紙の本
静か。ほんとに静か。でも緩やかな流れ。
2005/01/24 01:31
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投稿者:いわさち - この投稿者のレビュー一覧を見る
人を殺したりするわけじゃない。
超がつくほど大恋愛をするわけじゃない。
静か。ほんとに静か。でも緩やかな流れ。
それを求めて私の手は本棚のこの本を何度も選んでしまう。
主人公の女性は大学生。高校卒業間近に堕胎する。
父親は誰だかわからない。
きっと適当にくっついたり離れたりした人たちの誰かだ。
決してサイトウさんの子ではない。
夏休みに同じ学科の子のアパートを借り、一人暮らしをはじめる。
それと同時に高校の同級生キクちゃんの家族との交流も始まる。
淡々と流れていく。
バイト、キクちゃん、そしてサイトウさん。
順繰りに出てくる。一定のテンポを保ち。
ゆっくりゆっくり流れていく。
主人公の女性が抜け出せない恋から抜け出す。
簡単に言えばこうなるだろう。
でもその恋は絶望であったり、恐怖であったりする。
いや、恋と呼べるものだったのかさえあやふやだ。
夏を舞台にしているのに暑い感じが伝わってこない。
むしろ冬の風が吹き込んでいる感じだ。
それだけ主人公の女性の心が深く傷ついているかということなのだろうか。
いつかみんな森から出れるのだろうか。
きっとでれるはずだ。
紙の本
森奥深くきれいな泉を見つけたかのような奇跡を感じた本
2004/05/28 20:51
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投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女時代に初めて落ちる恋。
文中にも書いてあるが初めての恋によりその後の恋愛感が変わることは多いのではないだろうか。
主人公の場合は相手を救いたい、相手の闇の中へ自分が光を当てたいと願うものだった。
大人になれば「誰かを幸せにする」ということは傲慢な事だと気付くが少女時代に陰のある人を好きになるといつの間にか自分もその闇の深さに呑まれ、その恋か終わったとしても呪いのように暗く深い闇の中から抜け出せないものだ。
この物語はその闇の中にいた少女が友人のキクちゃんやその兄・雪生により「再生」していくまでの話。
「再生」という部分では最近読んだ瀬尾まいこ氏の「図書館の神様」に似てます。
失ったもの、一人になる時間、そして新しい人との出会い。
緩やかだか主人公の未来に光が灯ってくる感じがとても良いです。
そしてまたラストがいいですね。
読んでいて目の前で試合がスタートしたような気分になりました。
この明るい未来への余韻を含んだ清々しさ、21歳の彼女の今後の執筆活動に期待大です。
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新刊が出た!と知って買いに走った作品。読み終わったときに心が優しくなるようなそんな笑みがこぼれるような仕上がりになっている。前作と比べだいぶ成長した作者がそこにある。つーか島本好きだよ大好きだよ!平凡かもしれない日常を書くあなたが好きだー!
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☆☆☆☆
とてもつぼにくる恋愛小説だった。日常を淡々と。恋の息苦しさを深い森に入ることに例えていたが、作者はあとがきで誰もが必ず森から出て行くものだと言ってたのが印象的だった。そんな話だった。
印象に残ったセリフ
「私はあの人に幸せになってもらいたかったんです。眠る前に新しい朝が来ることを楽しみに思うような、そんなふうになってもらいたかった。けど私には無理だった」
「幸せにしたいと思うことは、おそらく相手にとっても救いになる。けど、幸せにできるはずだと確信するのは、僕は傲慢だと思う」
誰かを救いたいと思うこと。その相手の手を放すか、それとも掴むかの一瞬の違いが恋愛の残酷さでもある。
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淡々と始まり、淡々と終わった。主人公に好感は持てなかったけれど、キクちゃんは良いキャラだなあと思いました。この本では島本さんのファンにはなれなかったけれど、もっと代表作とかも読んでみたいと思います。
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芥川賞が話題になった時に、綿矢りさと、金原ひとみと並んで話題になった島本理生の本。あたしは読みやすくて好きです。
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修学旅行の前に買ったから4月か5月に買った本。芥川賞候補の作品だったんだけど、130回芥川賞の作品よりスキかも。なんかある度に読んでる気がする。なんか不安なことがあると睡眠にでるところとか、主人公となんとなく自分がかぶってたりするからなのかもしれないけれど。キクちゃんみたいな人が側にいたらいいのにな。っていつも思う。
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初島本理生。レビュー見ていると「リトル・バイ・リトル」を先に読む方が良かったのかなーって思ってしまいますが、まぁそんなことは個人の自由か。えと、結構色んな人が指摘しているけれど、あたしも第一印象綿矢りさを思い出しました。というのは綿矢りさを先に読んだからなんですが。でも、個人的にこちらの方が好き。綿矢りさが「綺麗で完璧な表現」を小さくしか使えていないのに対して、島本理生は「綺麗でありふれた表現」を全体にうまく使えてる気がした。単調で日常的なことを題材にした小説は、読み手によって感じ方が全く変わってくると思うけど、あたしはこの小説に出てくる細かい心理描写にすごい共感出来るものがあって、好きだなーと思いました。
余談ですが雪生さんのお母さんが自分の母ともろにかぶってしまいました(爆)
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若くて自分の気持ちを整理できなくてモヤモヤとしている頃。苦い恋を思い出させてくれる一冊です。
読む時期によって感じ方が変わるかと。わたしはちょっと懐かしいという気持ちが湧きました(苦笑)
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ナラタージュを読んだ後、この作品を読んだけど、構成が結構似てて、面白くなかった。
作成はこの作品の方が一年前にできてるんだけど。
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200508
主人公は高校生の頃の恋愛を引きずっている大学生の女子。
その大学生の夏休みの出来事を心の変遷を淡々と。最後までこの女子のイメージがわかなかったな。
歳が離れた人を好きになったことがなければ、好きでたまらない人と別れた経験もないおいら。苦しくなる恋愛ってどんな?未熟でスマン。さらっと読了。
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読み終わってから、自分より年下の方だと知ってびっくりしました。何度か芥川賞にもノミネートされてるようで、さらにびっくり。好きな相手のために離れること。なかなか難しいです。子供の独占欲の延長のような恋ではできないですね。お互いのためだと分かっていても、無くしたという空虚感は押し包まれるくらいに大きい。人に頼れない性格ならなおさらで、自分を虐める方向にだって向ってしまうでしょう。無かったことにはできないけどほんのちょっと受け入れるまでの物語だと思いました。登場人物が飲んでるアルコール類がなんだかとってもおいしそうで、つい酒屋に買いに走ったというオチあり。
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読みやすい自然と体の中に受け入れられる文章がとても好き。内容にとても共感できる部分が多くて色々と考えた。
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やっぱり読みやすいし、すらすらと読める。なんかぐさっと?っとくる感じが。
(2005.3.27読了)
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予備校講師との深い森のような恋いの記憶に囚われ抜け出せない主人公。親友の温かいあたたかい家族とのかかわりによって、森からの出口へ歩き始める。