紙の本
今の子どもたちには、古くさいかもしれませんが、やっぱり良い話だなあ
2006/03/11 22:15
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに引かれてこの本を手に取った子どもたちは、けっこう「まえがき」でつまづくのではないでしょうか? 物語の書き手が、母親にせかされて夏の盛りにクリスマスの物語を書くため避暑地に向かい、そこで執筆を始めるまでの徒然。ワクワクするような冒険物語が始まるんじゃないかと期待満々の身としては、ちょいと肩透かしを食らわされた気分です。かつて、私もそうでした。最初手にした時は、この序章でポイしてしまい、でも1年くらいたってもう一度読んでみたら、本編の方が滅茶苦茶面白かったんです! どれくらいお気に入りだったかと言うと、本屋や図書館で手に入る限りの訳書を読み比べ、特に好きな場面などノートに書き出して比較検討するくらい、です。もの凄い情熱。
訳者によっては長い台詞を削ってあったり、エピソードを一つ丸ごと削ってあったりするのですが、たいていの本で、この序章(とセットになっている終章)はちゃんと残っていました。そして本編の面白さを知った後で序章を読むと、ああやっぱりこれは必要なのだと納得もするのです。
「飛ぶ教室」はドイツの寄宿学校を舞台にした5人の少年と、彼らを見守る2人の大人の友情物語です。今読むと、古くさい話だと思います。道徳的で教訓めいたところもあります。でもその古さが魅力でもあるのです。友だち、家族、良い先生、それらは本当に人生を豊かにする宝物なのだと感じさせてくれる1作です。
個性豊かな少年たちも良いですが、何より大人たち2人が良い味を出しています。厳しくも温かい舎監の「正義先生」と、禁煙車を改造した家に住む「禁煙さん」。少年たちは正義先生をとても好きで尊敬もしているけれど、正しいことと正しくないことの区別がつけにくいような時、禁煙先生の知恵を借りるのです。子どもにとっては、まさに理想的な2人の大人たち、実は彼らはかつて友人同士でした。寄宿学校時代からの親友で、恋人どうしかというくらい仲が良かったのですが、奥さんを病気でなくした禁煙さんが失意のまま姿を消していらい、20年も交流はとだえていました。実はとても近い所に暮らしていた2人を引きあわせたのは5人の少年たちです。少年たちと大人たちと、どちらが主役がわからなくなるくらい、2人の気持ちは熱く、そこに注目して読むのも面白いかもしれません。
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ドイツの高等学校(ギムナジウム/寄宿舎)が舞台の、少年たちと先生(元少年)の厚い友情と愛情溢れるお話。舞台がクリスマスなので年末に読むことをオススメします。泣いちゃうよ。
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装丁がステキだったので買ってみた、講談社文庫の『飛ぶ教室』(エーリヒ・ケストナー)。ドイツの有名な児童文学で、いつか読まねば!と思っていた1冊。ギムナジウムの少年達が寮生活の中で成長していくお話…と簡単に言うと妙に薄っぺらいなぁ。私は上手いこと説明できないので、ぜひ実際にクリスマスまでに読んで下さい。
実はクリスマスの話で、これがまた静かに心にしみる物語なのです。ヨハン・ベク先生が、マルチンとその両親のために素晴らしいクリスマスプレゼントを贈る場面を、ちょうど「Have Yourself a Merry Little Christmas」を聴いている時に、しかも電車で!読んでしまって、不覚にも泣きそうになった。
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映画を見てから読みました。子供達の友情と、そして先生に泣けてしまった。こういう先生たくさんがいるといいのにね。
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5人の少年が主人公的にかかれているものの、それぞれが淡白に説明されているので臨場感が薄いとかんじてしまった。とくに親に捨てられたジョニーは、その悲しい設定があっても登場する場面が少なくて感情移入がしにくい。力持ちのマチアスと弱虫ウーリーの友情、秀才で絵のうまいマルチンがクリスマス休暇に家に帰れなくて悲しんでいる、正義先生と喫煙さんの再会、それぞれにはみどころがあるのに全体がばらばらとした印象があった。
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「泣くこと厳禁!」と歯を食いしばって我慢する少年が愛しい。プライドを持って生きることは、難しいけれど大切だと感じさせられます。
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「子どもだって、ときにはずいぶん悲しく、不幸なことだってあるのだ…」。
ナチスドイツに屈するコトなく、その思いを強く訴え続けたケストナー。彼の思いが如実に表れているのがこの作品です。寄宿舎を舞台に、個性の違う5人の少年が心の成長を遂げるサマを繊細に描いた最高傑作。涙なしには読むコトが出来ません。映画化もされているので重ねてご覧になるといいもしれないですね。
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クリスマスが近づく高等中学の寄宿舎でおきたあれこれ。小さな騒動、大きな騒動の中心にいつもいる5人の生徒たちは、みんな考えてることも抱えてることも取る行動もそれぞれ。でも友達なんだよね。変に流されずに友達。ウリーがかわええなあ。みんなかわええですが。正義先生と禁煙さんも好き。某メガネだったり傷跡だったりの話の大人組を思い出してちょっと萌えたのは内緒です。話し全体の雰囲気もそうですが、小題のセンスにほんと惚れました。切り取るのが上手い人だなと思う。冬の子どもたちの赤い頬と吐く白い息と空気感を、狂いなく正確にってわけじゃなくて、上手く可愛く切り取ってる。子どもの世界ってきっと大人の世界の縮図でも前段階でもないんだよなあ。確立してる。スノーボールの中身みたい。
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困難な時代に書かれた、良質な少年小説。やや予定調和的であるが、それだけに安心して読める。泣きたい人にはお勧め。
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私が読んだのは確か岩波から出てるやつなんですが(それは画像つきが見つからなかったので)、これは新訳らしいですね。ケストナーの作品はドイツの生活が感じられて凄くその雰囲気が良い。
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ひとりひとりがなんだか可愛らしいっていうか、すごい素敵っていうか・・・(笑)
ちょっぴり切なくもなります。
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5人の少年たちと、かつて少年だった2人が、主な登場人物。子供のときに読んでも面白いけれど、大人になって読むとさらに味が増す、スルメのような小説だと思う。もう少し長いお話だったら、もっとよかったかも。
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このタイトルを見て、懐かしいって感じる方も多いのではないでしょうか?
胸を打たれる文章やセリフにきっと出会えます。
子どもだって子どもなりに悩みだってたくさんあるし、抱えるものの大きさや寂しさや不安に押し潰されそうになることだってあるんです。
誰もが通ってきた道だから、誰だって知っているはずなのに、いつの間にか忘れてしまっているんですよね。
児童文学ですが、大人にこそ読んでほしい本だなぁと思います。
ちょっと心があったかくなれますよ♡
映画は観たことないのですが、いつか観てみたいです。
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傑作です。泣きました。
こどものころはあんなに楽しかった。
それはたくさん悩んで迷って苦労したから。
楽しいことがたくさんあったわけじゃない。
精一杯だったからなんだよ、と。
ケストナーは素晴らしいおとなだ。
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ケストナーが大好きだった。「点子ちゃんとアントン」も「ふたりのロッテ」も「エーミールと探偵たち」も。何故か「飛ぶ教室」だけ読み損ねて大人になってから読んだ。そのせいか、クリスマスを前に小さいながら様々な事情を抱えつつもきらきらする子供たちより、正義先生と禁煙さんの再会に嬉しくなってしまった。