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後書きにも触れられていますが、どの話も感覚に訴える話で、その刺激が心地良かった。
一番お気に入りの話は「デュオ」です。<ピアノ><死>がメインで扱われていて、音感やぞっとする冷たさを、イメージを喚起する絶妙な文体を通して感じます。
実は、以前友人からこの本を借りて、「デュオ」の妖しい魅力が忘れられなくて、今回自分で購入して再読しました。
初読で味わった衝撃的な感動は得られなかったけれど、じっくりと「デュオ」の魅力を味わうことが出来たと思う。
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「デュオ」ミステリ要素たっぷり、音と匂いの描写が素晴らしい。ページを捲る手が止まらない。「呪界のほとり」コミカルなキャラとテンポの良い展開でページを捲る手が止まらない。続編希望。ジジイ最高!「夜と泥の」視覚的・聴覚的な描写が素晴らしい。全体を通しての緊張感にページを捲る手が止まらない。「象られた力」視覚的描写が美し過ぎてお腹いっぱいです!次のシーンが「見たくて」ページを捲る手が止まらない。アニメとかにならないだろうか。
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『廃園の天使』シリーズが良かったのでこちらも購入した。
8〜90年代、『SFマガジン』に発表された中短篇集。映像的な文章はこの頃から変わっていないようだ。
音楽ものの『デュオ』、この本の中ではホラーテイストが濃い目の『夜と泥の』が好み。
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(デュオは未読)
どうも俺には難しい。
表題作「象られた力」はのちの作品『廃園の天使』に繋がるような頽廃的・破滅的・官能的な展開を見せるが、しばしば視点の転換が行われるため話の筋を理解するのにいくらか難儀した。 時間のある時に一気読みした方が楽しめそう。
通勤通学のおともには向かないかと。
「呪界のほとり」
展開が突飛すぎてわけがわからないが登場人物が織りなすコメディのような雰囲気が印象的な一作だった。
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よくよく考えてみると、SFって実はあんまり読んだことないなー。ついていけるかなー、大丈夫かなー。と思っていたのですが、なにやらエレクトロニクス的な難しい単語が飛び交ったりだとかそんなことはなく、どちらからというとファンタジー要素の強い作品だったので読みやすく、そしてなんだか懐かしい気持ちになりました。
小学生の頃、土曜日の昼下がり、ドラクエ3で友達の名前のキャラクターを作って世界を冒険していた時のことを思い出してしまうような、そんな感じ。ちょっと違うかもしれないけどまあ、大体そう。いつだって僕らは何かを懐かしんでいる。というか主にドラクエを懐かしんでいる。
「デュオ」という、結合双生児が天才ピアニストという話と、「呪界のほとり」という、ドラゴンと一緒に宇宙を旅する男の話が面白かったです。でも、「呪界のほとり」は、「俺たちの旅はこれからだ!」的な終わり方になってしまうのが残念でした。
シリーズ物にしたかったけど、結局できなかったとのこと。そんなー。私財を投げ打ってでも続編を買う覚悟は出来ていたのに。
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SF中短編集。「デュオ」では感応をめぐる幻想を、「呪界のほとり」ではメタフィクション的な諧謔を、「夜と泥の」では記憶に馳せる思いを、「象られた力」ではかたちに対する欲望を、ひしひしと訴えかけていた。
作者の提示する世界観や情景はあまりにも豊潤すぎて、私の想像力では到底追いついていけないほど。
この美しく力に満ちたモノに、どうにかして触れたい――まさしく、そのような欲求に駆られる作品だった。
単純に完成度で見たら、少し荒削りにも感じられる。
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数年ぶり再読。飛浩隆の80~90年代に書かれた中編集。『象られた力』は好きすぎて絶対に映像化してほしくない小説の一つ。ちょっとした描写すら美しすぎて途中からずっと泣き笑い状態。この可能性を映像なんて形に収斂させちまうのはもう犯罪ですよ。後の『グラン・ヴァカンス』にも使われるモチーフも時折見えて、ファンとしては「あれの原型はこれかあ」って遡ってみる読み方もできて嬉しい。『デュオ』のホラーテイストもいいし『呪界のほとり』もわくわくするし『夜と泥の』の雰囲気も浸れるんだけど、やっぱり表題作ががんと抜き出ている。
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おしゃれで品位ある文体で書かれていて、SFファンタジーが
盛り上がっていた頃の元気ある雰囲気を強く感じる短編作品集です。
しかし、古臭いかというとそうでもなく、
特に、表題の「象られた力」が短編ながら、面白いアイデアの作品です。
もっと状況設定を入り組ませて、長編でじっくり読んでみたいと
物足りなく思いました。
とにかく、作品のアイデアにデザインが持つ力や音がもつ力など、
身近にあるものに対して、もしかしたらある特異な力があるのではないか…
という空想科学領域の漠然とした妄想思考の種を
誰もが抱えていて、それをうまくキャッチして作品
にしているなあ、と感じました。
ある一定の共感力で読者を近づけて、楽しませるという、
アイデアの新奇性だけ惹きつけるのではない、
描写力のあるSFファンタジーです。
砕けた口語調小説が好みの方には嫌煙されがちの語り口ですが、
露悪的な自伝風小説に食傷ぎみなら、
この空想科学のもつさわやかな風で
脳みそがかなり涼やかになるはずです。
脳みそミント効果ありの作品。
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WishListは「当時読みたいと思った」本が大量に入っていて、自分でもどうしてこれが読みたくなったかわからないのが多々あるのだが、これもそう。後からWikipediaで見直して「ああ、ラギッド・ガールの人だったんだな」と思いだしてようやく入っていた理由がなんとなく推測できた(ラギッド・ガールはアンソロジーで読んだので、著者名を失念していたのであった)。
本編には表題作を含めて、4つの短編がおさめられている。個人的には幻想的な雰囲気が全体を通じて漂っていて、最後にストンとおとす「夜と泥の」がお気に入り。
本書はハードSFという感じの表現もあるが、基本的にはファンタジーとSFの間ぐらいに位置していると思う。特に作者の世界の描き方が、「とても幻想的なのに、かつ写実的」という感じで、騙し絵を見ているような気持ちにさせてくれる。特に表題にもなっている「象られた力」の後半は、映像的な描写が続いて映画好きにはたまらない展開が待っている(が、映画で表したら陳腐になってしまうだろうので、たぶんそういう無茶はしないほうがいいのだろう)
全作品ともに最後の数ページでストンとおとす・・という趣向がしかけられていて、ミステリーとしても楽しむことが出来るので「SFはちょっと・・・」という人にもお勧め。
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イマジネーションの奔流、理性ではなく肌で理解する物語。
鴨が飛浩隆氏の作品を初めて読んだのは、2年前に読んだ「日本SF短編50 V」に収録されていた「自生の夢」。正直言って、まったく訳が判りませんでした。でも不思議と気になって、海外での評価が高いというハロー効果もあってか、この短編集を手に取ってみました。
で、読んでみた感想ですが、正直なところ、やはりよく判らない、と思います。例えばSFを読み慣れていない友人にこの作品を判りやすく紹介せよ、と言われたら、鴨にはできないと思います。ポイントを押さえて巧いこと言語化して要約することが難しい作品だと思います。
元々言語で記述されている小説なのだから、「言語化が困難」というのは言い訳に過ぎないということはよく理解してるつもりなんですが、本当にこの世界観、言語だけでは押さえきれないんですよ。「絵になるSF」の極北、音や視覚や嗅覚といった五感を駆使して読み解くワン・アンド・オンリーな世界観です。表題作の視覚的なカタストロフィは特筆モノですね。この作品を母語で読めるということは、日本人SF者としての至福のひとときかもしれませんね。
こうした「認識のパラダイム・シフト」を前提としたSFは、実は日本SFの得意とするところなのではないか、と鴨は感じています。SFという文学フォーマットでこそ挑戦可能な分野だと思いますし、今後もより先鋭的な作品を期待しています。
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「デュオ」
二転三転する圧巻の展開。ゾクゾクした。名無しは今どこにいるのだろう。サスペンスホラー風味で怖かった。
「呪界のほとり」
栗本薫みたい。ファンタジーっぽいSF。他の3つと比べると微妙。
「夜と泥の」
沼の戦いの描写が引き込まれる。美しい物語。これは好きだなあ。
「象られた力」
オチは不要な気がした。これはホラ話ですよ、ってわざわざ言われなくても分かっているわけで。発現のエンブレムのアイディアが秀逸で、図形が溢れ出すイメージに圧倒された。
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どれも素敵だった。
<象られた力>は、まるで長編を読んだ後のよう。
中短篇集だからといって、休憩に読めるなんて思っちゃだめだ。
時間をかけて、音楽もかけず、ただじっくりと、飛さんの表現する世界に、ひたすら絡みつくのが最高だ。
やっぱり飛さんは素敵だ。
たぶん、飛さんの文章は過剰に映像的だし、色彩と音の描写がものすごく装飾的で、それが美しくてたまらない。
これは、テーマから考えたら目くらましかも知れないけど、これだけ美しく、そして凝りに凝って作られた設定に酔えるのが、飛さんの素敵さでしょ?と思っている。
(だいたい、こんなテーマを現実の不安として抱えたり理解する人間なんて、病的か、さもなきゃオクスリ的だと私は考えている。
少なくとも私の乏しいSF系本棚の中で、こんな思考と世界の捉え方に近くて優しくしてくれるのは、徹底的に矯正してくれようとする神林さんか、とぼけていてくれる円城さんか、美しさに溺れさせてくれる飛さんか…ってとこである。)
<デュオ>は音・音楽の描き方が本当に豊かできらびやか!!
それだけでも素敵だけど、「人が生きているかどうかは微妙な問題です。」
人々の記憶の合間に、情報の渦の中に、まるで誰かが存在するように振舞う何かを、感じる時のことを考える。
見えない敵と戦っている、みたいなものかもしれない。
その怖さについての話。だとおもう。
<呪界のほとり>は、大好物メタフィクション。
こんなに明るく書いてくれていいのかしら!
とっても好き。
<夜と泥の>
未知の世界で、考えもしないウイルスを、知らぬ間に取り込んでいて、その世界の共感場に抗えなくなること。
人類の希釈化。
「新たな環境で、新生活で、あのヒトは変わってしまった、私は変わってしまった?」そんな陳腐な話にすり替えたって良いのかも知れない。
でもそれを良しと出来ない、自己と他者の境界で恐怖に佇む者には、こういうお話じゃなきゃ救われないのだ。
<象られた力>
ちからとかたち。
私という形を保つ、内側からの力と外側からの力、内側の思考と外側の思考のぶつかり合う、この身体の表面。
わたしという形を保つ、私という形を作るために、適切適当なエネルギーと思考と他者の関わり。
その不安について。
この日常的な恐怖について。
ものすごく凝った設定で、映像的に装飾的に描いて酔わせて、最終的に消滅という退廃的な甘美さに引き連れて行ってくれる飛さんの優しさったら、とんでもないなぁと思う。
大好き。
【読後追記】
消えた星<百合洋>ユリウミの、図形言語。
そしてやはり消えたはずの星シジックから発信される“シジックの歌”。
百合洋のエンブレムが表す文脈と情動。情動は人間が環境に最適化するために作ったツール。そのツールを制御するコマンド。言語と…そして図形。
読後も頭が<象られた力>で溢れる。次になにを読むのが適切なのか、わからない。
『世界の野生ネコ』でも眺めるしかないか。
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ある意味、こんな表現もあることを
知ってよかったのかも…
デュオは展開のしかたが
ちょっとあざとい感じがしたけど
普通に読めた…
でもそれ以降、読んでて、連なる語彙に
反吐が出そうなくらいな感じで
読むのを止めてしまいたくなった。
まぁ、でもいいところがあるかも
って粘ってみても。
文字面だけを追ってみても。
いくら経っても気分は治まらない。
何を表現したいのかが、
ボクにはさっぱりわからず…
もう二度とこの作家の作品とは
巡り会わないと思う。
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SFともファンタジーともホラーともとれる短編集。文章が綺麗。映像が浮かぶ様だ。
「夜と泥の」の情景描写に感動した。
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生徒のビブリオバトル候補本。
SFは嫌いではないと思っていたけど、この作品は観念的というか、小難しい感じがして読むのが大変でした。
個人的には苦手な部類。