- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
色や感情の描写が印象的。
2015/07/27 23:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名な表題作「檸檬」を収録した短編集です。
私は万城目学さんの作品を通してこの作家さんを知りました。その時に知った短編「檸檬」が読みたくて手に取ったのがこの短編集です。そしてこの短編集の中で一番好きな作品は結局「檸檬」でした。色や感情の描写が良いアクセントになっていて、暗い作風の中にもはっとさせられるような気がしました。
紙の本
きめ細かくも大胆な描写。
2002/07/16 19:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく描写がきめ細かく、美しいながらもリアリティーがある。檸檬は勿論、闇や光、月、蝉、蠅、……全てが目に見える。音も感じられる。自分自身が作中の世界を歩いているかのようだ。作品として読むだけでなく、文章修行の手本にもなると思う。作中には病んだ梶井の死への嫌悪感も感じられ、憂鬱さと健全さが混じり合っている。
梶井基次郎といえば、作品の雰囲気や夭折の作家というイメージと顔が一致しない作家として有名だが、解説を読んで彼が放蕩無頼の生活を送っていたこともあったと知った。昔の社会構造を考えると放蕩者は絶対に好きになれないが、作品は読んで損は無い。
紙の本
誤魔化しのきかない緊張感を味わう
2001/02/13 01:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1901年、20世紀の幕開けとともに産声をあげた梶井基次郎の作品を、21世紀の幕開けである2001年に手に取ってみた。変わらぬもの、変わり果てたもの、色々を感じることができた。
表題作『檸檬』他19篇の短篇が収められている。
基次郎は31歳という若さでこの世を去った人である。命のともし火がユラユラとあやしいものになったがゆえ、また桁外れの感受性の強さゆえ、あるいは空想癖ゆえに綴られる文章は、それらを持ち得ない読み手にとっても特製のメガネをかけて自然や人の心を覗かせてもらえる新鮮なものと映るような気がする。
私も特製メガネなしに基次郎のようになりたいなぁと願った。
基次郎の作品を読んで、ねたましさすら感じた部分は「月光」や「闇」を扱ったものだった。月の光に照らされてできる影だとか、月の光も届かぬ闇の描写を読む時に妬みを感じてしまう。
今の世の中、「今日は月が出ているから明るいわ」などという状況は皆無といってよいだろう。郊外にキャンプを楽しみに行ったところで、キャンプ場には適切な間隔を置いて電燈がともされている。また、電燈も届かない闇に存在することは、真の闇を体験する以前に「もしかしたらいるかもしれない人」に対する恐怖を体験してしまう。闇と対等することはかなわない世の中なのだとつくづく感じた。
余談になるが、先日京都に遊びに行った時に、『檸檬』の主人公がレモンを買ったとされる寺町にある果物屋さんの前を通ることができた。ごくごく普通のお店だったが、私にとっては『檸檬』の主人公がレモンを買って、それを懐に入れては取り出して光に透かしたり、匂いを嗅いだりしながら丸善へと向かう様子が浮んできた。嬉しい経験だった。
私が古いものを読む時は、その「時代」を楽しみに読む部分もかなりあるのだなぁと改めて知った。また、古いものは奇抜なストーリー展開などは期待できないのだが、自分が外的にも内的にも弱ったときにかなりの助けとなってくれる…と、思っている。だから、予防線を張るような気持ちで読んでいる。消極的ではあるが。
紙の本
モヤモヤを消す秘密兵器
2022/06/01 18:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
青春時代特有の、訳もなく苛立った気持ちに共感できます。たった1個のレモンに想像力を膨らませて、すべてを吹き飛ばすかのようなラストが爽快でした。
紙の本
30年ぶりの再読
2020/10/27 16:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒトコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年購入した丸善150周年復刻カバー本にて30年以上ぶりに再読。表題作中の丸善が京都店だった事にビックリ。 作中に地名が明記されているのに、ずっと神田の丸善だと思い込んで記憶していた。著者が東京にいた事があり、芥川はじめ既読の同時代作品に度々神田丸善が登場していた事、何よりこの作品を知るきっかけだったさだまさしさんの「檸檬」の舞台が神田だった事が原因と思われる。再読してよかった(^^;)
紙の本
繰り返される思い
2002/06/25 18:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アセローラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読んだとき正直言ってわからなかった。たけど、読み進めるうちに胸が締め付けられるような感覚を覚えました。生きることのつらさや、苦しさ、常に命の限りというものを背後に感じながらの作家活動は、彼の作品に真実味を強く感じさせるし、だからこそ永く読み続けられて、人々の心に残るのだと思います。
紙の本
レモンエロウ
2001/03/05 00:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作の檸檬は、単行本のページで10枚足らずの短い小説だが、そのレモンエロウの色合いはいま再読してもいよいよ鮮明になりこそすれ、褪せることはない。
「レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあの竹の詰った紡錘型の格好も」
よく読めば、レモンエロウで解放される焦燥というか嫌悪、私を居堪らずさせるものの描写がさらっとしすぎていて物足りない感じがするぐらいか。
初出