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死者たちの都市へ みんなのレビュー

  • 田中 純 (著)
  • 税込価格:2,86026pt
  • 出版社:青土社
  • 発行年月:2004.6
  • 発送可能日:購入できません

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紙の本

自著を語る

2004/07/24 11:24

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:田中純 - この投稿者のレビュー一覧を見る

あとがきなどからの抜粋によって、自著紹介としたい。著者HP

本書で取り上げられるのは、現代における都市の冥界をめぐる政治の諸相である。
政治的暴力や死者たちの慰霊の問題を考えるうえで、都市こそは優れた「方法」である。プロローグでは、古代ローマから現代にいたるパースペクティヴのなかで、この方法がもつ歴史的な時間の厚みについて論じている。
第I部は2001年9月にアメリカ合衆国を襲ったテロを発端として、とくにニューヨーク世界貿易センター跡地の処遇を中心に論じている。マンハッタンに突然開いた死者たちの都市へ通じるこの門を、われわれはどんな護符によって守ればよいのか。失われた命をどのように慰霊することができるのか。そして、こうしたテロとそれに対する武力報復という未曾有の暴力それぞれの歴史的由来と相互関係が、戦場と化した都市の景観の背後に探られてゆく。
第II部は現代都市における死の位相や政治的暴力の様態をより広範に扱っている。そこではまず、死を「生産」する都市アウシュヴィッツ絶滅収容所から届けられた写真のイメージという、死者たちの呼びかけに対する応答の倫理が問われ、医療技術をはじめとするテクノロジーの進展にともない、生と死の輪郭が不分明なものとなった時代における墓地空間(ネクロポリス)の変容が考察される。つづいて、グローバル化する「帝国」に対抗する方法としての都市のモデルが、魑魅魍魎めいた都市イメージのなかに探し求められてゆく。最後に、都市全域に亡霊のように拡散して遍在する警察の暴力と、それを打ち破って国家権力を奪取しようとするクーデターの技術をめぐる分析が、この第II部を締めくくることになる。
一連の考察を通して浮かび上がる、世紀の敷居をまたいだ時代の貌は暗く陰鬱である。本書ではそんな都市の死相を——ヒポクラテスのまなざしをもった歴史家として——読み解こうと努めた。死にかけている都市をさまようことは冥府巡りの旅に似ている。その旅の終わりを告げるエピローグでは、喪われた都市の「おもかげ」へのノスタルジアに、想起を通じた再生の希望を託すことになるだろう。
本書に先立つ著書『都市表象分析I』(INAX出版)でわたしは、「都市表象分析」と名づけた自分の都市論はつねに、都市の廃墟への愛という「暗い幸福」とともにある、と書いた。その思いはいまも変わっていない。都市は訪れた者を巻き込むひとつの巨大な記憶と思考の装置だから、人はその懐に抱かれて愛した都市のようにしか考えることはできないのかもしれない。わたしが最初に自分が愛していることを自覚した街は、まだ壁があった1980年代半ばのベルリンだった。気恥ずかしさを抑えてあえて告白すれば、「ベルリン」という名はそのころ、つぶやくたび、恋人の名のように響いた。
この街を廃墟に似た場所にしていたものが「壁」である。この壁もまた、生と死を分かつひとつの「敷居」にほかならなかった。わたしが都市に向けるまなざしは、結局のところ、この物体化した剥き出しの政治的暴力という「都市の死相」から受けた衝撃に、いまだに深く呪縛されているのである。
そして、この書物そのものもまた、わたしにとってのベルリン同様、愛される極小の都市でありたいと願っているのだが、はて、読者はどんな意想外のパサージュと「おもかげ」をそこに見つけることになるだろうか。
なお、本書に関する追加情報はわたしのサイトで随時公開されている。

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