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まあ、ジャンルは、SFでしょうね。
舞台は1985年イングランド、なんだけど、このイングランドでは、帝政ロシアとの間のクリミア戦争はまだ続いてるし、ウエールズは独立、コンピューターも飛行機もないくせに、クローン技術は発達して、タイムトラベルはがんがん、というわけのわからん(笑)世界です。
ここでは、文学が何より強い力を持ち、誰もかもが、シェイクスピアに、ミルトンに、と熱狂しているし、そこへもってきて、「ジェイン・エア」ではジェインはリバースと結婚する!そんなアホな〜。
ヒロインのサーズデイには、タイムトラベラーの父とクリミアで死んだ兄となまぐさ牧師の兄と、ぶっとんだ天才科学者の伯父がいて、彼女は「ジェイン・エア」のお話の中に逃げ込んだ極悪人を追って、「ジェイン・エア」の中に入っていく・・・・ああ、もう説明しようとすると、何がなんだか訳判らん(笑)というありさまです。
なんとも荒唐無稽なお話ではあるんですが、私、こんなの好きなんですよね、結構。
次から次へと仕掛があって面白い、という側面と同時に、本を読むのが好きな人間なら、多分誰でも思ったことのある「お話の中に入りたい」という思いが底流になってるところに、好感を持ちました〜。
サーズデイは、9歳のとき、「ジェイン・エア」の原書の前で、日本人の観光客にジェインとロチェスターの出会いの場面を読んでもらって、物語の中に入り込み、ロチェスターと言葉を交わします。
ああ、そんなことが出来たら!と願うのは、私だけでしょうか?
それ以後、彼女の命の危機にはロチェスターが現れ助けてくれるし、最後に、ロチェスターとジェインが結婚できるように彼女が尽力するし。
幼いころ、悲しい物語を何とかハッピーエンドに、と幾度違う結末を夢見て眠ったことか。けれど、幾度夢見ても、朝起きてみると、お話はそのままでした。当たり前だけど。
そういう夢を実現したい、という思いでこの物語は出来たのかな・・・と、ウエールズにすむという作者に親近感を覚えつつ、あほらしくもありロマンティックでもある物語を楽しみました。
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1985年のイギリス。
いまだに帝政ロシアとの間にクリミア戦争がつづき、ゴライアス社という軍事企業に支配されている。
コンピュータとジェット機がない反面、ペットは絶滅動物のクローンがはやっている。
そして、文学が最高のエンターテインメントで、
シュールレアリストがテロを起こしたり、
子供たちは文学作家のトレーディングカードを集めていたり、
シェークスピア=ベーコン信奉者が尋ねてきたり……
主人公はクリミア帰還兵で、文学犯罪を取り締まるSO-27局の女性捜査官サーズデイ・ネクスト。
ある日、世界第三位の犯罪者アシュロン・ヘイディーズが『マーティン・チャズルウィット』の原稿を盗む。
人の心を操り、カメラなどに姿を映さないため、その人相は不明。
学生時代、その教え子だったサーズデイは彼を捕まえるために上位のSO-5局にスカウトされるが、
逮捕は失敗し、自身も重傷を負ってしまう。
一方、彼女の伯父の発明家、マイクロフトは文学の中に入ることの出来る〈文の門〉という装置を発明した。
ヘイディーズは今度はその伯父と『ジェイン・エア』の原稿を手に入れ、
原稿の中からジェイン・エアを誘拐し、政府に身代金を要求しようというのだ。
どうやら、ゴライアス社も何か企んでいるらしく……
『ジェイン・エア』を愛読書としているサーズデイは、ヘイディーズを逮捕し、ジェイン・エアを救うことが出来るのか?
非常に楽しい小説。
『ジェイン・エア』を読んでいればもっと楽しめたんだろうけど、
それがなくとも、十二分に面白い。
とにかく、この世界を構成する小ネタがぎっしり書き込まれている。
作者が思いついたアイデアを書きたいだけ書いたという感じ。
隕石をキャッチャーミットで捕まえようとしている集団とか、
全員ジョン・ミルトンに改名しているジョン・ミルトン協会とか。
末端価格○万ポンドのシェイクスピアの贋作って何よ(笑)
サーズデイはパレツキーのウォシャウスキーをかわいくした感じ。
正義感が強く、行動的なのに、恋愛に関しては今一歩の押しが下手な36歳。
犯人の顔を知っていることと、愛読書の『ジェイン・エア』のために戦う。
犯人のアシュロンは、『バットマン』のジョーカーみたいな感じかな。
狂える天才で、カメラに写らず、意志の弱い者の心を操り、あらゆる事象に嘘がつけ、撃たれても死なないと言う、無敵キャラ。
他のキャラクターも魅力的。
チョイ役だけど、吸血鬼・狼人間対策局のスパイクは、
その名前からすっかり脳内ボイスは山寺宏一(笑)
サーズデイの父親は元時間警察で、今では一匹狼としてあらゆる時代に存在している。
この世界は改変世界と言うより、平行世界のようで、
チャーチルが第二次大戦で活躍する歴史もどこかに存在しているらしい。
シェークスピアの正体は誰なのか、という話題も、
野球のどこが贔屓チームか、というのと同じような感覚で話されている。
ラストでその正体が明かされるが、はたして……?
厚めだけど読みやすいし、何より先が読みたくなる。
とにかく全てのページが楽しい。
オススメ!
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頭のおかしい(失礼)イギリスシリーズ。ミルトンとミルトンが喧嘩してミルトンが仲裁したり、蛆虫が文字を食べて大暴れしたりします。訳わからないって怒らないでください。だって、そういう話なんですもの。
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特別捜査機関――スペックオプスと呼ばれる、警察では取り扱わない不思議・難解な事件を専門に扱う組織がある。主人公のサーズデイはその内のひとつ、文学刑事局の所属。そこには文学に関する様々な問題が寄せられる。
時間を又にかけ飛び続ける父や、本の中に入れる装置をつくってしまった発明家の叔父、愉快な同僚、非道で無敵な犯罪者、そして本の登場人物……現実を、本の世界を駆け抜ける長編SF?小説。今とは少し違う・パラレルなイギリスを舞台に展開するストーリーは読み応え抜群。(7/24)
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サブタイトルは「ジェーン・エアを捜せ!」。
や、捜してないのでは? とお約束のツッコミOK。
あとがきによると、クリミア戦争がまだ続いていて、飛行機を飛ばす代わりに飛行船を飛ばして、クローン技術が妙に発達していてドードーがペットで、「文学が映画とプロスポーツと音楽をあわせたくらい人気がある」世界だそうな。おおパンク。
そのまま山口雅也のパンク探偵シリーズを思い出しました。
あれから、本格ミステリ風味を抜いて、アクションとSF風味(←あくまで風味)を追加したらこれになる気が。あと文学趣味もね。
衒学趣味もあるけれど、それよりストーリー読解的にやっぱり文学知ってた方が面白い。読んでて良かったジェーン・エア。
タイムパラドックス問題はいったいどうなっとるのかがすごく疑問なのだが、あまり、突き詰めない方がいいんでしょうねー。
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娯楽小説ってここまで突き詰められるんだね…。大変感心した、と同時に大いに楽しませてもらったシリーズ。4巻も早く翻訳版出してほしい。
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感想はブログにて。
http://croco.blog14.fc2.com/blog-entry-202.html
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ユーモアとナンセンスが凝縮。流石、アリスが産まれたお国。
ストーリーは確かに面白い、が、ナンセンスに馴れるのに一苦労。
灰汁の濃い1冊。
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舞台は架空の「イギリス」。色々と実際のイギリスとは異なる。そこの特別捜査組織(スペックオプス)の一部署、リテラテック(文学関連の事件捜査)の女性刑事であるサーズデイ・ネクストが、凶悪犯ヘイディーズと対決する、というのが大筋。
でもそれだけじゃなくて、本の中には入れる機械やら時空を越えた移動やら、はたまた本の登場人物が現実に現れたり…と、面白い要素がいっぱい!
今回は仕事が忙しい時期に読んでたから時間がかかったけど、普通の時期なら間違いなく一気読み作品です!
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サーズデイがスウィンドンへ、局長(だっけな)とシットにどうやら繋がりがあるらしい、そしておじさん・おばさんがアシュロン・ヘイディーズに誘拐されるとこまで。
ハリーポッターみたいにヘンテコ要素がいろいろ出てきて面白い(ミルトン教、ベーコニアン、本解析機やブック・ワームなどなど)。
けど展開がちょっと冗長かな…私が登場作品を知ってればもっと楽しく読めるのかもしれない。
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「文学刑事サーズデイ・ネクスト」シリーズは間違いなく面白い。
まず、これだけ言っておきたい。
と言いながら、
どこから説明しようか、何を伝えたらいいのか、いま考えている。
クリミア戦争が終わらなかったパラレルワールドの1985年が舞台。
主人公のサーズデイ・ネクストは、
特別捜査機関スペシャル・オペレーション・ネットワーク(通称スペックオプス)の
文学刑事局(SO-27)の一級捜査官。
ちなみにサーズデイのお父さんは、かつてSO-12時間警備隊に所属していた。
本の中に入ることが出来る特殊能力を持った文学刑事が、
消えた主人公を探すためジェイン・エアの中へ。
と設定からレビューを始めてみたものの、ハッキリ言ってなんだかさっぱりだ。
設定だけでもとんでもないのに、それをちゃんと操って、物語として成立させ、
とても楽しい文学エンターテイメントになっている。
本が好きで、言葉遊びが好き。
そんな人たちに読んでもらいたい文学SFです。
古典を知っているとより楽しめるんだろうけど、知らなくたって大丈夫。
ジェイン・エアを読んでいなくて、ディケンズを知らなくても。
読んだあと、シェイクスピアや古典文学を読みたくなるけどね!
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ネタバレリアルタイムメモ。
ところどころ、傍点による強調の理由がよくわからない。
ウォードローブはワードローブのことで良いのだろうか。
ホテルの予約を見落とした受付が、花とバーの客は最初から知っていた風に感じた。台帳にメモしてあったのかも知れないけれど、「忘れるところでした」と入るとなぁ。私の感覚的な問題かしら。
昔の恋人との再会があまりにも女々しい。男性の想い描く女性像、と言う感じ。
臭いかと思って髪を嗅いで、大丈夫そうだったからってシャワー浴びずに寝る、と言う描写に若干引いた。臭いの描写って生々しく伝わるのよね。それを自分で嗅ぐって、大丈夫じゃない時がどんななのか気になってしまう。
まともかな、と思っていたボーデンも割と変な人だった。
スパイクは人狼には免疫があるけど、吸血鬼は注射がないと感染するってことで良いのだろうか。彼はゲイなのかな。それとも物凄く冷静で誠実な男? 脳内では中東系かアフリカ系でイメージしてるけど。ジャマイカ系?
ランデンとの『リチャード三世』デートに着ていったドレスの描写がもっと欲しかった。男性の服装には度々触れられるけど、女性については殆どファッションに触れられていないと感じる。
海外の観劇スタイルって元々観客参加型みたいなものがあるみたいだけれど、文章で観ているとその面白さがあまり伝わってこない。確かgleeでもロッキーホラーショーだっけ、観客が盛り上げる、汚れる、みたいなこと言ってたような。
兄妹で互いに関する下ネタジョークを飛ばすなんて、実際兄がいる身としてはヲエッと思ってしまう。
ジョフィの語られない想いに涙が出た。良いこと言う牧師だなぁ。現段階では一番好きな登場人物かも。
モルグでのヴィクターとのやり取りはワクワクする。本当にあったらと思うと。
ランデンのフィアンセ、口調が古臭すぎないだろうか。いや、この本の舞台は1985年だからあり得るのか? 年寄り臭すぎてなんかなぁ。
フィートとかマイルはどうしても脳内変換サッとできないので、翻訳時にメートルとキロに直して欲しさある。括弧表記でもいいから。
過酷な状況下でも妻を想うマイクロフトが愛らしい。
段々ヴィクターが可愛く思えてきた。
この作品はオーバー70のキャラクターがいいみたいですね。
それにしてもアシュロンはハイスペ過ぎやしないだろうか。なんでもありじゃないか! となってしまう。そこのところがちょっと納得いかない。
うーむ。作者は日本人を小馬鹿にしているのだろうか。最初は良い役を回されたと思っていたのだけれど。むむむ。
まさか、それを見落としていたなんてうっかりが起こるとは。何か考えあってのことと思っていた。
大きな館なの? 意外と狭いのは中だけなのかな。
それはそれとして、登場人物たちのメタ感覚がどれ程までのものなのかを考えると頭が混乱してくる。タイムトラベルのパラドックスと同じくらい。
ああ!
そういうことだったのね!!
世界��的にやや無理があると言うか、何故そんなものまで? と思っていたけどこのためね。
色んなとんでも設定はこの為に差し込まれた気がする。
しかし、ディケンズは冴えない結末を書いていた。後に修正された。これって結構な侮辱と言うか。いやフィクションだから良いのか。寧ろ原作は完璧だって言ってるようなもの?
やっと読了。長かった……!! 疲れた……。
3日ちょっとかかってしまった。
次巻への伏線らしきものも幾つかありましたし、実際続刊してますね。そっちは他の積読本消化してから考えます。
シリーズタイトルは旧姓だから、結婚しても旧姓のまま通すのかな?