紙の本
カタログ的な粗雑な本
2006/05/15 00:15
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮台真司の本には粗雑なものが多い.この本に関しても他のレビューで誤字脱字の多さや注釈がないことが指摘されている (注釈がある本でも場違いなことが多い).たくさんのひきだしのなかみをチラチラとひけらかしてくれて,つまりカタログ的にいろいろなことが書いてあるので,それをヒントにかんがえたり,ほかの本を読んだりすることはできるが,この本だけ読んでも宮台のように知識がない私には,それらの断片を理解することができない.もっと,だれでもわかるように,ていねいに書いてほしいものである.
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期待はずれ。「驚くべき事実」を少々期待していただけに。宮台慎司はかなりリジッドで遊びのない思考の持ち主なのだろうなと思う。丸激の話しっぷりを見ても、「ルサンチマン」に侵されているのは彼自身なのだろう。革命家になるために東大に入ったくらいだし。
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第1章
・歴史を忘れた(忘れさせられた)
・お祭り気質の日本人→その場限りのナショナリズム
第2章
・グローバリゼーションとグローバリズムの違い
→グローバリズムとは戦前の帝国主義的侵略に基づく経済覇権の追求
→グローバリゼーションとは後進国のアメリカに対する自発的隷従
・グローバリゼーションの三本柱
1.軍事力一極集中化
→紛争当事国がアメリカの介入を期待する
2.高度情報社会化
→アメリカの高度情報社会化の中核的ライセンスの独占
3.アメリカン・ウェイ・オブ・ライフの席巻
スタバやマック的なものへの憧れ、自発的に受け入れる
・近代的公共圏の脆弱さ
→9.11で「知らない人を信頼する」近代社会の前提が崩壊
→憲法パトリオディズム=憲法の下でリベラルな社会を維持しようという志向、が不成立
→推定無罪の憲法的原則→アラブ人の拘束と強制退去
国家の脅威>社会(市民)の脅威→国家<社会(市民)
・リスク社会の脆弱さ
→高度技術をもってしてもリスクを完全に管理しえない
e.x. 原発、9.11
・公安の逆説
→自由な社会を支える枠組みを維持する必要という大義のもと、脱法的な公安活動の正当化
→しかし行き過ぎた公安活動によって逆に自由が制限される
・原理主義=ファンダメンタリズムの虚構
→イスラム教の狂信者がテロを起こした!という言説
→社会的背景、文脈を無視した対処療法
→マッチポンプとなり繰り返される
・「法的意志の貫徹」と「社会政策の遂行」
→「法的意志の貫徹」とは私的暴力に対する国家制裁
国内の処刑には犯罪の抑制効果がある
国際テロの対処にはテロ組織のみならず、テロ組織を匿う国家との戦争の形にしなければならない(正当性を保つため
→しかし同時に「社会政策の遂行」によって犯罪者テロ組織のルサンチマンを緩和しなければならない、なぜならそれがないと繰り返されるから
・自称リベラリストの欺瞞
→自由を支える前提である公正(立場の入れ替え可能性=僕は君の立場になっても耐えられるか)
→リベラル国家を支えている帝国主義的収奪を忘れ、国際社会の正義の名の下で国際テロを武力によって制するべき、という言説
→近代社会外部との立場入れ替え可能性を想定しない欺瞞
・グローバライゼーションによって貧しくなる
→e.x. 生活水準を上げるために換金作物を栽培、しかし国際市場で安く買い叩かれる、そして環境が破壊されてもとに戻れない、よって構造的貧困に
・亜細亜主義がもたらすヒント
→国家と社会の相互補完性
e.x. 福祉国家は社会を健全な状態(社会主義革命をしない様)に保つ、そしてその社会は国家を支える
国家←→社会 お互いに支え合う
→しかしグローバライゼーションによって社会が空洞化し、国家を支える社会がなくなる
・愛国は必ずしもパトリオティズムの体をなさず
→どの範囲をパトリだと捉えるかは恣意的
→共同体や風土、亜細亜��義はアジア全体をパトリとした
・規制緩和の両義性
→一方で新規参入障壁を破ることで既得権益を打破
→他方でグローバライゼーションが地域の自立性を奪う
理不尽な新規参入障壁=国内的不公正
グローバライゼーションによる構造的貧困=国際的不公正
・弱者の論理
→力と美をめぐる逆説
→力=列強の軍事力 美=それに抗する弱者の共通感覚
→しかし弱者が力を手に入れたら美を失うのでは
→美を維持するために自己を弱者として規定し続ける
→力を手に入れた後も美を主張することで、大陸進出の翼賛思考という顛末「強国になった弱者」
・「強国の中の弱者」
→日系人、ナバホ、黒人の公民権運動、フェミニズム
→合衆国憲法の適用を求める
→適用する代わりに米国のために戦いなさい
→内部結束、外部動員、思考停止的突進へ
・転向論的問題
→米国に適切な行動をとってもらうには
→正面から敵対せず、ついて行くフリをしながら条件をつける
e.x. テロ特措法ではアメリカの言いなり
→国家安全保障法を制定し、国連決議があれば自衛隊を出せることにする、そうすると米国の影響力を抑止できる