数学の描写という特徴のおかげである。

 数学という部門の真理に生きる人間が博士なのであるが、その博士が語る「真理について」は、こちらの心に大きく響く。
 私の印象としては、「いい話」だな、という一点であり、特別良いとも思えなかったが(これは私がひねくれているからであろう)、この博士が語る「真理」についての語りは一番光って見えた。

 彼が語った「真理」の対象は、「数学」であったが、私はそれを「文学」と置き換えて、小川洋子はやっぱりすごい、と一人で感じていた。この一冊でした「数学」への試みは、遠まわしな「文学」への試みじゃないのかな。それを博士という「特殊な運命を背負った人間」が滅びながらも実践し、それを小川はこんなにも「いい話」にしたんだから。

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紙の本

心あたたまるー

2013/02/18 20:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はだかの王様 - この投稿者のレビュー一覧を見る

80分しか記憶が持たない博士、家政婦、その息子ルートとの間に数学の美しさを通して広がるヒューマンドラマ。

博士の数学を通したぎこちないコミュニケーションと、素直で優しいルートのやりとりに心温まる。

たまに読みづらい文章がある。

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紙の本

記憶が80分しか持たない数学の博士との心の交流を描く

2004/10/05 01:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 舞台は瀬戸内海に面した小さな街,1993年.登場人物は四人だけ.家政婦をしている“私”と,その私が家政婦として勤める六十四歳の博士と呼ばれる元数論専攻の大学教授.そして,その義姉と私の10歳の息子である.博士は17年前の交通事故で,頭を打ち,以後,記憶が80分しか持たない状態になっている.すなわち17年前以降の新しい記憶がまったくない.たとえば阪神の江夏の大ファンなのだが,未だに江夏が現役と信じている.家政婦が毎日来ても,いつも新しい人がきたと思う.

 博士には,数学の面白さ,数字のもつ美しさを平易に語る能力がある.「質問した相手に誇りを与えることができる」というのは素晴らしい.見習いたいものであるが,単に心がければいい,というものではなく,一つの能力とでも呼ぶべきものかもしれない.博士の言葉を通して語られる,完全数,友愛数などの不思議さ,美しさには,数学をあまり知らない人でも理解出来るだろう.

 博士の愛した数式とはオイラーの公式である.まったく無関係と思われる自然対数eと円周率πが虚数によって結びつけられる数式.この数式を提示することによってなぜ変化が起こるのか,いま一つ分からないのだが,この数式のもつ不思議さと美しさはだれにでもなんとなく理解できるものだろう.自然対数がだれで,円周率がだれで,などと考える必要もない.

 博士の子供への愛情,私のだれにでも優しく接する気持ちと好奇心の強さ,そして,私の子供の博士に対して気持ちよく接する態度,どの登場人物の気持ちも清々しく,心地よい.ほのぼのとした気持ちになれる小説である. 

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2003/10/16 00:00

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2003/10/25 00:00

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2009/11/01 11:56

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2010/05/28 16:24

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2010/05/02 11:01

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2004/09/24 13:37

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2004/09/25 12:21

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2004/09/27 01:49

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2004/09/28 09:04

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2004/09/30 02:21

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2004/10/01 22:55

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