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紙の本
ハーレクイン=アルルカン=道化師というのは、知らなかった。まして25年も前にこれを小説に取り込んでいた作家が居た。ま、久美ではないところが面白い
2005/03/11 19:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、である。おっそろしくセンスのいいブックデザインである。古代の剣だろうか、それをここまで美しく処理した例を私はしらない。これは出版元である本の雑誌社の本の中でも、エポックメイキングなカバーではないだろうか。ま、宝島社とちがって、どれも安っぽくならない装幀でいつも感心させてくれる本の雑誌社ではあるけれど、今回は特に言いたい。装丁は山田英春。ついでにカバー後の折り返しの、金髪姿の著者写真を見ると、思わず唸りたくなる。下を向いているので、美人かどうかは全くわからないけれど、着ているコスチュームも含めて、おお、と唸るのである。
あ、ちなみに私、この本が久美沙織、初体験です。
で、そのカバーの中に埋め込まれた品のいい文章を引用すれば
巨木の森の中はかなり暗い。光を必要とする種類の若木は
巨木の陰になって一日中日の当らない地面では、決して生き延びることができない。
巨木の根元にはコケやキノコが生え、たまには小さな花は咲くかもしれない。
コバルトは最初、里山の雑木林だった。そこには、多種多様な樹木潅木草木のたぐいが生存できた。
わたしたちはそこで、いろいろな鼻を咲かせ、実を成らせた。
うーむ、これでは何だかわからんという人もいるだろう。久美沙織を知らない人、コバルト文庫を手にしたことのない人にはチンプンカンプンかもしれない。そう、この本はコバルト文庫を踏み台に、大学生の時から25年間、主に女性読者を対象にした(本人の意図はともかく)小説を書き続け、今後も発表し続けていきたいと思う作家の軌跡である、うーん、ちょっと格好良過ぎ、ま、内情暴露本というか、でも決して下品ではない45歳の女性作家の半生記である、うーん、おおげさか。
で、全三章の中身のタイトルを抜書きすれば、「望郷の巻」では、「コバルト以前!」「生ける伝説・氷室冴子」「輝く鬼才・新井素子」などがある。「疾風怒濤の巻」では「一ツ橋VS音羽」「シタヨミ職人に花束を」「SFの洗礼」といったところだろうか。「乱の巻」では「『おかみき』罵倒の嵐事件」「天空夢幻の戦い」「永遠の二年生」といったところか。因みに、書いている私ですら「乱の巻」ばかりは、読まないとわからんよな、ということになる。
でだ、作家として以外は社会で働いたことが一度としてなく、ただただ小説書きとして生きてきた稀有な作家の半生の記で、ご本人は女子校生活など送ったこともなく、その知識は久美の友人で、幼稚園の時から四谷雙葉で学び、将来はシスターになろうという友人からのレクチャーによるらしい。持つべきものは友人である。
ついでに、その友人について触れてしまえば、あの大原まり子様がいらっしゃる。私はこのSF作家のポートレートを見たとき、絶句してしまった。本当の美人とはこういう人をいう。いやあ、こんな女性がいたらSF作家クラブの会合など大騒ぎなんだろうなあ、と心配していたら、いつのまにかこの聖心卒の美女は同じSF作家の岬兄悟と結婚したという。うーむ、職場結婚か。
ちなみに、私がこの本のトレビの泉水ぶりに感心したのは、氷室冴子のところで、25年以上も前に氷室がハーレクイン=アルルカン=道化師ということを知識として知り、それを小説に使っていたということ。正直、私もこの本を読むまでハーレクイン=情熱(官能)くらいに思い込み、これがあのピカソの絵のタイトルなどで有名なアルルカンと知った今でも、じゃ、なぜあの子供向けエロ小説が「道化」なのよ、いや、恋やセックスに憂き身をやつすなどというのは、傍から見れば道化か、などと妙に考え込んでしまったりする。
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