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富士日記 改版 上(中公文庫)

富士日記 改版 上 みんなのレビュー

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みんなのレビュー59件

みんなの評価4.1

評価内訳

59 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

ユーモアがキモ。細かな描写にストーリーが浮かび上がる。

2012/01/18 19:53

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『これは山の日記です』と作者が書いているとおり、
富士の山荘と東京の自宅を行ったり来たりしながら暮らした日々の日記。
最初のほうは、こんな感じでいいのだろうかととりあえずペンを動かしているが、
中盤くらいからだんだん描写が細やかになり、
後半になるともうワンシーンが小説のように鮮やかになる。
動かしていたペンがすらすらと走っていくような変化を感じられる。
おそらく作者自体も、日記をつけることがたのしくなっていったのではないか。

「富士日記」は些細な山での暮らしのようす、食べたものなどが記されているが、
自然や人の描写がとてもすぐれていて(特に人の言ったことが細かく記録され)
かなり臨場感を持っておもしろく読んでいくことができる。
ああこの場所はこういう雰囲気なんだなとか、この人はこんな人なのかとか。
文章を読んでいると、絵が浮かび上がってくるのだ。
そして真面目な中に光るユーモラスさも見逃せない。

上中下と三冊あるうちの上巻は、昭和三十九年七月から昭和四十一年九月までが綴られる。
昭和四十年夏。江戸川乱歩の死を新聞で読み、富士から東京への方角へ遥拝との記述。
武田百合子は女学生のころ、乱歩の本をかなり愛読していたようだ。
それからしばらくして終戦を待たずして谷崎潤一郎の葬儀に出席すると、
こんどは終戦直後に高見順の葬儀があり、日本の文学史の一幕をみるようだった。
ちなみに作者は終戦ではなく敗戦記念日としるしている。
とくに戦争に対する感情(というか全般に対する個人的感情)は書かれていないのだが
当時の人々がどれだけの無力感を抱えていたのかが、この書き方から伺える。

山と自宅を車で往復するため、車での道中もくわしく書かれるのだが、
そこでの味わい深い記述。
『やまどりのメスが一羽、私の車の前を歩いていく。車が動いていっても、
あわてず、飛び立たず、ゆっくりと道を歩いていく。
ときどき、振り返って胸を反らせて、あとから来る私たちのほうを
ふしぎそうに見つめ、またゆっくり歩いて、自分の曲がりたいところまでくると、
樹海の中へ入っていった。上品な鳥だ。』(本文より引用)

のどかにユーモラスに自然や人を描写する作者はのんびりしていると思いきや、
つぎのような衝撃的な日記もある。
これは霧の出ている九月のこと。御殿場まわりで帰京するときのこと。
見通しのきかないカーブであるトラックがセンターラインを越え、右側通行してきた。
これに正面衝突しそうになり、腹が立った武田百合子はすれ違い越しに窓から
『なにやってんだい、バカヤロ』と言ってやった。すると夫の泰淳が(助手席から)
『人をバカというな。バカというやつがバカだ』とたしなめる。
百合子はこの反応におどろくと同時に激怒し、口答えをする。泰淳も怒る。
さらに百合子の怒りもヒートアップし、車のスピードがあがる、あがる!
『頭のなかが口惜しさでくちゃくちゃになって、右は走るわ、急ブレーキを
かけて曲がるわ、信号が赤だって通り抜ける』
さいわい『朝早かったから車も見かけず、人も通らず』お巡りさんもいなかった。
そして百合子はなじみのスタンドのおじさんに一部始終を話し、同情してもらい、
マツタケまでもらってやっと気が晴れる。家に帰ってからマツタケごはんを炊き、
おいしくて4膳もおかわりしてしまう。泰淳はそんな百合子を見て
『牛魔大王、マツタケめしを食って嵐おさまる』と吹き出したそうだ。
まったくどきまぎさせられたが、最後は笑えるというのが、いい。

また、献立の記述も興味深い。
朝、ごはん、干物、味噌汁。とか、夜、ごはん、白菜の漬物を油いためする、とか、
手製のクッキー。とか。文字だけだとよけいおいしそうに想像してしまう。
それに特にごちそうというわけでもなく、この普通さかげんがいい。
すうっと肩の力が抜けていて、見たそのままが書いてあって、それでいて
不愉快なことはひとつも出てこない日記。
こんなふうに飄々と淡々と、日々を綴ってみたいものだと思う。

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紙の本

至福の本

2012/06/13 12:52

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

もし「手元に置きたい本ってある?」と聞かれたら、私はまよわず武田百合子さんの本と答えると思う。

富士山のふもとで作家である夫の武田泰淳さんと過ごした日々を綴ったこの一冊。
毎日の食べたもの、出かけたこと、さまざまな家事のくわしい説明、家族の様子…。
読み続けるうちに、その時々の風、季節の移り変わり、まるで富士山のふもとに一緒に暮らしているような気もちになってしまう。
すんなりと身体に沁み込む感じの文体が実に魅力的、なんです。

彼女が書いたロシア旅行の「犬が星見た」も限りなく好きな一冊で、寝る前にパラリと文庫本を開いて、1ページ読むだけでも、いい気分になる。
至福の本ですね。

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2004/09/24 00:49

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2004/10/01 05:04

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2006/01/25 15:17

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