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みんなのレビュー75件

みんなの評価4.1

評価内訳

75 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

戦争を伝える義務

2004/11/12 16:35

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:川嶋 美幸 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読み終えて暫らく眠りにつけなかった。互いに深く思い合っている美奈子と浩二。ほほえましい純愛は戦争の名の下に永遠に引き裂かれてしまった。精一杯「生」に向き合い、迎えた悲しい結末に言葉が出ず、ひたすら「どうして?」、「何故?」という問いが頭の中を駆け巡った。勝者、敗者関係なく体や心、またその両方に大きな傷をもたらした「戦争」。「戦争」が今を生きる人々にとって他人事のようになった今日。と「回転」を世に伝えるために死に向かった並木浩二を通じ、横山秀夫もまた読者に戦争のリアリティを伝えなければならない衝動に駆られたにちがいない。それは、戦後を生きる者の義務。戦争についてもっとよく知らなければ。次の世代に「戦争」を伝えなければいけないのは、紛れもない私達なのだから。

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紙の本

戦争を知らないわたしたち

2004/08/08 19:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

人間魚雷「回天」特攻隊—このテーマで、右にも左にも傾くことなく小説にするのは、いきおい慎重にならざるを得ないと思う。「出せば売れる」横山秀夫が、あえてこの題材を選んだことに、素直に敬意を表したい。
これは1996年に青少年向けに刊行された作品を全面的に加筆修正したもので、横山作品の原点であると同時に、彼がデビューから一貫して描いてきた「組織」対「個」、「保身」対「矜持」というテーマの究極の到達点でもあると言えるだろう。

人間魚雷とは、「爆薬を満載した改造魚雷に人が乗り込み、たったひとり暗い海の中を操縦し、敵の艦船の横腹めがけて搭乗員もろとも突っこむ」と本文にある。
主人公・並木はその「特攻兵器」の実像も分からぬまま、熱に浮かされたように、友を庇うかのように、搭乗員に志願する。その後、人間魚雷の実態を知ったときから、彼は生と死のはざまで激しく懊悩する。
もちろん、彼の周囲には、自ら死んでいくことに躊躇しない者もいる。可愛い後輩の沖田や、大学時代からウマの合わない北などがそうだ。だが、「死ぬことを夢にすることができない」並木の姿に読者は自らを重ね合わせ、彼の思いを痛いほど追体験することになる。必ず死ぬと分かったとき、自分はどうなるのか…そう想像せずにはいられない。

本作を「組織」対「個」、「保身」対「矜持」という視点で読んだとき、何を「矜持」と捉えるかは読者に委ねられている。
人間性の徹底的に排除された軍隊、ひいては当時の日本という「組織」の中で、特攻隊員として死んでいくことは、「個」の名を残す唯一の「矜持」の場である、そういう方向性で読むことも可能であるが、「いっそ死んでしまいたい」という登場人物たちの魂の叫びを目の当たりにすると、生き延びることの方がよほど「矜持」を必要としたのではないか、とも思う。
何を矜持とし、何を保身とするか、単純な図式化を拒むような作品世界に、一人の「個」として生きることがいかに難しい時代であったのかを再認識させられた。

「何のために生きるか」ではなく、「何のために死ぬのか」。自分なりの答えを必死で探しながら死んでいった彼らの背中を思うと、涙を留めることができない。
正直言って、読んでいてつらい作品だ。だが、戦争を知らない世代は特に、目を背けてはならない1冊だ。
ほんの50年早く生まれていたら、私たちも彼らと同じ立場にあったのだから。

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紙の本

戦争を知らない横山さんが戦争を知らない読者に送るメッセージである。

2004/10/12 00:05

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

近年、現代小説の申し子的な感じで警察小説を中心に精力的に執筆活動を続けている氏の原点とも言える作品である。
形の上ではリライトされてるので新境地開拓の作品と捉えることも出来よう。

警察小説のように熱い心の葛藤はみられないが、戦争小説としても青春小説としても楽しめる点はさすがだと言える。
重厚感という点では少し弱いかもしれないが、日本で一番人気のあるスポーツである野球と戦争当時の世相を上手くミックスして練られて書かれている点は見逃せない。

主人公の並木は甲子園優勝投手であるが大学入学後に肘を故障。
しかしながら魔球=新しい変化球の完成を夢見て頑張るのであるが、情勢は学徒出陣へとなっていくのである…

いくつかの感動シーンが用意されている。
最後の帰郷で美奈子に別れを告げずに汽車が出るシーン
 
『美奈子がいた。ホームにいた。走っている。一つ一つ車両の窓を覗き込みながら、美奈子が転げるように走っている。
「美奈子…」
思わず名前を呼んでいた。並木は窓から大きく身を乗り出した。目が合った。美奈子は驚くべき速さで駆け寄ってきて、並木の首に抱きついた。
「…ひどい!」
肩で息をしている。喘ぎながら言う。
「どうして…? ねえどうして黙って行ってしまうの?」
並木は答えに窮した。』

横山さんの反戦的なメッセージが主人公に込められている。
少し断片的なきらいがあるのはこの枚数では仕方ないか。
克明な描写は他の作家にまかせておくべきなのかな(笑)

しかしながら、人間魚雷回天の出撃場面は本当に手に汗握るシーンである。
私たち日本人が今あるのは彼らの並々ならぬ愛国心や家族を思う気持ちのおかげである。
読んだあとネットで回天のサイトを検索して少しだけだが勉強した。
遅ればせながら心からご冥福を祈りたい。

この作品における美奈子の存在は非常に大きい。
彼女の孫が最後に喫茶ボレロにて登場するシーンは微笑ましかった。
逆に対峙的な存在である北の描き方が少し物足りなかったような気がする。

皮肉な意見かもしれませんが、警察物の2時間ドラマや映画より本作のような作品を映画化(ドラマ化)していただけたらと個人的には思ったりしております。

巧いなあと思ったラスト近くの描写を引用したく思います。

『半開きになったカーテンの向こうに小型テレビの画面が覗いていた。衛星放送のニュース番組だろうか、大リーグで活躍する日本人選手の姿が大写しになっていた。背番号「55」が躍動している。敵国だったあのアメリカに日本人が渡り、そこで伸び伸びと野球をしている。やはり途方もない時間が流れたのだ。』

私も含めて、横山さんの読者の大部分は戦争を知らない。
でも昔教科書で習ったり、あるいは映画で見たりして得た知識よりは少なくとも胸に焼きついて本を閉じたことは間違いない…
戦争って本当に悲惨であった。

トラキチのブックレビュー

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紙の本

死と隣り合わせの毎日を過ごす青年の心理

2004/11/09 11:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:密偵おまさ - この投稿者のレビュー一覧を見る

今回は、これまでの横山作品とは舞台の設定が違っていて、「人間兵器」を志願した、野球青年・並木の心理の移り変わりを丁寧に描いている。

「回天」という兵器が第二次大戦末期に使用されたということ、その兵器は“神風特攻隊”と同じように、自らの身を捨てて敵の艦船に体当たりして撃沈することを目的として開発されたものであること、という二点ぐらいは知っていたけれど、“神潮特攻隊”と呼ばれていたこと、その内部がどうなっているのか、どうやって回天が現場まで運ばれていたのか、海軍の訓練や基地での日常などは、まったく知らなかったので、「そんなことがあったんだ…」「そうなってたんだ」といった、驚きもいろいろと。
しかし、何と言っても、“死”を約束された出陣が最終目標となった人たちの、その日までの揺れ動く精神、そして玉砕することを目的として作られた兵器がうまく作動せず、基地に帰還せざるを得なかった人の心の有り様がどんなものだったのか、といったあたりの丁寧な描写は、さすが横山秀夫さんだ!

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2004/10/10 06:10

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2004/10/16 02:30

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2004/10/19 16:55

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2004/11/28 11:07

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2005/01/27 05:17

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2005/05/05 17:40

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2005/04/04 23:01

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2005/11/26 11:38

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2006/01/16 21:07

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2006/05/12 16:25

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