サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

天国はまだ遠く みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー196件

みんなの評価3.9

評価内訳

194 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

なんか、たるい展開だよな、あんまり愚図な女や浮世離れした男はいやだよな、これなら『図書館の神様』のほうが青春してたよな、と思うのであります

2004/08/21 19:06

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

へたうまというか、ま、いかにも瀬尾まいこの本だな、と思わせる装画は霜田あゆみ、装幀 新潮社装幀室。『図書館の神様』のときも、いかにも児童本的なイラストをスズキエミがつけていたけれど、二冊続けてのこのてのカバーは、如何なものかと思ってしまうのではあります。

主人公は山田千鶴23歳、疲れ果て自殺を決意した保険の営業。何でもほどほどにできるが、なにが得意ということも無く、なんとなく現在の仕事につく。性格はいいけれど、仕事のノルマ達成には全く役立たない。働き始めて三年で、周囲ともうまくやっていけず。仕事をやめるという判断もできない女。ということで、彼女は短大出なんだと分かる。

二年間そばにいた彼というのが久秋、26歳。わからないことや納得できないことがあると、すぐ眉をひそめるので、眉間に縦皺が深く刻まれている。何時の頃の彼であったのかというのは、ちょっと分かり難いのかもしれない。で、彼はほんのチョイ役で出てくるのだけれど、かなり好印象である。

で、千鶴が自殺の舞台に選んだのが、北に行く特急が止まる一番端の駅、そこからさらにタクシーで北に行った木屋谷という集落なのだが、それが具体的にどこだとは書いていない。そういえば、千鶴が生活していた都会がどこであるのか、というのも明確に描かれてはいない。

で、彼女が死のうとしたその村は、千鶴にとってはなにも無い村に等しい所だが、その実、車でちょっと行けば、普通の商店街をもった町もあるという、日本のどこにでもある地方の村である。ちょっと違うのは、近くに眼鏡橋という自殺の名所があるという点だろうか。

で、夜遅く、彼女の行動を怪しむタクシーの運転手に案内されたのが、民宿たむらである。主人は、田村、30歳。もとデパートに働き、三年前に両親が亡くなり、民宿を継いだというUターン組みである。といっても、民宿に客がいる気配はない。彼は、もっぱら有機野菜を販売して生活をしている。

千鶴は見事死ぬことができるのだろうか、はたまたサスペンス風の展開をするのだろうか。それは読んでのお楽しみだが、個人的には「甘えんなよ」と思う部分が多すぎて、『図書館の神様』ほどには楽しめなかった。この本には、三年C組の垣内君のような好青年が、出てこないのである(久秋は、期待させた割にあまりに出番が少ない)。

しかし、この作品の評判はかなりいい。どうも、最近の若い人は年上の異性に幻想を持っていて、かなり甘い点を付ける傾向があると思うのだが、どうだろう。一回り以上歳の離れた夫が我が家に一人いるが、かなりウザイものである。やっぱ、必要なのは頭でっかちのオヤジではなく、ピッチピチしたイケメンの男の子であるとは、私の持論だが、あなた、どう思います?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

二十一日間

2004/08/01 22:44

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「死のうと思っていた」。太宰治の第一創作集『晩年』の冒頭の作品『葉』の、有名な書き出しである。この一言で太宰の魔術にかかった人も多いのではないだろうか。誰もが、一度はそんな風に思いながら、けっして口に出せなかったことを、太宰はさりげなく書いた。そのことで、この人は自分のことをわかってくれる人だと思い込んでしまった。少なくとも、私にとっての太宰治は、そうだった。この文章のあとで、正月に麻の着物をもらったと続く。「これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」。臆病者の生き残るための、口実のようでもあるが、癒された。自分も生きてみよう。太宰の、たった数行の文章に救われた。

 『図書館の神様』の著者である瀬尾まいこの新作は、仕事も日常も嫌になった二十三歳の千鶴という女性が自殺を決意したところから始まる。まさに「死のうと思っていた」千鶴は、十数錠の睡眠薬をもって名もない鄙びた山奥の民宿にたどり着く。しかし、彼女は幸いにも死ぬことに失敗してしまう。街にも戻れない彼女は、山間の民宿で、宿の主人と奇妙な生活を始めることになる。

 舞台はどこだろう、海があり山があり、年老いた住民がいて、両親の突然の死でこの山間の村に戻ってきた民宿の主人がいる。そんな場所で、死に損ねた主人公は、やがて自分の心が死のうと思っていた頃とはまったく違うものになっていることに気がつく。何か事件が起こるわけでもない。感情の起伏があるわけでもない。季節は静かに進んでいる。それなのに、たくさんの時間が過ぎ去ったような錯覚に、主人公も、私たち読み手側も陥ってしまう。そんな著者の企みのような文章に、いつのもなにか癒されている自分がいる。

 「二十一日間。たった二十一日。一ヶ月にも満たない。だけど、その日々は緩やかで濃密だった。静かでめまぐるしかった」(166頁)

 主人公千鶴は、そんな奇跡のような二十一日間を経て、生きていくために街に戻っていく。もっと、もっと生きていけそうだと主人公は新しい生活に帰っていく。太宰のように、期間限定の生き方でなく、おそらく主人公は新しい自分を見つけたからこそ生きていく勇気がついたのだ。主人公を再生させたのは一反の麻の着物ではなく、豊かな自然であり、生き続ける勇気をもった人だけがもつ心の大きさだった。彼女にどんな日常がまっているのだろう。それがどんなものであっても、彼女はもう死のうと思うことはないにちがいない。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

絶望の淵から

2018/05/23 05:18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

山奥の村外れの風景が味わい深かったです。死を意識したヒロインが生の喜びへと目覚めていく瞬間には胸を打たれました。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

瑞々しい再生の物語

2004/08/13 09:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コモンセンス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公の千鶴は保険会社に勤める23歳のOL。日々の生活の何もかもが嫌になり、疲れ果て、死ぬことを決意して日本海に面した木屋谷という名の小さな集落にやってくる。一軒しかない民宿「たむら」の二年ぶりの客として投宿したその日の夜に、睡眠薬を14錠飲んで自殺を図るが、翌々日の朝にスッキリと目が覚め、民宿の主人が作った朝食(みそ汁、ご飯、白菜の漬け物、卵焼き、鰺の干物)を残らず平らげた。こうして木屋谷での彼女の日々が始まった。

 「朝、早く起き、男の用意した食事を食べ、自分の物を洗濯して、外へ出る。集落の周りをゆっくり回り、おばあさんに挨拶し、有機栽培のパン屋を覗く。おばあさんの挨拶はいつも一緒で、パン屋は一向に開店しない。集落を一回りしたら、原っぱでこれからのことを考えようと試みる。だけど、思考はちっとも進まない。頭が考えようとしないのだ。今の私は答えを見つける力がない。死ぬ気もなければ、何かを始める気も起きなかった。/昼前に宿に戻ると、男の用意してくれた食事がテーブルに載っている。おにぎりとか、サンドイッチとか、簡単で冷めてもおいしく食べられるものだ。それを食べて、また外へ行く。何も考えず、ただ歩く、昼からは村がそれなりに活気づく。お年寄りばかりだが、何人かが畑で動く姿を目にする。人が働く姿を見ると、さすがに活動しなくてはいけないって気持ちになる。だから、私も少し一生懸命歩き回る。くたびれたら、そこら辺りに座り込んで、ただ、景色を眺める。時々、細い雨が降ったりするが、気にはならなかった。ただそれだけで、日々は過ぎていった。」

 彼女は生と死の間にいる。生物学的にはちゃんと生きているが、社会学的には「民宿の客」として、つまり地域共同体の外部から一時的にやってきた人間としてのみ存在する。彼女は社会から遊離している。物語は彼女が再び社会へかかわっていこうと決意するまでを描く。すなわち再生の物語である。前作『図書館の神様』も再生の物語であった。再生(再起)の物語は大衆文学の王道である。「忠臣蔵」も「プロジェクトX」も再生の物語である。われわれは再生の物語が好きなのだ。だが、そうであればこそ、再生の物語は大量生産され、マンネリになりがちである。読者はたんに再生の物語であるというだけでは感動しない。再生の過程をいかに瑞々しく、いかに繊細に、いかに説得的に描けるかが重要である。瀬尾まいこはそれをなんなくやってのける。才能というしかないが、彼女がこれから先ずっと才能だけでやっていけるとは思えない。どんな作家も自己模倣に陥る可能性はある。はたして彼女が次にどんな物語を書くのか、注目して待ちたいと思う。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

おかしな浦島太郎かもね。

2004/07/23 19:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:池のワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 自殺を考え、旅に出ようとしている。それなのに、ガスの元栓をもう一度確認しないではいられない。そういうヒロインだ。名前は「山田千鶴」。いまどき二十そこそこのOLに「千鶴」だなんて、名前ひとつで親の顔なんかも浮かんできたりしてくる。些細なことではあるが、この作者の独特さともいえるだろう。
「とりあえずもっと北へ向けて走らせてくれませんか」
 降り立った日本海の駅で彼女はタクシーに乗り、「北って、どこやねん」とつっけんどんに訊き返す運転手に、奥へ行ってくださいと繰り返す。どう見たって自分でアブナイと言いまくっているようなもの。深刻な話のに、吉本新喜劇のニオイがぷんとする。何ともいえないリズムがいい。
 灯かりもなきゃ、ひと気もない。夜道に車を降りた彼女は不安におそわれる。死のうと思っているんじゃないのと、読者としてはツッコミたくなるが、これもすべて作者は計算づくに違いない。悲そうは、ときにおかしみを伴う。とくに他人の目には、テンションが上がった状態なんて滑稽にさえ思えることがある。
 彼女が自殺を決意した職場の悩みなんて、ありがちなこと。だから彼女はある意味、読者の分身でもある。はきはきとものが言えないドン臭いヒロインが、過疎の村で民宿を営む(といっても、彼女が何年ぶりかの客らしい)主にそっけなく雑にもてなされるうちに、自分自身のおかしさに感づきはじめる。話半ばにして、この先の結論は見えてくる。ストーリーに特別な山も谷も仕掛けもない。しかしそれでも、そこがまたいいと感じさせるのは作者の手腕だろう。
 人はのんびり、米がうまい、魚が美味しい。自給自足の自然な時間を身体で感じ、厳しさとともに楽しさを味わい、一日伸ばしに滞在を延長していくうち、垢のように彼女のなかからポロポロ落ちていくものがある。成長小説でもあるし、恋が実って救われました。なぁんて、ハッピーエンドじゃないところがいい。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2004/10/11 21:29

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2004/11/20 23:50

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2004/11/27 22:12

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2004/12/26 18:58

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/02/22 13:14

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/03/10 09:29

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/03/28 16:08

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/05/11 00:45

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/05/23 20:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2005/07/02 18:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

194 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。