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紙の本
この毒って、やっぱり癖になる気がする。しかしね、この多賀新の鉛筆画ってのが、話の内容を微妙に示していて、なんていうか妖しい
2005/03/04 20:16
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブックデザイン 松昭教、カバー装画 多賀新(「てまねき」2000年 鉛筆画)。ついこの間も多賀新も参加しているグループ展を銀座の画廊で見てきた。多賀の鉛筆画もだけれど、他の三人の作品もどれも凄くいやらしくって、見入るのが恥ずかしくなるようなものばかりだった。でも、その毒が堪らないというのも分からないわけではない。
そして、小川のこの本、これがまた結構アブナイのだ。多賀の起用というのも、読後になれば十分に納得である。
昔話の口調で語られる、わたしの過去の悪戯。嫉妬心が招いた「蝦蟇蛙」。脊椎をやられたせいで寝たきり状態になった父親の介護をしながら暮らすぼく、そんな僕が思い出すのは別れた彼女との約束「聖夜」。高校一年の時、出会った二人の関係がいつのまにか逆転して、彼女の我儘に逆らえなくなってしまった美冴の「春巻」。
借金を返すために殺人、いや家族を思っての人殺しをしたヤクザな男の「壁紙」。飲むと誰彼となく自分の家に呼んで話をしたくなる三上だが、今日は人に誘われてしまった。そいつの部屋で話し込むうちに「諧謔の屍」。女はいやだ、ぶよぶよした皮膚、乳房のふくらみ、不潔な性器、いやだいやだ。そんな男の趣味はアロエ、漢字で書くと「盧薈」。自分の頭の中の世界が好きで、周囲から浮いた感じの佐奈ちゃん、でも最近、遊んでくれるお兄ちゃんが現れて「あなたまにあ」
個人的には、身勝手な男の思いに苛つく「壁紙」、あるいは自分は正しいと思い込むバカな熱血教師にむかつく「諧謔の屍」が、最近の日本事情を思い起こさせて、不快のあまり感心してしまう。いやあ、こんな愚か者がいる限り、改憲、徴兵、戦争という道まっしぐらだな、ニッポン、チャチャチャである。
しかしである、先日、大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』で、豊崎が小川の才能を評価するだけのことはある。ともかく、皮肉に満ちながら、面白い話なのだ。しかも、大上段に構えないところがいい。さらりとしながら硬質、毒を撒き散らしながら、汚くならない、じつに複雑な本である。
紙の本
この人の描く狂気の世界は本当に巧みであるが…
2005/03/12 11:01
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投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
狂気の世界を独自の視点で描く作家、小川勝己氏の作品は本書で2冊目となるのであるが、お気軽に読める短編集に仕上がっている。
いや、お気軽に読めると言うのは“小川作品に慣れている方に限定される”かな。
なぜなら、小川さんの作品を読むときは“小川モード”のスイッチを入れることを読者が余儀なくされるからである。
全編を共通して言えるのは、普通の人生から転落した人間が登場。
本当にアブナイ、アブナイ。
少し真の愛情が欠如している点は読者もしっかりと受け止めなければならない。
グロテスクな作品、シニカルな作品等本当に狂気に満ちていてバラエティに飛んでます。
印象に残っているのは「聖夜」。タイトル名から醸し出されるイメージとラストとのコントラストが凄い。
あとダメなヤクザを描き切った「壁紙」も心に残る。
グロテスクな「蝦蟇蛙」や「春巻」はちょっと受け入れられなかった。
個人的には作者の引き出しの多さを感じつつも、やはり統一感に欠けている(寄せ集め的な作品集)だと感じざるを得ませんでした。
どちらかと言えば長篇向きの作家のような気がするのであるが、そのあたり小川フリークのご意見をお聞きしたいところである。
マイレコ
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