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経済学という教養 みんなのレビュー

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紙の本

彼らはなぜ「シバキ主義者」となったか

2004/03/12 02:15

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:梶谷懐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

稲葉さんは、ポストモダン思想の強い影響下にありながら、ポストモダン左翼の現実批判のナイーブさに対して一貫して厳しい立場をとってきた。ただ、これまでは自分の新たな立ち位置について模索中という感じがあって、短い文章ではとても鋭いキレを見せるのに、著作では全体として何を主張したいのか今一つわかりにくいという印象があった。
 本書は、そんな著者が試行錯誤の末、思想的根拠として主流派経済学にたどり着き、その効用を積極的に説いた本といえるだろう。そのため全体的に吹っ切れた印象があって読みやすいだけでなく、従来の持ち味ともいえる左翼・マルクス主義批判も冴えわたっている。ただ、こういった本書の持つ意義はすでにいろんなところで語られているので、ここではあえて本書の重要なポイントである「ケインジアン」に関する理論的な整理のところで感じた若干の疑問点について記しておきたい。

この本の経済学的な眼目は、ケインズの「流動性の罠」を重視する立場からマクロ的な金融政策の必要性を説くこと、そしてそのようなマクロ政策の効果を軽視する「構造改革論」を、「シバキ主義」あるいは「罠にはまった左翼」として批判するところにある。つまり本書では、ケインジアン対マネタリスト、といった伝統的な対立というよりも、ケインズの解釈として「市場の不完全さ」を重視する立場(「実物的ケインジアン」)と「流動性選好説」を重視する立場(「貨幣的ケインジアン」)との対立にその強調点がおかれているのである。
 とりあえず痛烈な批判の対象になっているのは金子勝だが、彼に限らず市場の不完全性と「制度」の重要性を強調する論者に対して著者は全般的に批判的である。その背景には、金子にせよ、青木昌彦にせよ、もともとマル経的な出自を持ち、「日本的な資本主義の異質性」に向き合わざるを得なかったという日本のアカデミズム内での特殊事情がある。彼らはモラリストであるがゆえに「悪人も一緒に救われてしまう」ケインズ主義よりむしろ「シバキ主義」的な構造改革論に組してしまいがちだ、というわけだ。この指摘は彼らだけでなく日本における左翼(あるいは元左翼)全般にあてはまる批判として非常に鋭い。
 ただ、こういった分析は日本の「経済学」論壇の社会思想史的な解釈としては非常に優れているものの、純粋な理論的な追求としては若干の不満が残る。市場の不完全性や「制度」の役割を分析しようとするミクロ的な視点と、流動性選好を重視しマクロ的な金融政策の効用を説く「貨幣的ケインジアン」の視点は本来両立可能なものであると思うからだ。実際、スティグリッツなどはその方向で積極的な理論構築を行っているし、また本家アメリカで「新制度学派」を切り開いてきたきた、コース、ノース、ウィリアムソンといった人々にも、少なくとも金子・青木のように「シバキ主義」に傾きがちだ、という批判は当てはまらないだろう。
 以上のような本書の理論的詰めの弱さについては、筆者も十分に自覚的であり、例えばリフレ政策に対して岩田規久男や野口旭などの「実物的ケインジアン」が賛成しているのに「貨幣的ケインジアン」の代表である小野善康が反対している、という一種の「ねじれ」が生じていることを認めている。

 以上のような疑問点は感じるものの、経済学という一般に「敷居が高い」と思われている学問において「筋金入りの素人」であることを実践して見せたこの本の意義は、いくら強調してもし過ぎることはないだろう。

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紙の本

「スジガネ入りのアマチュア」たらんとするための「教養としての経済学」

2004/01/21 23:27

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:子母原心 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人は誰しも「ケイザイ」なるものに多かれ小さかれ関わりを持つ。進学、就職、結婚といったライフ・イベントの過程で、あるいは日常品を安く買いたい、ブランド物がほしい、などといって消費者としての行動のなかで。世の中にはエコノミスト/経済学者といった「専門家」が存在するが、誰しもがそのような専門家になるのではないが、やはり経済行動の指針として経済の知識は必要だ。「啓蒙書」はその知識を提供するために存在する。本書もそうしたものの一つだ。

 本書によれば小田中直樹『ライブ・経済学の歴史』飯田泰之『経済学思考の技術』に続く「三部作の最後」とのことだ。(ところで三冊あわせて6600円、チト高い。)「経済の専門家じゃない人の、経済行動の指針としての経済の知識」はこの三部作を読めば十分得られる。

 飯田本はより実践的な、今流行の論理的思考力トレーニングの体裁を取った経済/経済学の入門書。小田中本はその名のとおり「経済学史」だが、経済学の理論「毎」にそれぞれの理論の歴史をたどると言うスタイル。そして本書は「教養としての経済学」を提供しようとしている。

 「教養としての経済学?」本書の言葉を借りれば「スジガネ入りのアマチュアになる」ための「教養としての経済学」だ。日本社会はこれまでの平等社会が崩壊してこれからどうなる? この長い不況はそもそも何に端を発しているのだろうか? 日本経済を形作ってきたシステムが機能不全に陥り、構造改革が必要らしい? こうした問題点というのは、広く社会科学の研究の対象なのだ、という点を紹介しつつ、経済学での議論を紹介している。「経済学という教養」と謳ってはいるものの、実際には経済学を出発点にして、そこから経済という問題をより広範囲な、哲学や政治の話でもあるんだよ、と解き明かしていく。

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2005/05/20 10:28

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2006/02/17 03:21

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2006/07/20 21:13

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2007/02/13 12:03

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2014/03/30 22:05

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2013/07/22 15:13

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