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紙の本
敗因分析に偏らずに建武中興を論じた、稀有な著作
2017/01/21 20:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:冒頓単于 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭の「薦める詞」にあるように、建武の中興は歴史的に見ると失敗に終った為、其の研究となると、失敗の原因を分析する事が中心となる。此の流れ自体は、当然である。
然しながら、失敗の研究は往々にして、「組織の腐敗や統率者の能力不足が有ったに違いない」との思い込みに縛られて、短絡的な結論付けに陥ってしまいがちである。
其の為現在では、建武の中興の失敗の原因を、復古主義的な政策・後醍醐天皇の能力不足・建武政権の腐敗などに求める見解が主流である。然し此の著作では、同時代の複数の史料を元にして、一般的に云われている失敗の原因が誤っている事を論証している。又、失敗の研究に偏った現在では殆ど顧みられない、建武の中興の理想についても論じている。
尤も、当時の人々の多くは、後醍醐天皇の理想を理解できなかったのかもしれない。「天皇の理想なんざ知らんこっちゃねえ」という人も大勢いたのかもしれない。只、楠木正成や名和長年のように、理想実現のために命をも擲った人々がいた事は、無視してはならない。
又、明治時代以降、南朝側の皇族や重臣を祀った神社が各地に創建された思想的な背景についての論述も、興味深かった。私の地元には、護良親王を祀った鎌倉宮が在るが、建武の中興への回顧が神社創建の背景に在った事までは知らなかった。
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