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後巷説百物語 みんなのレビュー

130(2003下半期)直木賞 受賞作品

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みんなのレビュー79件

みんなの評価4.4

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
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紙の本

またまた祝!直木賞。ま、遅れ馳せ、っていうことで。でも、みんな過去のお話になっちゃった。これで、シリーズも終わるのかなあ、百の話を読んだ記憶、ないんだけど

2004/02/13 22:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ご存知、カリスマ作家・京極夏彦の直木賞受賞作。今までに『巷説百物語』『巷説百物語 続』と出ているが、どうも話の流れからは今回が結末篇らしい。最終巻となると、何か感無量である。

「“恵比寿像の顔が赤くなるときは、恐ろしい災厄が襲う”明治十年。一等巡査の矢作剣之進は、ある島の珍奇な伝説の真偽を巡り、友人らと言い争いになる。議論に収拾はつかず、ついに一同は、解を求め、東京のはずれに庵を結ぶ隠居老人を訪ねることにした。一白翁と名のるこの老人は、若い頃、百物語開板のため、諸国の怪異談を蒐集してまわったほどの不思議話好きだという。翁は、静かに、そしてゆっくりと昔の事件を語り始めた。鈴の音とともによみがえる、あの男の声を思い出しながら。

「御行奉為 」」

以上がカバーの紹介。

6つの話が収められている。昔、小さな島で因習に反発する若者がおこした悪戯。それが島の運命を変える。瓜生島の伝説は本当にあったことなのか「赤えいの魚」。昔、慈悲深い代官がいた。民にも愛される代官の悩みの種、それは奥方の淫蕩の血。それを鎮めようと高名なお坊様を招いたことが仇になり。摂津の村に飛び回る火、それはよく見れば首だった「天火」。昔、娘が鎌で傷つけた蛇が若者となって、娘の家に富をもたらす。池袋の村に住む乱暴者の男が死んだ。毒蛇にかまれて「手負い蛇」。

自分は獣だったのだろうか、と思った山男は衣服を作り、言葉を覚え、そして。高田藩の山に現れた背丈6尺もある山男は人にも優しい。武蔵野の村から娘が失踪して、三年後子供を抱えていたところを発見された、彼女は山のものと暮らしていたというのだが「山男」。神泉苑に帝が行幸された折、故あって五位を授けられた鷺。儒学者の由良公房卿が幼い日にみた不思議な光景。それは自分を抱く光る女。彼が20年後に信濃で出会ったのは「五位の光」。百物語の最後の話が終わったとき、締め切った部屋の中で風が。与次郎が一人訪れた九十九庵、そこで小夜から聞かされた身の上話は「風の神」。

登場する面々は固定されている。どの人間も比較的おとなしい。基本的に事件を持ち込むのは、職業柄だろうか、旧幕時代は南町奉行の見習同心、今はできたばかりの警視庁の一等巡査矢作剣之進である。他に、元は西国の小藩・北林藩の江戸詰め藩士で現在は加納商事の社員笹村与次郎、旗本の次男坊で洋行帰りの箱入り息子で与次郎の同僚の倉田正馬、与次郎同様北林の出身で山岡鉄舟に剣の手ほどきを受けたという豪傑で維新後は猿楽町で道場を開いている渋谷惣兵衛がいる。彼らが毎回、様々な事件を話し合い、結局解決の目途が立たずに相談に行く、という形式をとっている。

その相手、というのが薬研堀に九十九庵なる閑居を構える隠居老人の一白翁。旧北林藩と縁を持つ年齢は80を超える老人である。老人のと一緒に暮らす若い娘が小夜。4人の若い連中は、密かに彼女に惹かれているという設定だ。いつもの京極ならば、これだけでドタバタになるところが、そうならない。そこが渋いと言えるし、『豆腐小僧 双六道中』に比べて、今ひとつ楽しめないとも言える。

どの話も、昔話、それを思わせる最近の事件、その解釈、そして最後は又一とおぎんの小股潜りの狂言という形式になっていて、正直、その仕立てが分かってはいても、ついつい読まされてしまう。で、「五位の光」に出てくる由良行房伯爵は『陰魔羅鬼の瑕』に出てくる人物と同じだろうから、この話は結局、京極堂シリーズに収斂していくのか、と思ってしまう。ともかく、読ませる本ではあるけれど、少なくとも二度は読み直してじっくり味わいたい本ではある。

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紙の本

『巷説百物語』の素朴な味わい、『続巷説百物語」のストレートな痛快さとはいささか異質な組み立てになっております。

2004/02/04 11:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

『巷説百物語』『続巷説百物語』と続きましたこのシリーズもこれが最後となりますと後ろ髪ひかれる思いがいたします。御維新の10年と時代が変わりました。小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平といった一癖も二癖もある小悪党が好事家山岡百介を狂言回しとして江戸市中ならず全国をめぐり妖怪変化が引起したとしか考えられない怪事件を鮮やかに解きほぐし、逆に怪異・あやかしの仕掛け罠をこしらえ極悪人を懲らしめるというあの時代から40年の歳月が流れたのでございます。

生き残った百介も今は東京のはずれに庵を結び不思議話が好きな翁として若者相手に昔話を語る日々と静かに余生を送っております。時代が変わったと申しますのは一等巡査の矢作剣之介を中心とする若者たちは文明開花の申し子でありますから、世の中に怪異・変化など存在しないと、それは翁としても当時の体験から百も承知でございますが、どこか肌合いのあわない時代の変化を感じているのです。
西洋流の合理主義が浸透し始めている。「(人も国も文化もどんどん成長して欲しいものです)今様というのは何時だって何よりも優れておりましょう。ただ………」妖怪はすっかり役に立たなくなりましたと百介は謡うように言った。「将に無用の長物、(みなさんの言うように)要らぬものになってしまったようですなあ」それが百介には少し淋しかっただけだ。
直木賞受賞のこの最新作、この百介の慨嘆にエッセンスのすべてが凝縮されております。だから私も後ろ髪ひかれる思いがするのです。

百介はここでも六つの怪異譚を披露します。そのなかからヒントを得て一級巡査が不可能事件を解決する場合もあり(天火)(山男)、まるで無関係の奇怪至極な伝説(これは著者の無理を承知の完全な創作としか私には思えないが)(赤えいの魚)、あの当時仕掛けた怪異が新たな伝承と化して御維新の世にまで生きている不思議(手負蛇)(五位の光)などいずれも40年前の小悪党たち活躍を回顧するのでございます。しかし、百介はこれが仕掛けであることは一言も言わないのです。どちらかといえば逆に世に不可思議はあるのだとあの当時とは立場を変えて若者たちに語りかける役割なのです。そして最後に翁百介が仕掛ける怪談会(風の神)。
百介は理詰めで解釈する新しい文化風土に対しそれだけではないのだよ、本当はあいまいなところがあるのが日本という国に生きる人々の血肉となった観念ではないかな。ああそれも遠い昔になってしまったのかと。おそらくわたしにはそう聞こえて共鳴するところです。
特に「山男」のお話は印象的でした。一神教の神=自然の原理は人間に過酷でありますが、日本人の信仰にある自然は時に人間界に災いをもたらすが恵も与えるとする多神教のやさしさがにじんでおります。

化け物どころではない人間のなす残忍な犯罪が横行する現在を見れば妖怪変化と共存していた時代のほうがよほどよろしい。ある国の尺度でおしすすめる「普遍の論理」世界平和達成の行動がはたしてかの地の民族に適用できるのだろうかと………これは穿ちすぎでしょうかねえ。どこかで日本人は日本人らしく生きる原理を見失ったような気がしませんか。昔に戻ればいいというものではないのですが………。

京極夏彦、政治を語る人ではない。しかし、精神文化の今のありように疑問を投げかけております。

書評集「よっちゃんの書斎」はこちらです

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2004/10/20 14:08

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