紙の本
平等幻想
2004/12/23 11:52
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の前提は「人間は皆平等でなければならない」という
宗教的な思い込みにある。社会主義思想は表面的に敗北し
日本共産党、社民党の議席は一桁台に落ちて無視できるほど
零落したが、どっこい学会、論壇ではまだまだこういう輩が
生き残って「平等という見果てぬ夢」を追い求めている。
人間には厳然と格差がある。これは人間が人間である以上
消すことの出来ない事実である。これを消し去ろう、人間を
皆、同じにしようとすることに平等思想の根本的な矛盾がある。
例えば、足の遅い大多数の人間が足の速いアスリートが100m
競争で勝ち続けるのはおかしいと主張し、「足の速い奴は足の
周りに重りをつけろ」と言い出したら、オリンピック競技
なんか成り立たなくなってしまう。足の遅い奴は、単に
オリンピックに出なければいい。その代わりテレビの前の
特等席でビールを飲みながらオリンピックを観戦すると言う
見方によっては非常なる贅沢を味わうことが出来る。
受験競争もこれと同じで、勉強の出来ない奴が無理して
受験なんかするからおかしなことになるんで、勉強が嫌いな
奴、勉強が出来ない奴は、受験競争以外で自分を生かす道を
親子総出で幼少期から探していけばいいのだ。世の中には
東大を出なくても一流になれる道はいっぱいアル。東大を
出なかったからといって、彼らが東大出より不幸かというと
そんなことはない。むしろ東大出より成功し、より豊かな
人生をおくっている人たちは山ほどいる。「受験」「学校」
という単線的な尺度で人間を測り、そこに優劣があり、格差が
生じることを憂うから無理な分析が出てくるのであって、
勉強が出来ない人、勉強が嫌いな人はさっさと勉強に見切りを
つけ、村上龍いうところの「自分の好きなこと」を探し、これを
一生の仕事とするようにすればいいのでアル。
メーテルリンクの「青い鳥」ではないが、青い鳥という希望は
案外身近なところにある。勉強の出来ない奴が勉強なんかする
から不幸になるんであって、勉強が出来なければ無理して勉強
なんかしなければいいのだ。希望にはいろんな種類がある。
幸福にもいろいろな種類がある。
私は丸井で買い物なんかしても、うれしくもなんともないが
(むしろ丸井くんだりで買い物すると惨めな気持になるが)
「上京ものがたり」のなかで西原理恵子は丸井での買い物が
人生の夢だったかのように描いている。希望はひとそれぞれで
いろんな希望があっていいのである。それをひとつのモノサシ
ではかろうとするな。希望には格差があって自然なのだ。
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(日本の)社会が転換点を過ぎている気がしているなあとぼんやり思っていたのだが、それが的確に表現されていて感動した。もやもやした霧が晴れた感じ。それが何かの解決につながるわけじゃないけれど。
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社会はこのままでいいのかと漠然と不安を思っていたけれど、それをはっきりと解説してくれてる本です。「社会、特に職業・家族・教育が不安定化することで、生活が不安定になっていく」と、読んでいて納得できることは多いです。そして読んでいくと不安で暗い気分になります。社会状態はわかりましたが、その対処法があまり書かれていない様な印象を受けました。
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現代日本をリスク化・二極化で説明していて、わかりやすい本。
読んでいると怖くなってくるがこれが現実・・現実に目を向けなければと思わされる。
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カテゴリがおかしいかもしれないけど、社会的格差の広がりに伴って、階層ごとの希望についても格差が拡大しているという説を社会学的観点から書いた時事本。
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2005/06/13読了。
―日本社会は、将来に希望がもてる人と将来に絶望している人に分裂していくプロセスに入っているのではないか。これを私は、「希望格差社会」と名付けたい。
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ゼミの教材なんだけど…この本ほど絶望感に溢れている本はないと思う。しかも、何かやたら意見が押し付けがましいような…ww
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200507 様々なところで引用されてきた内容なので、新しさはないが、まとめて読むと、やはり結構当たっている気がする。
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ジニ係数て何?ニートて何?て漠然と不安に感じたならば、一度読んでみるべし。処方箋にはなりませんが、現状把握としては、使えます。
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2回読んだが、実のところポイントが頭に残っていない。「リスク化」「二極化」という事実はよくわかった。「超えられない希望格差の壁」もよくわかる。でもその2つを結びつけることがいまいちできてない。希望「格差」というんだから二極化の進展でも良さそうだが、リスク化も関係しているらしい。
「負け組」というのはつまり主観的なものなわけで、たとえ貧乏だろうと本人が「勝ち」と思えれば勝ちになっちゃうんだし、その基準は多様化してるんだから、それを「希望」というものに還元するのはしごく真っ当のようにも思える。
「夢見る若者の不良債権化」というコメントは秀逸。
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格差社会云々の論争の嚆矢となった書。類書は多数出たが、経済的側面が中心で、実際の若者世代の内面までを踏み込んだ分析は、この書が最も優れている。故に最も共感できる書であろう。その結論は暗鬱たるものではあるが。今後の社会サバイバルの為の必読書!!
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今の日本の格差拡大を問題視した本。問題を明確にしているが、筆者の具体的な打開策は全く論じられてないのは残念
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以下のページで触れています。http://blog.livedoor.jp/subekaraku/archives/50211095.html
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暗い気分になるけれど、読んでおいてもいいか…という位置。これに賛同していいものか、スタンスをどう取るかの方が難しいかなあ。★3.5くらい。
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勝ち/負け組みとかいう言い古された議論(80年代から統計には出ていたとされている)の現代版は色々出ている(下流社会とか)けど、一番まともだと思えた本。データの裏付けがしっかりしていて、それを見る目は時折は?ってなるけど、おおむね冷徹でよい。処方箋は甘過ぎるけど、それをいっちゃあダメだべって所まで言っててしかもそれが世間に受け入れられたというのは快挙だと思う。
“自分の能力に比べて過大な夢をもっているために、職業に就けない人々への対策をとらなければならない。そのため、過大な期待をクールダウンさせる『職業的カウンセリング』をシステム化する必要がある。”