紙の本
内容紹介
2004/07/15 16:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経BP社* - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営学者とジャーナリストが、イノベーションと呼ぶべき13の製品(黒川温泉を含む)の生まれた背景を訪ね歩き、その秘密に迫る。
「具に驚きのあるカップめん」というトップの思いを、起業家的なミドルが受け止め、製品化した日清食品の「具多」。かつての日本企業が持っていた暗黙知に基づいた原理、ミドルの有能さを再確認するレポート。MBA的な分析、傍観者的態度では生まれない強さの再構築を考える。
■目次
まえがき
序 章知識経営とクリエイティブ・ルーティン
第一章 製品の「コンセプト」にとことんこだわる
ケース1 サントリー カラダ・バランス飲料「DAKARA」
ポカリとアクエリアスの牙城を崩したコンセプトの勝利
〜「場」=顧客との共体験が真のコンセプトを生む〜
ケース2 本田技研工業「アコードワゴン」
絶対価値追求型のホンダの車づくり
〜「弁証法」と「仮説設定」でコンセプトを磨く〜
第二章 組織の「知」を徹底的に活用する
ケース3 デンソー「二次元レーザーレーダーシステム」
“隠れた巨人”の驚くべき知識創造力
〜深堀りの技術屋と横串のシステム屋のせめぎ合いが力を生む〜
ケース4 キヤノン デジタルカメラ「IXY DIGITAL」
「知」を切らないリストラがヒット商品となって花開く
〜「サムライ・モデル」が可能にするキヤノンの強い綜合力とは〜
ケース5 スズキ 50ccスクーター「チョイノリ」
「1cc=1000円」を実現したものづくりの知
〜本質を極めるコスト意識を「型」として定着させる〜
第三章 「個」のコミットメントを限りなく高める
ケース6 富士通「プラズマディスプレイパネル」
個とネットワークとの「共創」により夢を実現する
〜アメリカ型“傍観者の経営”と異なる“人間原理の経営”とは〜
ケース7 ヤマハ「光るギター」
個の挑戦が組織に「ミドルアップダウン」の動きを巻き起こす
〜「友だちの友だちはみな友だち(スモールワールド・ネットワーク)」的な人脈をいかに生み出すか〜
ケース8 黒川温泉観光旅館協同組合「黒川温泉」
「個と全体」のバランスをとり、独特の世界を醸し出す
〜「主語論理」と「述語論理」の矛盾をいかに解消するか〜
第四章 人の「才」を存分に発揮させる
ケース9 日清食品 高級カップめん「具多 GooTa」
「起業家ミドル」が生み出した大ヒットブランド
〜自社製品を否定する最初の会社になる〜
ケース10 松下電器産業「遠心力乾いちゃう洗濯機」「理想を追い求め執拗さ」が持続的競争優位をもたらす
「理想を追い求める執拗さ」が持続的競争優位をもたらす
〜理想の洗濯機は「中華鍋」から生まれた〜
ケース11 ミツカングループ「におわなっとう」
「知的体育会系」社員が市場と商品を結びつける
〜仮説を崩され到達した「真実」は予想外のものだった〜
第五章 日々の「生活」や「実践」を根底から大切にする
ケース12 スタジオジブリ 「千と千尋の神隠し」
すべてのネタは「日常の対話」の中にある
〜「主客一体」のジブリと「主客分離」のディズニーの違い〜
ケース13 海洋堂「食玩」
競争戦略ではなく「創発」的戦略でヒットを生む
〜成功と失敗を反復する中から戦略が湧き上がる〜
まとめ
自分は何をやりたいのか
—脱・傍観者の経営をめざして
投稿元:
レビューを見る
200410 それぞれのエピソードもいいし、野中郁次郎の解説が学ぶべき点を分かりやすくまとめてくれている。
投稿元:
レビューを見る
誰もが見たことのあるヒット商品を例にしているので、親しみやすく読みやすい。勝見明氏が現場を、野中氏がナレッジ・マネジメントの理論を解説してくれる。
投稿元:
レビューを見る
著者らは日本のビジネスマンの知恵と、日本企業に宿る伝統の「型」が融合したところに「知識創造」の源泉があると指摘。多くの企業人が倣うべき理念やモデルを抽出し米国発のマネジメント手法ばかりに頼るなと訴える。
面白く考えさせられる本です。知識創造企業とは何か?ミドルボトムアップの本質は?弁証法により正・反・合をうまく繰り返すには?
投稿元:
レビューを見る
サントリー、ホンダ、デンソー、キヤノン、スズキ、富士通、
ヤマハ、黒川温泉、日清食品、松下電器産業、
ミツカン、スタジオジブリ、海洋堂という
13にも及ぶ知識創造の事例を引き出し、
タイトル通り、イノベーションの本質について記述されている。
著者は知識創造では著名な野中郁次郎氏。
知識創造という考え方は極めて概念的であり、
ややもすると分かりにくい面もあるが、
13の具体的な事例を踏まえることで、
その重要性について理解は進む。
イノベーションに必要な要素は、
・トップの強いリーダーシップ
・ミドルアップダウンマネジメント
・場
となるが、その前提として、自分がどうありたいかという
気持ちが重要と述べており、ここに納得できれば腹落ちする。
SECIやミドルアップダウン等のフレームが、
13の事例の中で単発的に登場するため、
知識創造を体系的には学びにくい。
知識創造を一通り学んだあとで、
さらに理解を進めたいという人にお勧めできる本だと感じた。
投稿元:
レビューを見る
企業でイノベーションを起こした事例を数多く紹介し、それが何故起きたのかを調査をもとにまとめた書籍です。
色々勉強になることが多く書かれていました。
投稿元:
レビューを見る
イノベーションの本質を読みました。
日本でヒットした商品の背景にあるイノベーションについて、分析しています。
サントリー「DAKARA」、ホンダ「アコードワゴン」、デンソー「二次元レーザーレーダーシステム」、キヤノン「IXY DIGITAL」、スズキ「チョイノリ」、富士通「プラズマディスプレイ」、ヤマハ「光るギター」、黒川温泉観光旅館協同組合「黒川温泉」、日清食品「GooTa」、松下「遠心力乾いちゃう洗濯機」、ミツカン「におわなっとう」、スタジオジブリ「千と千尋の神隠し」、海洋堂「食玩」と、13の事例について分析されています。
それぞれの事例が「物語編」と「解釈編」から成り立っていて、「物語編」は、さながらプロジェクトXのような熱いドラマが記載されています。「解釈編」でそのヒットにつながる分析が記載されています。
相対的な価値の追求ではなく、絶対的価値の追求
創造は「弁証法」から生まれる
ミドルアップダウンによる知的創造プロセスの促進
といったところがキーワードかなっと。
「弁証法」は考え方の相反する相手と対話しているうちに新しい考えが生まれてくるプロセスのことです。
物事を解決する、交渉するには「おとしどころ」が重要と思いますが、創造する場合には、、いろんな視点から議論して、新しい視点を見出し、より高い次元の真実にいたることが重要とよみときました。
また、ミドルのアップダウンについては期待さえるミドルへの役割と思われます。
トップダウンでもなく、ボトルアップでもなく、難しいマネジメントといえるものです。
んま、そういうことができる人こそが、この事例に選ばれているんでしょうね。
この書籍で活躍された人は、みんな格好いいです。
投稿元:
レビューを見る
本質に触れる前に、挫折しましたw
読んだところまでのキーワードとしては、
「ミドルアップダウン」だと思います。
日本的経営の長所を重視する野中郁次郎氏の考え方は、
欧米的経営重視を偏重する現在の風潮に一石を投じる
ものであり、個人的には今後も注視していきたい。
投稿元:
レビューを見る
ケーススタディにジブリが載ってる〜♪
◆学んだこと
○ジブリって何人?
170名もいるんだ。すごい! ちなみに平均年齢は29才。
○すべてのネタはジブリの日常から生まれる?
担当の銀行マンやアルバイト希望の大リーグオーナーの息子など、ジブリにやってきた人たちが登場人物のモデルになってるんだって。
○監督VSプロデューサーの創造的対立?
「もののけ姫」の企画が出たとき、宮崎さんは別の「毛虫のボロ」を作りたかったそうだ。でも、鈴木さんが「時代にマッチする」と推した。
「毛虫のボロ」も見たい!
「もののけ」が時代にマッチするというのもすごい!
○宮崎さんは脚本を作らない?
「絵コンテ→原画→動画」という作画を進めながらシナリオを作っていく。結末がどうなるか誰もわからない・・・。
投稿元:
レビューを見る
メーカの開発物語を扱ったものの中では、私が読んだ中で一番おもしろい本だと思う。技術者魂と開発時に必要な事項の理論的な分析・・・事例1つに対し物語と解説を行っているが、どちらもおもしろい。自社の製品開発に対して、考え直す1冊でした。
投稿元:
レビューを見る
イノベーションを産み出すためにはどうすれば良いのかということなのかもしれないが、もっと本質的に、どのように働けば良いのか?どのように生きるのかということを改めて考えることが必要だと思わされた。
形式知や客観だけでは傍観者となってしまう。主観的に動き、現場を直接知り、仮説を立て、繰り返し検証していくことの大切さを痛感した。自分自身がそのようなことができていないと思い当たる節が多すぎるので、すぐにでも行動に移そうと思う。
投稿元:
レビューを見る
イノベーションの本質
●われわれは何のために存在するのかという存在論から始まり、社会的役割は何かを常に問い、商品開発も、自分たちは何のためにその商品をつくるのかを突き詰めてコンセプトを磨き上げる
●誰もが何となく感じていながら顕在化していないもの、つまり、内在的な強みを突き詰めて、その本質を見つけ出す。それを自分たちの商品の中で徹底して強みとして活かすことで、競合製品の向こうにある顧客の心に触れる
●あらゆるイノベーションは矛盾解消プロセスによりもたらされる。創造的で革新的な技術開発や商品開発は、初めに真実ありきの論理分析からは生まれず、相対立することがらを、その都度、弁証法的に綜合していくという連続性を持った運動により生まれる
●まずは簡単に動くものを作成して検証してから、よりコストをかけた試作を行う
●蓄積した知とその結晶体としての人は切らず、次の文脈や場で活用することをいつも考えておく
●大切なのは視点の転換。絶対価値を追求し、その過程で生じる二二律背反の矛盾を弁証法で綜合化する
●目の前にあることを必死でやりなさい。その中から夢は見えてくるはずです
●世の中には100パーセントの成功もなければ、100パーセントの失敗もなく、多くの場合、結果の中には成功も失敗も含まれる。この失敗の部分を成功に転化していくとき、仮説・検証のプロセスが重要になる
●トップが企業改革に向けて掲げるビジョンと、第一線社員のとらわれる狭いものの見方に矛盾が生じるとき、トップと第一線社員の結節点に立つミドルマネジャーが矛盾を解消する具体的コンセプトを生みだし、その実現に向けて上下左右に働きかける
●細心で思慮深く、小さな努力を積み重ねていくような静かなリーダーシップこそが、本当に世の中に変革をもたらしていく
●最高の自社製品を時代遅れにする最初の会社になろう
●直接経験による気づきと分析的な気づき、これらが互いにインタラクトし、暗黙知が形式知へと転換される「知の循環運動」がチームの中で起きる
●コミットメント(主体的関与)を持続させながら、ときに死にものぐるいで目指すものを実現しようとするのは、自分が何をしたいという思いが原点にあったから
●仮説創出力の原石は誰もが持っている。それを呼び覚ますことができるかどうかのきっかけは、自分は何のために存在し、何をやりたいかという問いかけである
●「自分はどうありたいのか」「どうありうるのか」という未来の可能性が見えてはじめて、過去に蓄積された知識やノウハウは意味を持つようになり、再構成される
投稿元:
レビューを見る
日本企業の過去のヒット作について、ジャーナリスト視点でその物語を、経営学者視点でその成功概念を紐解いた書籍です。
13のケースが集録されており、最終章には傍観者ではなく実存者として、我々がどう考え、どう行動するべきかということが考察されています。
イノベーションについては、多様かつ矛盾する命題をとりまとめ(綜合し)、新しい命題を生み出すことであり、その本質を追究する為には、主観と客観、暗黙知と形式知、直接経験と論理分析など、相対立する二つの世界を綜合する力が重要であると読み取ることができます。様々な要素について柔軟なバランス感覚を持つことが、自らの存在価値を高めると私は理解しました。
種々のエピソードを軸としてイノベーションが語られていること、「分析マヒ症候群」を否定していることから、日々の思考が数値基準に偏りがちな方に特にお勧めの書籍です。
投稿元:
レビューを見る
「如何につくるか」の前段階の「何をつくるべきか」に関してチームで活動する様を取材の視点と解説の視点で語られており、開発に携わる人間にとって非常に参考になります。
例えばダカラ発売を延期してまでも何をつくるべきかに拘り続けたチーム活動には驚きです。勝つチームを率いるリーダーとはどうあるべきか考えさせられます。
投稿元:
レビューを見る
イノベーションとは、私には活気と見える。 過去からこの企業はというと独自の風土を持ち、それぞれ伝説を持っている。 シャープでは、早川徳治であり、パナソニックでは、松下幸之助、日清食品では、安藤百福さん、ソニーでは、井深大・盛田昭夫、ホンダでは、本田宗一郎であった。 その伝統が受け継がれなくなり、企業が本来の仕事を忘れると後退する。 それがイノベーションである。