モギちいさな焼きもの師 みんなのレビュー
- リンダ・スー・パーク (著), 片岡 しのぶ (訳)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:あすなろ書房
- 発売日:2003/11/01
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紙の本
「青磁象嵌雲鶴文梅瓶」にインスピレーションを得た、焼き物師の子ども時代の物語
2004/06/08 19:10
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投稿者:ひろえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
12世紀の韓国の、高麗青磁の名産地チュルポに住む少年モギとトゥルミじいさん。モギはみなしごで、同じく天涯孤独のじいさんと一緒に、幼児の頃から橋の下で、ゴミ捨て場からの収穫物と野草などを食べて暮している。だが、盗みと物乞いは決してしない。じいさんはモギを心から愛し、かわいがり、生きる知恵や「山を読む」すべを教え、おもしろく含蓄のある話をたくさん話して聞かせてくれる。
ひょんなことから、村で随一の陶芸家のミンの下働きになったモギ。たきぎ運びや粘土漉しなどの地味な重労働をこなしながら、親方ミンの手元をこっそりのぞき、いつか作ってみたい陶磁器を空想する。短気で職人気質で芸術家肌の気難しい親方に対して、奥さんは、おいしいお弁当を作って食べさせ、寒い冬には死んだ息子のために作った綿入れの服を着せてくれる。
チュルポの陶芸家はみな、宮廷御用達の焼き物師になるという、めったにないチャンスを夢見ている。あるとき、都から目利きのキム特別官が訪れるという噂が流れる。親方のミンももちろん、すばらしい作品をつくり、展示する。一方、人々の目をひいたのは、「象嵌」を焼き物に応用したカンの斬新な意匠だった……。
正しい生き方を示すじいさん、陶磁器一筋の親方、優しい奥さん、公正なキム氏など、モギをとりまく環境に悪意がないのがいい。モギがおそらくは天性の才能を、見習い修行の中で開花させていくすがすがしさと、すばらしい芸術品がひとの心を打つ真実とがたくみに組み合わさった、読後感のさわやかな、まっすぐに読者の心に響いてくる作品である。
いくつかのサイトで、後日談に出てくる「青磁象嵌雲鶴文梅瓶」を見てみた。写真では細かいところまでわからないのが残念。だが、希代の陶芸家の子ども時代を想像するのに、この梅瓶からインスピレーションを得たことはよくわかる。
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