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ベルリン陥落1945 みんなのレビュー

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紙の本

戦争に負けるということ

2008/02/09 17:24

17人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いや、凄まじい本である。本書は同じ白水社から出た赤軍記者グロースマンとセットのような本である。これを読むと戦争に負けるということがどういう結末をもたらすのかが分かるというものである。ドイツでは戦場における性暴力への追求は一般に低調である。「戦争に性暴力はつきもの。そんなものを好んで取り上げるのはアジアの文化か?」などというとぼけた表現がこの本に出てくるが、私はこのドイツ女性の反応が不思議でならなかった。腑に落ちなかった。それが本書を読んで氷解した。要するにドイツが戦争し首都ベルリンが陥落したときにドイツ女性が強いられた強姦、輪姦の嵐が全ドイツ女性に強烈なトラウマとして残り、戦争と性暴力を語ることはドイツではタブーとなったということであろう。とにかくその数と被害の幅が凄まじい。私の手元にあるNHK「カラーで見る第二次世界大戦」ではベルリンで強姦されたドイツ女性は30万人とあるが、本書では全ドイツでそれが200万人に膨れ上がっている。窓という窓が吹き飛んでいたこともあって、夜毎街中にとどろき渡るソ連兵に強姦されるドイツ女性の悲鳴。何度も何度も輪姦されて精神に異常を来たすドイツの箱入り娘達。自殺した女性も多いという。自分の娘を強姦被害から守るため、隣家の娘達が隠れている場所をわざとソ連兵に教える母親。ソ連兵によって同時に祖母、母、娘が強姦される生き地獄。「夫が戦死していたことがせめてもの救い。もし夫が生きていたらソ連兵に踊りかかって目の前で撲殺されていたことだろう」。圧倒的な武力を誇るソ連兵の性暴力を目の当たりにして勇敢にも抵抗を試みるドイツの男性はほとんどいなかったという。目の前で隠れ穴からソ連へにより引きずり出され助けを求め泣き叫ぶドイツ女性を前にして「巻き添えを食うのは嫌だから、とっとと彼女をどこかへ連れ去ってくれ」と呟くドイツ人男性。実際、ドイツ女性を強姦しようとするソ連兵に対し決死の抵抗を試みたのは、妻や娘を略奪されそうになった夫か、母親を連れ去られそうになったドイツ少年だったという。そして抵抗の代償は、撲殺、射殺。。。
昔、森嶋通夫というバカな似非学者がいて、非武装中立論を説く中で「赤旗白旗論」という議論を展開したことがある。ソ連が攻めてきたら、まず白旗を掲げて抵抗する意思のないことを示し、次に赤旗を掲げてソ連兵を歓呼の声で迎えれば日本人は無傷のままハッピーな「戦後」を迎えることが出来るであろうから自衛隊なんかいらないという議論だが、この本を読むと、森嶋というアカの議論が如何に無責任というか、ほとんど犯罪的であることが分かる。日本のアカたちは、話し合い・無抵抗が好きである。無防備都市宣言をすれば敵から爆撃されることもなければ危害を加えられることも無いという宗教にも似たウソを熱心に説くこんな本もある。ところがこうした「無防備都市宣言宗教」は世界でほとんど支持されず、NATOをはじめ欧州や東欧諸国、中東諸国、アジア諸国は今日も軍備増強に勤しんでいる。お隣の中国なんかアジア支配を目指しているのか10年連続で物価上昇率を割り引いた数値でも平均18%の軍備増強を過去10年以上にわたり続けている。なんでこうなるのか。なぜ諸外国は「軍事力」という「力の論理」を卒業できないのか。それは日本のサヨク・アカに比べ、諸外国人がみんなバカで血に飢えた動物だからなのか。違うだろう。無防備都市宣言で非武装中立を国防政策の中核にすえるということは、酒に酔った敵兵、麻薬でラリった敵兵により、男は無差別殺戮され、女性は徹底した強姦、輪姦被害にあっても尚、「無抵抗を貫く」宗教的自己犠牲の精神ナシには出来ないことだからなのである。テロリストに喉元にナイフを突きつけられたくらいで「やめて下さい、助け下さい」「日本政府は何をしているんですか」と叫ぶようじゃ、非武装を叫ぶ資格は無いと言い切っていいだろう。それにしても日本はつくづく幸運だったと思う。日本はアメリカ軍という規律正しく優しい紳士的な軍隊によって占領された(もちろん比較の問題ではあるが)。これが日本の戦争感を歪めてしまった感を強くする。戦争に負け、敵に戦争されることが実際にどういう事態を招くかを追体験する上で、本書は格好のテキストである。

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紙の本

ベルリン攻防戦、憎悪の連鎖を描く上質ノンフィクション

2006/12/28 09:06

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:明日のジョー - この投稿者のレビュー一覧を見る

戦史ノンフィクションものはめったに読まないのだが、夏に行ったベルリンという都市が、60年前にはどのような状態であったのかという興味から手にとってみた。ベルリン攻防戦は、東ドイツ国家の成立を含むドイツの戦後過程、そして東西冷戦の原点に当たるものだからだ。
これがむちゃくちゃ面白い。面白いというと顰蹙を買うかもしれないが、ソ連軍の進攻とナチおよびドイツ国防軍の抵抗を軸に、刻々と変わる戦況を、兵士や市民の手紙も含む膨大な資料と証言から再構成するその筆致は見事というしかない。1926年生まれでロシア語やポーランド語も解するという訳者・川上 洸氏の、当時の軍事用語を駆使した的確な翻訳ともあいまって、上質のノンフィクションに仕上がっているというのが第一の感想だ。
私が知らなかった重要事実について、いくつもの精緻な記載がある。たとえば、ソ連赤軍が行った略奪や婦女子への戦時性暴力の実態。ベルリン市内に限ってみても、「レイプされた10万の女性のうち、その結果死亡した人が1万前後、その多くは自殺だった」という記録が引用されている。ソ連兵は、ナチの収容所に囚われていた女囚や、隠れていたドイツ共産党員の娘や妻をも陵辱したという記載はショックである。
本書の原書が2002年にロンドンで刊行されたとき、当時の駐英ロシア大使が抗議文を新聞に発表したほど、その記述はセンセーショナルで、その凄絶さは、こうした性暴力は戦争には常につきものという、生半可な「了解」を超えるものだ。
もちろんソ連兵を暴行と略奪に駆り立てた背景には、ドイツの対ソ戦の過程で行われた占領地における徹底した暴力への、当然の報復という面があった。つまり、象徴的にいうなら、ベルリンはスターリングラードの記憶と切り離せないものだった。こうした報復の連鎖の禍々しさは、ベルリン市民の一人がSバーン列車内で聞いた、ドイツ復員兵のアジテーションに象徴される。
「この戦争には勝たねばならん。勇気をなくしてはならんのだ。もし相手が勝ったなら、そしておれたちが占領地でやったことのほんの一部でも敵がここでやったら、ドイツ人なんか数週間で一人も残らなくなるんだぞ」
ナチは占領地を略奪し、多くのソ連市民を「奴隷」としてドイツに拉致した。だからこそ、その報復として、ベルリンが崩壊すれば女性は全員がレイプされ、男性は全員がシベリアの強制収容所に連行されると、ナチは宣伝していた。そして一部はその通りになった。
戦争は、憎悪の連鎖であり、報復の鏡である。相手に与えた暴力と恐怖は、そのまま自分にも跳ね返るのが常だ。そして、その復讐のチェーンは、いまなお、世界各地で繰り返されている。
他にも、ヒトラーとスターリンの戦争指導力の実態、互いの宣伝戦や謀略、斃れゆく兵士の膨大な数と一つひとつのエピソード、敵前逃亡や裏切りを摘発するナチ憲兵や人狼部隊、同様にソ連側のNKVD(内部人民委員部)やスメルシュの暗躍など、相互の描写のなかから浮かび上がるのは、戦争一般がもつ悲惨さと同時に、ナチズムとスターリニズムの相似の表情である。

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2012/07/31 00:01

投稿元:ブクログ

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2014/05/11 21:24

投稿元:ブクログ

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