紙の本
大ヒットアニメを手掛けれた安彦良和氏による菅原道真の先祖を描いた壮大な歴史物語です!
2020/08/22 12:58
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『宇宙戦艦ヤマト』や『勇者ライディーン』、『超電磁ロボ コン・バトラーV』、『無敵超人ザンボット3』、『機動戦士ガンダム』など数々の大ヒット作に関わってこられた漫画家であり、アニメーターでもあり、キャラクターデザイナー、アニメ監督、イラストレーター、小説家といった肩書をおもちの安彦良和氏の作品です。同書は、4世紀初め、第11代垂仁天皇の治世下、土師氏の開祖・野見宿禰(ノミノスクネ)の一代記です。宿禰は殉死をやめ、土人形(埴輪)の埋葬をもって、殉死にかえることを提案したことで、『日本書紀』に記述される菅原道真の先祖とされています。古代の人物の歴史を描いた壮大な歴史物語です!
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こういう古代
2018/10/17 20:57
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投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろいろ話題の相撲。そのスタートはここなのか?
エンジンの中で殴って蹴る競技として描かれた相撲は、村の命運をかけた壮絶なものだ。そこに登場したスクネは、辛くも生き延びることに。それは次なる悲劇を引き起こすことに。
埴輪の起源譚にも登場するスクネ。その話は、やや朗らかに描かれており、相撲の壮絶さとの対比が面白い。
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手仕事が人の心を癒していく展開は感動的だったし、芸術も手仕事として捉えると、そこにはより一層広い意味があるような気がする。これまでのシリーズの流れを考えると、文化が出来上がっていく過程を見ている感覚にもなった。
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安彦良和の古事記シリーズ其の三。「神武」と「ヤマトタケル」を繋ぐ時期の物語。「ヤマトタケル」は古事記と謳ってはいないですが。
土師氏の起源となる話でした。個人的には、当麻蹶速と野見宿禰の大格闘漫画としゃれこんでほしかったのですが。
そちらは夢枕獏さんに期待することにします。
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短編ですが、安彦良和氏の古代日本ものの中では『ナムジ』に並んで最も好きな作品です。魅力的なキャラクターをこれでもかと登場させて神話伝承の世界に血を通わせ、生き生きと描き出すことに成功していると思います。物語が明るく終わっている点も良いですね。
因みにこの作品に登場する本牟智和気尊の言語遅滞問題は、私にとって特別な意味のあるエピソードです。最初に古事記の現代語訳を読んだ際は、「古事記は時の権力者の都合のいいように捏造された物語だ」という説を予め耳にしていたため、やはり頭の片隅にそうした先入観がありました。ところが読み進むうちに、「これは比較的伝承に忠実なのでは?」と次第に思うようになったのです。
まず旧勢力の大国主命の国造りが詳細に語られているところ。仮に自分が「時の権力者」だったなら、旧勢力の首領の苦労話など全部カットしてしまうことでしょう。そして日本武尊のエピソード。仮にも皇子である人が実兄を惨殺して親に疎まれ、遠征という名の3K労働に従事させられたなど、さながら皇室の黒歴史です。馬鹿正直に書く様な内容ではありません。極め付けが本牟智和気尊の言語遅滞エピソードです。「本牟智和気尊の言語遅滞は大国主命の祟りである」などと書くのは、「大和朝廷は大国主命に連なる出雲系の一族に後ろめたいことがあります」と自ら暴露しているようなものではありませんか。また、当時の人々は現代の政治家や官僚よりも遙かに信心深く、何か凶事が起こる度に「政治的敗者の祟りに違いない」と本気でビビっていたことも忘れてはならないでしょう。祟りが怖ろしくて捏造など到底出来なかったのではないでしょうか。
ですから、この作品に本牟智和気尊の言語遅滞エピソードが登場した時は思わずニヤリとしてしまいました。安彦良和先生、お流石です。
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菅原道真の先祖。と言われてもピンとこない人の方が多いのではないだろうか?一方は学問の神、一方は相撲の王。だがこの二人をつなげる、土師と言う氏は日本の殉死制度に終止符を打ち、以降の命への向かい方も変えたのである。
この点を理解すれば、御霊信仰で代表される天神道真に至る藤原の阻害や、太宰府に菅原道真が送られた。理由が理解できるようになる。
饒速日と神武の禅譲始め我が国で行われてきた日向族と出雲族のやりとりも。本書を通じてよーく見えた。本書との出会いとフィールドワークを通じて土師の里当麻、長谷を歩けたことに感謝したい◎