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麻薬中毒で精神的に最も錯乱していた時期の作品なので、悲痛ではあるのだけれども、だけどその悲痛さ、混乱、脆さや痛々しさが余計に胸に染みる。
「私の欲していたもの、全世界ではなかった。百年の名声でもなかった。タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉いちまいのなぐさめが欲しくて、一生を棒に振った」(二十世紀旗手)
この言葉を読むたびに、ひどく泣きたいような気持ちになる。
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読んでてきつかった…!まさか太宰でこんな苦痛を味わうとは思っても見ませんでした。もう少し精神的余裕のあるときに読まないと訳解んなくなってクラクラします。絶対素晴らしい物が潜んでいる!読まなくてはいけない!っていうのは解ってるんで、それだけに悔しいな・・・!
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すーげ読むのに時間かかっちった。てへ。私小説かと思えば純然たる小説だったり、届いた手紙の記録かと思ったらやはり創作だったり、ドキュメンタリーだと思ったらコントだったり、いやはやどこを切っても太宰治。この「おのれ自身のことなのかそうじゃないのかはっきりしろよ」感。それでいて意外と読後感は爽やかだから参っちゃいますね。私は太宰治を「技巧の人」だと勝手に思い込んでいるんだけども、この一冊は特にその「仕掛けに仕掛けたぜ」的な色合いが濃いと思います。個人的には「狂言の神」「虚構の春」「雌に就いて」「二十世紀旗手」が好き。その他の作品には創作物的興味を惹起されはせぬものの、「またやってるよ」的愛着は感じます。こういうの好きだな、この人。
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読ーみーにーくーいー。
創世記なんて、本当に、字が大きくても読みにくい。
HUMAN LOSTを読むために買ったようなもの。
人間失格に通じる物があるから。
金魚の命…。
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「青年いささか得意げに、放せ、放せ、肺病がうつると軽蔑して、私は有難くて泣いてしまった。」
堪えきれずに、にやりとしました。
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これは読んでて辛いな。
太宰の苦悩と葛藤がありありと出ています。可哀想ぶってるのをおどけた文章構成で誤魔化してみたり、絶望しきっても書くことしか出来なかったり。
08.04.21
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太宰治のことを全く知らなかった俺だが、
この本を読んで彼がどんな人生を歩んできたかがわかった。
しかし彼の世界観に浸るまでにはまだまだ時間が必要らしい。。
読んだあと重いものが肩に残っているような暗い感じ。。
彼が入水自殺までいたる、人生の前半期の作品集。
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何とかかんとか。ほぼ一ヶ月かかって読了しましたん。やっぱり遠出すると本読めるよね。
全体的には、ちょっと読むのが辛い内容が多かったかなぁ。
内容的には「狂言の神」「虚構の春」「雌に就いて」「創生記」「喝采」「二十世紀旗手」「HUMAN LOST」の7編が収録されている。
太宰といえば自殺未遂、薬物中毒により脳病院(精神病院だったっけ?)入院といった醜聞がつい先に立ってしまう人だけれども、それらの出来事について太宰の自己内省が綴られているものが多いように思われれる。特に「HUMAN LOST」はなんだかものすごくやりきれないな〜と思った。
そんな中で「虚構の春」の、太宰宛に届いたいろいろな手紙をただただ羅列している(実際にそうなのかどうなのかは謎。そういう体裁をとった創作であって実録と言い切れないと思う)短編がワタシには印象深かった。
いろいろな相手からの文章。
故郷の知り合いから恩師から編集部からそして読者からの手紙。
特に読者からの手紙は‥う〜ん。
なんだか本人の熱いせっぱつまった想いは判るんだけど、なんだかあてつけがましくって、すごくストレスを感じてしまった‥。
そういえば夏目漱石も、あつかましい読者からの往復書簡でストレスためてたなぁ〜なんて思い出したり。同時にその時代の「作家」と「読者」の距離の近さなんかも新鮮だった。
でもなんだか「作家」の哀しさも感じてしまった。その読者をむげにすれば恨まれて。ちゃんと対応すれば軽んじられる。なんだか周囲の人間のいい加減な尺度みたいなものを感じてしまった。うむ〜。
あ。個人的に好きだな〜と思ったフレーズ。
「雌に就いて」の、226事件のあった晩に、「私」と「客人」が女の寝巻きについて話をしているんだけれども。
その中で、私が「いや、洗いたての、男の浴衣だ。荒い棒縞で、帯は、おなじ布地の細紐。柔道着のように、前結びだ。あの、宿屋の浴衣だな。あんなのがいいのだ。すこし、少年を感じさせるような、そんな女がいいのかしら。」という言葉がなんだかすごく「いいな〜」と思ってしまった。
自分でもなぜだろう??
全体的に辛いけれども。それでも太宰の文章には重力が半分くらいにしか感じられない。
文章が簡単とか吟味していないという意味じゃなくて。読んでて浮力を感じるんだよね。
ワタシが思う所の太宰のすごさは、そこにあるような気がする。
それは表現している内容とは関係ない所ではあるけれども。
それは「新しさ」にもあてはまりそうな気がする(この場合の被対象は夏目漱石等)。
そして、だからこそ、ワタシは太宰の本を現在読みあさっているんだろうな。きっと。
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【090118】にくまれっ子世にはばかる
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酷い男だって?
酷い男はこんなところに居やしないよ。
六本木や歌舞伎町なんかに酷い男はいない。
渋谷センター街や秋葉原になんか以っての外さ。
銀座?居ないよ。
居るとしたら東銀座、歌舞伎座の界隈かな。
酷い男はね、
そうだな都下だったら
浅草の観音様とか、日本橋のデパートとか、品川のオフィス街とか。
少し足を伸ばして井の頭公園辺りにも居るかな。
酷い男はね、
女を女だと思っているんだ。
可笑しいって。
可笑しかないよ。
奴らには、
「女」は「女」
それ以上でも、それ以下でもないんだ。
そして、自分たちは「男」さ。
恋人でも、夫でも、父親でもない。
酷いだろ。
おゃ、そうでもないかい。
君もそんな女なんだね。
不思議なことに
酷い男に惹かれる女が居るんだ。
さらに不思議なことに
こいつら不幸にはならないのさ。
男に入れ込んで
弄ばれて捨てられる
なんて具合にはいかないんだ。
世の中うまくできているよな。
俺?
俺はダメ、ダメ。
酷い男にはなりきれなくてさぁ。
ホント「生れて、すみません」だよ。
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ホンマ修治に呆れたわ! マア入水、道化、借金、入水、お酒、薬、借金、道化、道化、自棄、繰り返し繰り返し嘘ばっか。 更にモテモテ。 ありゃしないわ。 此処の見所は明らかに一つ、青年の光栄を背負って鼻先か出ようか、信じがたい世辞や自分の実の才能を疑おうか。 嘗て謹んで虚構した狂乱と違って、human lost に暴れた真狂乱。 その凄まじい人間の自由に対する弱さは美しい。
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私は弱い人間で、だから太宰の文章が心打つ。
アンニュイな顔で、若者が言う。
とても薄ら寒い。
そんな太宰に対してのイメージは、
精神病院入院体験をつづった、HUMAN LOSTによって変わった。
死に対してストイックではなく、
弱きことを恥じず、居直り図太く、弱く死んでいくのが太宰だ。
文豪といえど、他人の人生だ。
時に太宰の景気の良い開き直りに、笑みさえ浮かぶ。
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正直、この作品群を、どれだけ理解できたか自信がない。
太宰が麻薬中毒(?)に陥っていた時期の短編を集めたものであり、支離滅裂。読みにくいったらなかった。
でも俺が読みたいと思っていたのは、案外こういうものなのかもしれない。人の脳の思考過程をそのまま抽出したみたいな作品を読みたいと思っていたんだが、忠実に抽出したらこの作品群のような錯乱したストーリーができるような気がする。
可読性が低い分、非常に人を選ぶ作品だと思うが・・・。
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これは小説であって、フィクションで、創作物で、商業用エンタテイメントです。稼いで薬代少し払わないと、ツギ売ってくれないかもしれない。
脳病院には瞞されて這入らされちゃった。ええ、物書きですから。何でも見聞したり、文字の羅列は売るんです。船橋に遊びに来てください。来るときはお金持ってきてください。
humanlost
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学生時代に読んだときとはだいぶ印象が違う(そりゃそうだ)。
小説中に散りばめられた太宰の甘え。
「こんなに、僕はひとりで苦しんでいるのだから、どうぞ優しくしてください」
好き勝手やって人に迷惑かけて何を言う。と、大人になってしまった私は思う。
だけど、甘えの下からこぼれる悔し涙を、絶望の吐息を、美しい言葉に昇華する。錯乱した精神が、原稿用紙に向かうときだけは研ぎ澄まされるかのように。つくづく純文作家だなあと思う。
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狂言の神ー素朴。ーなあんだ。
虚構の春ー手紙でできてるやつ。題名とあわせてみるの忘れた。春の部分読み直すこと。
雌に就いてー最高。すばらしく、ぐうっとした。ふぇちー 最後のとこには毛穴がきゅってなった感動
創世記ー最初の水死体の部分はおもしろかった。でも読めなかった。 喝采ーうまいんだと思ったけど疲れて読めない。また読む
二十世紀旗手ーわたしは恋愛部分でぐっとできる人間になったのね。 HUMANLOSTーふーんて感じ。病院内での日記式、詩のような叫びのような
全編通して、おもしろいと思うのだけれど疲れちゃって通しで読み切るのは苦しかった。ちょこちょこ読み返そう。苦しみ嗚咽のようだけど全部計算されてるなあ。物語屋さんとしての太宰のうまさ