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叙述ミステリーならではのどんでん返しに「うまく騙された!」と爽快な読後感が味わえる一作。前半部、全くばらばらに見えるエピソードが終盤で一気に収斂されていくところといい、会話劇といい、伊坂作品の萌芽がすべて詰まっている原点ともいうべき作品。
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前作の「陽気なギャングが地球を回す」を読んで少し心配になった。ひょっとしたら伊坂幸太郎は軽い物を書き飛ばすような作家になっていくのだろうか、と。しかし、それが杞憂であると解ったことがこの本を読んで得た一番の収穫である。
伊坂幸太郎の描く人間というものは、どことなく明快な色を持っていることが多くて、言ってみれば西部劇や時代劇の登場人物のように平べったい印象になってしまうことがあるのだけれど、それを強引に貫き通す、というような意気込みが感じられていた。しかし、この作品では、登場人物の描写は極端に抑えられている印象が残る。その結果、語られていない部分に対する想像が膨らんだように思え、結果として、人物像が多面的、多層的になったように思う。この登場人物に対する描写の変化が、実は、もう一つの大きな作風の変化と歩調を合わせている。それが、死に対するアプローチである。
これまでも伊坂幸太郎の小説の中で人の死というものは扱われていた。しかし、この「アヒルと鴨のコインロッカー」での扱われ方は、これまでのそれに比べて重い。この物語に描かれている死は、物語の最初から重々しい雰囲気を持ってそこに存在し続け、読者の心を縛りつける効果を持っている。それに比べれば、「オーデュボンの祈り」は、恰も人の死では無いような、むしろ喝采を叫んでしまいそうな、それ、であったし、「重力ピエロ」における死もまた、眼前には登場することなく、さらりと描かれている印象がある。最大の違いは何かといえば、それは死に込められた、やり切れなさ、の有無であると思う。そして、その要素が加わったことで、いよいよ伊坂幸太郎を単にミステリー作家と呼ぶのは躊躇われるように思えるのだ。
読後の感じは「重力ピエロ」のそれに似ている。しかし「重力ピエロ」では、読者にもやもやしたものを一切残さずに、入り組んだ謎が解決したのに対し、今回の「アヒルと鴨のコインロッカー」では、読者の心には充たされない部分が残る。しかも、充たされないことは、明らかに意図されたことである。簡単に言い切ってしまえば、以前の作品では、勧善懲悪、という枠組みにおいて語られていたもの、あるいは目を瞑っていた違法性が、少しトーンダウンしている、と言えるのだと思う。その代わりに物語の基礎をなしているのは、因果応報、というテーマではないだろうか。どこがどう、ということではないのだけれど、世の中には矛盾したことも沢山あり、その矛盾を抱えながらでしか生きていけないのだ、ということが常に囁かれているような気にさせられるのである。
それにしても、いつものことながら、物語全体の構成がとても上手い。今回は、現在と二年前の物語を行きつ戻りつしながら、最後の一点において両者が邂逅する、というのが全体の構成になっている。物語の主は、両方において一人ずつ存在するが、その内の一人、二年前の物語を語る女性が、現在において既に存在しないことは本の半ば頃までに知らされることになる。それが解ってしまった状態で読み進まねばならない読者は、その死が如何にして起こったのかについての描写らしきも��に近づく度に、胃をぎゅっとつかまれたような気分になる。また、そんな読者の思い込みが杞憂であったのか、と一瞬思わせるようなエピソードも終盤には盛り込まれ、読むものは、そのかすかな期待にすがりつきそうになる。ここに至って、伊坂幸太郎の巧みさに改めて感心してしまうのだ。
一番、興味深いのは、僕と呼ばれる現在を語る主人公が、単に巻き込まれただけの存在である点だ。悪くいえば、この主人公の存在は、二年前から現在にまで続く因果応報という連鎖の中に存在すべき鎖の一つではない。良くいえば、そうであるからこそ、どろどろとしたものに陥りがちな部分を、まるで映画の中の出来事のように、距離をおいたまま眺められるのだとも言える。ただし、この主人公の物語がもう少し膨らんでもよかったのでは、という印象も残ったのは事実だが。
「重力ピエロ」の最後においてうっすらと涙するように、この「アヒルと鴨のコインロッカー」の最後においても、やはり涙を浮かべずにはいられない。それは、何に対しての涙なのだろうか。決して解決されることの無いものに対するやりきれなさか、それとも物語の中で匂わされている生まれ変わった世界での逢瀬にたいしてか。そんなことを考えさせられる物語を、ミステリー、と呼ぶのはやはり何か違うような気がしてならない。
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現在と2年前が交互にストーリー展開していく。
現在…書店襲撃。目的は「広辞苑」
2年前…近隣でペット殺しが多発。
キーパーソンは謎の男「河崎」
まぁ、説明はこれぐらいにして、この本映画になったみたいだけど。
…このトリックを映像化するって、どうするんだろう?
現在を中心に置かないと、成り立たないよね?
でも、そんな演出にしちゃったら、つまんなくない?
申し訳ないですが、本のイメージを壊したくないので、DVDは見ません
それくらい面白かった
でもちょっとグロいシーンが多かった(しょうがないけど)ので、★1つ減らしました。
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過去と現在の登場人物を交互に展開させて最後に実はこうだったのよと終わる物語。HIV感染してしまった見た目最高の女に対してぐずぐずの男=だが、数ヶ月付き合った元カノの主人公には以外とソフトに対応していく生真面目な部分を見せ、めったに登場しない国ブータン人が以外と主要な登場人物になっていく設定とか、ロボットのように感情を見せない超美形のおっとこ前な行動が出来る女性とか、キャラクターがしっかり噛み合いながら、ペット殺しを行うしょうもない男と女3人組を
脇に終焉はなぜか切ないのであった。
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タイトル買い。だったにも関わらず、伊坂さん本は結構読んでいます。
この人の話は必ず何かしかのオチが用意されてて、その後のことは全部秘密で終わっちゃうあたりの駆け引き?が好き。
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伊坂作品で1番好き。
伊坂先生は最初から最後まで無意味なものはないのですがこれはもうとことん。
悲しいけれどテンポは最高。
本当に良い作品です。
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飛べないアヒルはなんとやらって感じで、鴨がネギしょって歩いちゃってる僕はまるでコインロッカーベイビーで。ベタといわれようが床下手といわれようが、おもろいものはおもろいんだ。以上。
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面白かったー。「現在」と「2年前」の話が同時進行していく、というだけでもすごいのに、その2つの話が見事に1つになったので仰天。あと、「えー、まさかこの人が!」というような場面もあったり。最後は、ほんのちょっぴり切なかったり。
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こーゆうのもミステリーに分類されるのか。何やら新しいジャンルっぽい感じ。文学!に近いミステリーかな。
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「一緒に本屋を襲わないか?」
引っ越して初めて会話を交わした悪魔的な男が、初対面の僕にそう話しかけてきた。
危うく数十万円の教材を買わされそうになった僕でも、さすがに書店強盗はわけが違う。
しかし、あれやこれやで承諾してしまうのだった。
一方で、動物を虐殺する若者グループを目撃してしまった「わたし」は、悪意に巻き込まれていく。
現在である「僕」と過去である「わたし」の物語が、徐々に絡まり、最後に一つの像が浮かび上がる。
ミステリはパズルのよう。それも、自動的な。しかし、できあがりで感動を覚える傑作は少ないのだけれど。
魅力的な登場人物達が繰り広げる物語は、一見して明るい物だけど、根底にある泥臭さが徐々に鼻に衝いてくる。
軽いテンポで読ませてくれる文章だけど、読後感は途方もなく重い。
とはいえ、嫌なものでもなく、ある種、美しさもある。この矛盾も本書の魅力。
この物語に出る「悪」は、殺人鬼でも異常者でも無い。ただ、悪意を持った若い人間。だけど、それがとても怖い。
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☆☆☆☆
現在と過去が交錯しながら話は進んでいく。すぐに引き込まれるし、だんだん全貌が見えてくるつれそうだったのか!と、ミステリの本領が発揮されてる。面白く読める。
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井坂作品に初めて触れたのがこれ。このあと、井坂さんの本をあちこち探し回って、みんな持っている。まだ全部は読んでないが。面白い、に尽きる。友とは『広辞苑』が合言葉になっている。
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相変わらず、軽妙な文章。洒脱な言い回しで読みやすい。しかし、語られる事件はひどく重苦しいもの。そのギャップが不思議な読後感を与えてくれる。ただひとつ。最初に警察行けば、こんな風になることもなかろうに、と思う。
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初めて読んだ伊坂作品、が一番ピンとこない作品。話にいまいち起伏がない。と、そういう感じです。これは唯一この人の作品のなかではオススメできないですね。
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現在と過去の話が交互に進んでいく構成は面白くて、驚きもあったけど、うーん、ちょっと期待しすぎてたのか、楽しめなかった感じ。