紙の本
これは短歌をやっている人だけに通じるものではない。例えばポップスの作詞をしている人なんかにも大いに役立つはずだ。
2011/11/18 22:29
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中にテクニカルに解決できることは意外に少なくない。挨拶するとか敬語を使うなどというのもつまらない争いを避けるためのテクニックである。それを「人として当然身につけておくべきこと」とか「先輩を敬う気持ち」などと言い始めると途端にややこしくなる。
そういうことは表現という行為のなかにもある。「見たまま感じたままを表現せよ」「細部を削ぎ落して本質を描け」などと抽象的なことを言われてもどうすれば良いのか分からない。芸術というものはとかくそんな風に伝承されてきたのだが、そんな中で表現の難しさをテクニカルに解決する術を教えようとする本書は本当に良書であると思う。
僕は『サラダ記念日』の頃からの俵万智ファンである。ただ僕自身は、ごくまれに戯れに短歌らしきものを詠んでみることもないではないが、日頃から短歌に親しんでいる訳でも何でもない。しかし、それでもこの本が、表現という問題を如何に見事に解決しているかはよく解る。これは短歌をやっている人だけに通じるものではない。例えばポップスの作詞をしている人なんかにも大いに役立つはずだ。
著者は各講の冒頭にまず「公式」(例えば、「体言止めはひとつだけにする」等)を掲げ、そして実例を挙げて添削する。その「使用前」と「使用後」の短歌の出来栄えの違いは素人目にも明らかである。ああ、そんなことでこんなに良くなるのか、と感心せざるをえないのである。
中には逆に「この素敵なコスモスの歌二首を、ダメなほうに改作してみよう」(64ページ)などという試みもやっていて、これがこれまた見事にダメになる。この説得力は、やはり著者がどれだけしっかりと「公式」を把握しているかという証でもあるのである。分けても、サ変動詞のない名詞の場合は「の」で繋いで良いが、サ変動詞がある名詞の場合は「する」で繋ぐべきである(114ページ)などという明快な分析に出くわすと驚きを通り越して嬉しいくらいである。
これは職業であれ趣味であれ、ともかく何かを表現しようとする人間にとっての大きなヒントになる本である。もちろんヒントだけでは何も書けないということは言うまでもないが、そのことは言わずもがなの大前提とした上で、名人・俵万智がテクニカルな部分だけをきれいに切り取って提示してくれているのである。小気味良いほどの参考書である。いや、参考書と呼ぶには、読み物としてあまりに面白い。
ただ、この尻切れトンボみたいな終わり方は如何なものだろう。これは雑誌の連載記事ではないのである。1冊の本という体裁を取るのであれば、最悪「あとがき」という形でも良いから、何か全体のまとめめいた文章で本を締めるべきであって、そうしなければそれこそ「けり」がつかないと言うべきなのではないだろうか?
ま、不満はそこだけである。逆にどの講からでも読める辞書的なものを目指していたのかもしれない。僕にとっては辞書と言うよりむしろバイブルと言っても良いくらいなのだが。
紙の本
詩や歌を作るための「うらわざ」「技術」
2006/02/02 01:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji - この投稿者のレビュー一覧を見る
書店でタイトルと著者の名前に惹かれて手にした本書の帯には「一文字の力 表現のうらわざ 『言葉の技術』教えます」と大書されていました。詩や歌を作るための「うらわざ」や「技術」を正面切って取り上げた本は、かなり珍しいのではないかと思います。
優れた歌人である著者は、短歌の添削という作業を通して「表現のうらわざ」「言葉の技術」を、分かりやすく提示してくれています。具体的には、助詞や副詞、形容詞を使うときの注意点や句切れや語順のことなど、まさに、「うらわざ」「技術」というに相応しいポイントが扱われています。
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短歌が、単に思ったままを書けばいいのではない、技術的なものを必要とすることは重々承知。従って添削でぐっとよくなることもわかっている。しかし、俵さんの添削の中には、全面的に賛成できないものもあり。それは俵さんの力が強すぎるせいかもしれない。
歌としては、最後の一首が心に残った。「主婦にもできる」そうだよな〜差別はこんなところにもさりげなくひそんでいる。児童書の評価での「おとなの鑑賞にも堪える」とかいうのもそうだよな。
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どうすれば気持ちを正確に伝えることができるのか。
短歌上達の秘訣は、優れた先人の作品に触れることと、
自作を徹底的に推敲吟味すること。
ちょっとした言葉遣いに注意するだけで、世界は飛躍的に広がる。
今を代表する歌人・俵万智が、読者からの投稿を元に
「こうすればもっと良くなる」を添削指導。
この実践編にプラスし、先達の作品鑑賞の面からも、
表現の可能性を追求する。短歌だけに留まらない、俵版「文章読本」。
(帯より)
新潮社の「考える人」に応募された何千という作品の中から幾つかが添削例として載せられている。
心が揺れたからこそ言葉になり、歌になる、という観点から無駄をなくし、より読者に伝わる歌を詠めるように指導がなされている。
目のつけどころ、視点の転換、言葉の用法など様々な切り口で鑑賞し、添削される。
定型に上手い具合に収まった一首ができたと思っても、もういちど徹底的に推敲してみると、別のよりよい収め方があるかもしれない、というのが印象的だった。
初心者にはとてもわかりやすい一冊だった。
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俵さんが短歌の添削をしてくれると言うもの。
初心者には良い本らしい.......
でも、短歌と言うよりも、日本語の基本的な動詞だの助詞だのが何なのかきちんと理解していないものにはちんぷんかんぷんかもしれない.......
あぁ、日本語って難しい!ってか、それは、ちゃんと勉強せんかったうちだけ?(^^ゞ
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添削された短歌がいきいきと輝きだすのが魔法のようです。語順を入れかえたり時制をかえるだけでみちがえちゃうなんてすてき!思わす感動しちゃいます。ためいきがもれる。
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短歌以外にも一般的な文章を作成する上でも役立ちます。短い文章を作製する機会の多い方におすすめです。
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短歌は何でもありだけど、やっぱり技術は知らないより知っていた方がよいし、ないよりはああった方がよい。
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俵万智さんの「考える短歌」を読了。
先日読んだ永田和宏さんとの違いがおもしろかった。
というのは、アドバイスの内容なんかはほぼ同じなんだけど、その言いようが全く違ってて。
永田センセは言い切らないの。
「こうなることもある」とか「こんな風になるかもしれない」とか優しい言い回し。
逆にイライラするくらい曖昧なので、自分で内容をメモするに当たり、
そういう表現を全部言い切りに直したくらい(笑)。
しかし万智ちゃんはヤルね。
もう言い切るし、じゃんじゃん添削して直しちゃう。
おまけに「こう直したら、『さっき言ってたのと違うじゃん』って思うでしょ?
でもこの場合はコレでイイの!」って先回りしたお言葉まで。ははぁ〜(伏)。
短歌にしっかり向き合おうと思ってるんだけど、
始めたばかりの1年前みたいにポロリとできることがなくなってるんだよなぁ。
気負ってるからだろうけど、ネタの発見があっても31音に足りない欠片ばかりで
がっつりと大きな塊にならないような感じ。
その小さな欠片をこねくり回しても、ねぇ。
ま、何事も、少し続けるとこういう悩みは出てくるものよね。
どうこれを切り抜けるか、自分自身を観察していこうかと。
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枡野浩一『一人で始める短歌入門』で引用されていたので読んだ。三十一文字に削ぎ落としていく、三十一文字を切り取っていく、ということが何倍も楽しくなる本。
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俵万智が短歌の例を取り上げて添削しながら、そのコツを伝授する!という趣旨のもの?
実際彼女の感性は鋭くて、「たしかにここを直すとよくなった!」となることがしばしば。
その一方で「なんで直したの?」というものもあるから、やっぱり一首ごとの評価は人の感性次第なのかな、とも思ったり。
それでもちゃんとカテゴライズされて、推敲するときのポイントを教えてくれるので面白い。
なんも考えずにまず短歌を詠んでみて、それからこれをもとに直していくといいものができそうって思える一冊です。
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短歌初心者がひっかかりやすい場所を具体的に言葉にしてくれている入門書。
短歌を詠み始めたい方に、そしてもっと上達したい方に。
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短歌を始めるきっかけとなった本
短歌入門〔作る手ほどき、読む技術)
短歌の魅力
まず読む 理解する
気持ちをどうすれば伝えることができるか?
1.優れた先人の作品に触れること
2.自作を徹底的に推吟味すること
一寸した言葉使いに注意!!これで世界がかわる。
言葉は大事!!
第一講「も」があったら疑ってみよう。 必然性在る「も」もある。
第二講句切れをいれてみよう思い切って構造改革!!
第三講 動詞が四つ以上あったら考えよう 体言止めは1つだけにしよう
第四講 副詞には頼らない。数字を効果的に
第五講比喩に統一感を待たせよう。現在形を活用しよう
第六講あいまいな「の」に気をつけよう。初句を印象的にしよう。
第七講色彩を取り入れよう。固有名詞の活用
第八講主観的形容詞を避ける。会話体を活用。
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”色彩をとりいれてみよう”の発想が好き。。
草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝て削るなり 北原白秋
場所、時間、彩り、空気、心…
歌は、考えていたより、もっと、もっと自由なもの、みたい。。
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読者が投稿する短歌を、俵万智さんが添削する形で構成されている。投稿者の住所、氏名までも掲載されているのだが、茨木市や高槻市在住の人もおられて、何かと親近感が湧いた。また、高槻市在住だった人が、途中から八王子市在住に変わっていて、あ、転勤されたのかな?なんて想像してみたり。日本全国に、隠れ歌詠み人人?は多いのかも知れない。