紙の本
少年たちのペンギン・サマー
2004/12/21 14:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:花の舟 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み。少年達。自由研究。川端氏の作品は初めてなのですが、少年達の登場する物語がとりわけ好きな私は、迷うことなく話に引き込まれていきました。この物語は、ノスタルジックな翳りがなく、本当にいま時の子供達のアイテム満載で、そういう意味でもおもしろかったです。携帯電話、私も大好きな海賊団が活躍するアニメ、アレだとわかるRPGのゲーム、メール等々、旬の小道具が上手に配されていて、そんないま時の少年達が、一夏を費やすことになった、川にまつわる考察と冒険と、友情の物語。
脩、ゴム丸、河童の3人を中心に、手嶋が加わり、その他のクラスメートとのいざこざや、連帯が、小気味よいテンポで、描かれていきます。
そして、重要な人物として、喇叭爺の存在。少年達を、精神的に引っ張っていく、このお爺さんがすごくいい。大事なことをストレートに伝え、見守るそのスタンスがとてもいい。
話の中心となるペンギンは、もちろん大切なのだけれど、脩がペンギンを通じて、川を見つめ直し、知っていく過程が、ゴム丸や河童をより深く理解していく過程と重なっていて、彼らの、小学5年生なりの葛藤、逡巡、決断、団結などのようすが、実に気持ちよく心を揺さぶるのです。
「川の名前」で、自分の居場所を表すという考え方。とても、地球規模的なスケールで、感動しました。いいなあ、おおらかだなあ、私だったら、どう言えばいいのかなあ……しばし、考えたりして楽しみました。
そして、喇叭爺のいうように、流れ、出でて、巡り、還ってくる自然の不思議さに、心うたれました。
脩たちを取り巻く、大人社会。親の離婚、再婚。受験。将来へのレール。自分を見つめ、自分の力で、摂取し排除し、友達を知ることが自分を知ることにつながっていきます。読みながら、子供の力の底知れなさに胸いっぱいの感動を覚えたのでした。
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日本の川にペンギン出現にはびっくりするけど、例の多摩川のたまちゃん騒動の裏側も実はこんなだったんじゃないかと思えてくる。ニンゲンの想像をはるかに超えた自然があり、「正しいこと」がいつも「良いこと」とは限らない、忘れていた「大事なこと」がココロの深いところにジワっと滲みる。
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10歳くらいって、損得感情がチラホラでてくる時期だと思う。そんな世代の子が偶然みつけたペンギンを巡って、汚いけど正しいこともある大人の価値観と真っ向からぶつかっていく姿が気持良かった。
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小学生の男の子達が近くの川に住みついたペンギンの観察を通していろいろ経験してひと回りもふた回りも大きくなっていく話。
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「川の名前」っていうタイトルからちょっと想像がつかないペンギン騒動記。児童書には分類されていませんが、小中学生が読んでも十分おもしろいのでは。自分自身も川の近くで育ったので、共感できるところがたくさんありました。
文庫版も出ているけど、装丁はこっちの方が好き。
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自分の居場所を説明できるか?足元を固めれば、おのずと身も心も軽くなる、というおはなし。小学生のころ何を考えてたっけなあ・・・
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多摩川水系の桜川に怪物現る!という話を夏休みの自由研究テーマにした修・ゴム丸・河童は調査の末、ついに怪物の正体を見た。
川を愛するカワガキの夏休み。
小学生の夏休み、自由研究、秘密基地、家族の関係、優等生の反抗、いじめっ子と対決、腐った大人退治、とにかく忘れられない夏なのだ。
私も明日から、川で名乗ってもいいですかー(><)
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小学五年生の男の子が主役の、一夏の物語。あざらしのタマちゃん騒動がネタになった部分があるが、それはさておき、とてもよい話だった、可愛くて。この人の文章は平明で読みやすいところがとても気に入ってる。他の作品も読んでみようかな…
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■小学5年生三人組の川をめぐる冒険。しかし、ジュブナイルにあらず!
桜川の怪物、カルガモやサギのものではない足跡を見つけたあたりから話に勢いがついてきて、エンディングまでノンストップ。
■それ以上、種明かしはしませんが、アニマル・ライツやら林間学校でのカヤック、いるか丘陵やタマちゃん報道を思わせるエピソードも盛り込んで、小学5年生たちががんばる話というのはツボにはまるというか、秘孔を突かれた感じ。
■親子で読むといろいろな話ができそう、とも思います。
■著者は幅広い分野を描いてますが、今回は昨年文庫化された「竜とわれらの時代」のダイナミズムとネイチャーライティングの「動物園にできること」、親子を描いた「ふにゅう」がうまくミックスされたような雰囲気でしょうか。(全分野??)
■川の名前を持つすべての人に
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和製『スタンド・バイ・ミー』。
少年期の友情物語。『岳物語』の雰囲気もある。
主人公は小学生たちだが、地味な作品だけに子どもが読み込むパワーが持続するかなと思った。
むしろ大人向けかもしれない。
作成日時 2007年11月04日 06:08
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「おぬしの川の名は?」もしそう訊かれても、きっと私は答えられない。でも私は河童のように、ひとつの場所に根を下ろして生きる。
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少年たちがカヌーか歩きで川を下っていく旅の話ってあたりかと想像していたら『イルカの日』タイプの物語だった。
はじまったばかりの小学5年生の夏休み。
むかしの姿を多少なりとも残している鳳凰池でペンギンが営巣しているのを見つけたのは自然写真家を父に持ち世界中をまわってきた脩、鳳凰池の生態に詳しい河童、ケーキ屋の息子でお調子者のゴム丸の3人の少年たち。
彼らの自由研究の課題は決まった。
ヘンな喇叭抱えて学校に来ては「カワガキーヴェニャムアキ!アゴーラメスモー!」と叫ぶ奇妙な爺さん。
脩にライバル心を燃やしているらしい優等生でスポーツ万能の手嶋たちがからみ川の神秘、野生の厳しさをひしひしと感じていく少年たち。
しかししだいに大人の世界の思惑が彼らを圧迫する。
そのとき少年たちの取った行動は?
(2005年10月12日読了)
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懐の深い小説を書かれる川端さんの作品。読むとタイトルの意味が分かります。こういう子供の頃の気持ちを思い出させ、自分達の立ち位置と世界の広さを感じさせる話は好きです。