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灯台へ(岩波文庫)

灯台へ みんなのレビュー

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みんなのレビュー28件

みんなの評価4.1

評価内訳

28 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「時の流れ」を「意識の流れ」に対置して、移ろい行くすべてのものを詩情に満ちた文体で封印した——美しい、それはそれは美しい文学作品。

2005/02/02 22:24

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「英国文学」「モダニズム文学」「フェミニズム文学」、あるいは「意識の流れ」「精神病のセラピー」「ブルームズベリー・グループ」「実験性」といった属性や特徴でヴァージニア・ウルフ作品を文学的に論じることは、いずれも有効的で興味引かれる分析ではある。
 だが、そうした研究のための概念でなく、たとえばロード・ダンセイニ『エルフランドの王女』、記憶の文学ナボコフ、三島由紀夫の「豊饒の海」4部作、そして誰が良いのだろう、SF作家は…。そう、ジョン・クロウリーあたりをウルフ作品の横に並べてみると、誰もがみなそれぞれに「時間の流れ」に特別なこだわりを持って虚構世界を築いているということ、独自の世界観を誇っているということが読書テーマとなり、1つのきらびやかなコレクションができる。

 最近の物理学界では、過去から未来へ向かう時間の流れは決して一様なのではなく、揺らぎが存在するという説もあるそうだ。だが、今現在、時間は世界各地でメトロノームや時計で計り得るという前提を元に話を進めるとすれば、その「時間の流れ」という普遍的概念にウルフが対置させたのが、内面描写の一技法である「意識の流れ」ではないか。誰にとっても公平な時間経過の呪縛から逃れることに、小説という実験で挑んだ。本書『灯台へ』は、彼女のほかの長篇代表作『ダロウェイ夫人』『オーランドー』とともに、時間の扱いにおいて際立ったものがある。

 父母をモデルにし、家族と彼らを巡る友人たちの物語という一見普通小説の体裁を打ち出して始まる『灯台へ』は、3部構成になっている。最初のパートでは、スコットランドの孤島の別荘で過ごす、哲学者一家と客人たちの1日が描かれる。翌日になったら対岸に見える灯台へピクニックに出かけたいと6歳の末息子が心待ちにしているのに、父親はどうせ荒天だとくさす。母親は、子どもの夢をつなごうとフォローをし、夫の態度についてあれこれ来し方の体験から思いを巡らせる。
 文章は各人の意識の流れのなかに潜り込みながら、家族を見守り、密かに夫人に憧れを抱く女性画家の意識をも映し出す。

 圧巻は「時はゆく」という第2部だ。ここには、宇宙にまで突き抜けていくような時間観が提示されており、10年の時が巻かれていくのであるが、ウルフの大きな資質のひとつである「詩情」がまた素晴らしい。
——夏が近づき、日暮れ時が長くなる頃、夜中に目覚めて浜辺をさ迷う人たち、希望を求めて潮溜りをかき回す人たちの心に、奇妙な想像が訪れるようになった——たとえば肉体が風に舞い散る原子の群れと化し、無数の星が彼らの心にきらめき、崖も海も雲も空も、心の中の断片的なヴィジョンを目に見える形にまとめ上げるべく、互いに寄り添うように結ばれ合う——そんな不思議なイメージだった。(252-253P)
 紙幅が限られているので途中で切るが、時間や空間への広がりを詩情に満ちた言葉に留めることこそが、文芸や小説の本質だと教えてくれる表現である。

「灯台へ」は目的地を指し示す言葉ではあるが、10年を経たのち、改めてそこへ向かうメンバー、それを見守る人の内部に、時の行く末を示す言葉としての響きも持たせている。移ろい行く現実も移ろい行く意識も、ともにウルフの言葉の魔法に封印されている。

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紙の本

世界を予兆する感性

2018/08/23 22:53

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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

主な登場人物の一人が当時の著名な哲学者ということなのだが、中心になっているのは彼の夫人であり、その夫人を取り巻く様々な人たちの皆が主人公とも言える。その家族や、家に集ってくる親しい知人たちと、明日は灯台までハイキングに行こうという何もない一日における、一人一人の内面の独白が延々と語られる。
それがまったく退屈ではないのは、それらが平凡なようで非凡なところ。非凡の人の平凡な心理、平凡な人の非凡な発想が、入り混じって、共感と新鮮さを交互にもたらすことにあるようだ。特に夫人は古風な、つまりヴィクトリア朝風の理想的な女性となっているのだが、美しく、男を惑わす恋愛の対象としてではなく、主婦として夫や家族、それから地域コミュニティを支える存在としての才能を指している。天才学者も必ずしも生活の達人ではなく、むしろ突出した能力ゆえに俗悪な社会と折り合いをつけていくための技法が必要であって、だがそれを彼のために提供できる人は数少ない。そういう才能こそが理想の女性であり、産業革命や科学の時代を、あるいは大英帝国を支えているのだという着眼点は、女性作家にしか到底持ち得ないものだったろう。
そして第一次世界大戦が一家を離れ離れにしてしまう。再び集った友人たちの中に画家志望の若い女性がいて、彼女は夫人の美しさにも言動についても思慮をめぐらせているが、自分の夢を追うことに精一杯で、じゃあ夫人のように結婚して一家の女主人となろうとはかけらも思いはせず、これは作者自身の姿の意図的な投影かもしれない。そういう女性の時代は終わり、夫人のような美徳の価値に気づいて、受け継いでいこうとした者はいなかった。その結果ロンドンは魔都と化し、帝国は崩れ落ち、科学者は悪魔の兵器を作った。この作者だけが透徹した観察力により、家庭というミクロな場を通して、世界の行く末をを予感していた。

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2013/04/03 21:15

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2011/09/06 09:47

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2018/03/23 07:41

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2011/11/05 00:01

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