紙の本
うれしいような悲しいような
2004/05/17 23:22
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常のちょっとした謎や不思議に目を留め、そこから驚くような答えを導き出す円紫師匠のシリーズも5冊目。大学生だった語り手の「わたし」もぶじ大学を卒業、アルバイトしていた出版社に就職が決まり、社会人として歩き出しました。シリーズ1話からすっかりファンになってしまいずっと読み続けてきた者にしてみれば、この時の流れと成長はうれしいような悲しいような。子供をもつ親の気持ちが少しわかったような気がします。
さてこのシリーズ5冊目、ちょっと切ない感傷的な気持ちにさせてくれる文章、文体は前と同じ、さらに洗練されています。作者の趣味なのでしょう、文学や落語について筆を割き言及しているところも同じなのですが、前作、そして本書とその割合が多くなってきています。以前は謎とその解明の間に文学談議や落語の解釈があったものが、それが逆転してしまっていて、文学談議の合い間に謎解きがある感じです。ウンチクは増えますが、まず文学や落語について書きたいことがあって、それに合わせてミステリをつくっているように読めてしまい、ミステリファンとしてはちょっとさびしいですね。
紙の本
私と円紫さんシリーズ第5弾です
2023/02/05 09:33
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「私」と円紫さんシリーズ第5弾です。
「私」が大学を卒業して就職しました。
ボクっこ正ちゃんの一人称が変わっていたのが、少し寂しい。
紙の本
一歩踏みだした
2017/12/13 13:46
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
とうとうお馴染みの「私」も社会人になりました。物語の方向性が変わってしまうかもと心配しましたが杞憂でしたね。相変わらずのみずみずしさ。
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円紫師匠と私シリーズの第5弾
「空飛ぶ馬」当時、女子大生だった私も就職し、だんだんとおとなになり・・・。
次があるのかわかりませんが、最後には私の名前が呼ばれるのだろうと思っています。最愛の人から。
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「私」は、これからどうなっていくんだろう・・非常に気になります。早く続きがよみたい、けど。おわってほしくない。
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「空飛ぶ馬」で始まり、日常の謎というジャンルを生み出したこのシリーズも5作目になり、「私」も出版社に就職しました。当然のことながら、まわりの人々も少しずつ変わっていきます。もちろん、円紫さんは変わらないけれど。
日常の謎はもはやミステリの枠にとどまらないような気がします。でも、小説の世界観としてはまさに北村薫の世界。たとえ文学談義についていけなくても、その雰囲気を味わい、楽しむことができれば、満足感が得られるでしょう。
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ミステリはね、謎の殺人事件を解決するだけじゃないんだよ、と教えてくれたシリーズ。淡々とした味わいがなんともいえない。それでも、いやそれだからこそ「山眠る」は心に重いものを落とした。逆に現実にはそういう事件の方が多いのだと思う。それでも嫌な感じでは終わらない。ただのハッピーエンドでもない。そしてそこに生きる主人公がきれいに感じられる。
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シリーズ5作目。「私」も卒業し出版社の編集者として社会人になったところからスタートです。
収録作品は
「山眠る」
「走り来るもの」
「朝霧」
ですが、
前作同様に文学に関する話は、なかなか苦手ですが(特に前作から続くような感じの山眠るはそうですが)それでもそれぞれの作品に意味があるようで楽しめました。
「山眠る」では、「冬の山に雪が積もるのにも、きちんとわけがある」って言うことで、これがミステリーのテーマとなっています。
「走り来るもの」は、表題どおりなら、ライオンが走り来るのだろうけど、リドルストーリー(起承転結の結を書かずに終えて、結末を読者にゆだねるような作品だそうで、それをリドルストーリーと言うとは初めて知りました)の話題で、その結末を想像すると言うか当てると言うものです。
その余韻が残った状態で、ベルリオーズのレクイエムを聞きに行ったときに隣に座っていた人との再会、、その気持ちが「私」の恋へと変わるのかどうか?「朝霧」では、そんな想像をさせてくれる作品になっていて、順番に読むとその楽しさは倍増かな(^^)。
主人公の「私」のことを気に入って、ずっと前作シリーズで読んできました。本の中だけの存在ですが、恋人が出来るのかなと想像するとちょっぴり切なく感じるのは・・・(^^;
朝霧のほのに相見し人ゆゑに命死ぬべく恋ひわたるかな
・・・なんて、ところまでは行かないけど(^^;
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北村薫「圓紫師匠と私」シリーズ第5作。
『空飛ぶ馬』、『夜の蝉』、『秋の花』、『六の宮の姫君』と續いたシリーズ。
これまで女子大生だつた「私」も、本作品では出版社の編輯者になつてゐる。
3篇からなる連作短篇集。
「山眠る」では俳句、「走り來るもの」ではリドル・ストーリー、
「朝霧」では暗號、とそれぞれの短篇で「言葉」に拘つてゐる。
ジャンルとしてはミステリーなのだが、「言葉」そのものについての含蓄が深い。
「走り來るもの」ではフランク・R・ストックトンの有名なリドル・ストーリー『女か虎か』について言及されてゐる。
どうも最近この『女か虎か』には縁があるやうだ。
つい最近讀んだ、霞流一 の『スチームタイガーの死走』でも登場してゐた。
最後に記載されてゐる萬葉集の歌。
朝霧のほのに相見し人ゆゑに命死ぬべく戀ひわたるかな
どうやら、次囘作は「私」の戀物語となりさうな終はり方である。
2004年4月21日讀了
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文庫になるのをずっと待っていた1冊です。私の周りの世界がだいぶ変わってきました。この先にあるだろう未来が気になる話です。
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「山眠る」はありそうな話だが、ちょっと悲しいなあ。「走り来るもの」もちょっと残酷な話し。最後の帳消しのためのことが書かれるがいまいち。まあ、「朝霧」が良いかも。昔のちょっと良い話、そして「私」がちょっと気になる男性が出現。円紫師匠はどんどん脇役になっていく〜。たしかに「私」の日常生活の方が面白いけど。
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「秋の花」「六の宮の姫君」と、長編が続き、この「朝霧」で3編の短編にまた戻る。大学を卒業し、社会人になった「私」が登場する。
最後の編である「朝霧」がダントツにステキ。少ししか会ったことなくっても恋は動き出してしまう、そのきっかけをゆるやかに、そして確実に「私」に送りこんでいるのがわかる。続編が気になるのだけど、コレで終わりなの?
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円紫と〈私〉5作目。
芥川に関する卒業論文を仕上げ、編集者として社会人になった〈私〉。
俳句メインの「山眠る」、リドルストーリーの結末は?「走り来るもの」、祖父の日記の符丁を解く「朝霧」の3編。
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「私」と円紫師匠の名コンビシリーズ第五弾。「私」も社会人になりました。このシリーズを読み続けていると、「私」に比べて自分の読書体験がいかに乏しいかと愕然とする。
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前作でアルバイトに行った出版社に就職し、社会人となった「私」。シリーズ初めての恋愛、結婚がテーマの話が登場します。