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戦国繚乱 みんなのレビュー

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みんなのレビュー14件

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14 件中 1 件~ 14 件を表示

紙の本

思わず引き込まれる高橋直樹氏の重厚な歴史小説集!早くも文庫本で登場!

2005/01/10 02:05

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は、戦国時代に題材を取った3つの中篇小説が収められている。
『城井(きい)一族の殉節』は、豊前に所領を持つ名族城井一族が、豊臣秀吉の島津攻めの一翼を担って進駐して来た黒田官兵衛孝高の姦計にはめられ滅んでいく様を哀感を込めて描いている。
『大友二階崩れ』は、九州の雄、大友義鑑と嫡男の義鎮(後の宗麟)の対立とその悲劇的な結末を臨場感溢れる筆致で描いている。
『不識庵謙信の影』は、越後の虎上杉謙信亡き後、喜平次景勝と三郎景虎の養子同士の熾烈な家督相続争いを題材にしている。

 この3編を通読すると、作中に使われている言葉ひとつひとつが選び抜かれていて、作品に凛とした趣を与えていることに感心する。
最近の歴史小説は、読んでいてその作品の世界には不似合いな現代的な言葉が不用意に使われていて、興醒めになることが多々ある。古代や戦国時代の東北の英雄をスケール豊に描く高橋克彦や、最近『信長燃ゆ』などの力作を多く発表している安部龍太郎などは、評者の愛好する作家なのだが、これらの練達した作家にしても、そのような弊害を間逃れていない。高橋直樹は、そうした問題を感じさせない唯一の作家かもしれない。歴史小説は、はるか以前の歴史の細部を読者の眼前に違和感無く展開させるものである以上、歴史小説作家たるべきもの、著者の高橋直樹のように作中に用いる言葉については、もっと意識的になるべきであろう。

 本書には、登場人物の描写に著者の人間洞察が光っていることも見逃せない。
大友義鎮(後の宗麟)の果断な人物像や、上杉謙信の美顔に時折宿るこの世とも思えない眼差しを描いているところに、著者の人間洞察の冴えを感じるが、それにも増して印象的であったのは、『城井一族の殉節』で登場する三宅三太夫という人物である。三太夫は、城井一族と黒田官兵衛の間に立って折衝する黒田家家臣で、表裏無く信用できる枯淡な人物であるかのように描かれている。最後に、この人物は城井一族に非道な裏切りをする訳であるが、えてしてこのような一見誠実そうに見える人間が一番油断ならないことは、今も昔も変わりなく、著者はその辺りの機微を的確に描いている。あまり目立つとはいえないこうした脇役にも目配りしているところに、高橋直樹の人間洞察の厚みを感じる。

 本書は、このように見事な中篇を集めているが、ただ3つの作品を並べただけではなく、いずれも戦国大名の総領と嫡男の関係がテーマとなっていて、一本芯が通っていることを申し添えておこう。

 評者は、この作家の作品を読むのは初めてであるが、このような充実した作品を読むには久々である。文章力・歴史への深い造詣・用語の的確な使い方・
ストーリーテーリング・登場人物の造形、すべて第一級である。著者には、今後とも緻密な作品を書き続け、我々歴史小説ファンを唸らせて欲しいものである。
 なお、タイトルの『戦国繚乱』は漠然としていてあまり好いとは思えない。初出単行本のタイトル『大友二階崩れ』の方が、戦国の無惨さや無常を伝えていて本書に相応しい。


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紙の本

城井氏を扱った珍しい作品

2012/06/29 01:34

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:部屋住冷飯郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る

現在の福岡県西部~大分県北部は古くは豊前国という一つのまとまりでした。
もっとも豊後の大友だの周防の大内だのといったような統一勢力は登場せず、あたかも甲斐武田氏と越後長尾(上杉)氏の間にあった信濃国同様、国人勢力が割拠する状態。しかも宇佐八幡宮や英彦山修験といった宗教勢力も強力なのがいました。後の豊臣秀吉による九州征伐では肥後とならんで豊前国人一揆が勃発していますから、まあ独立性の高い土地だったのでしょう。よくいえば。

さて本作で扱われている題材のひとつが、まさにこの豊前国人一揆の中心となった城井氏であります。下野国の名族宇都宮氏の分家にして、かつては豊前国守護もつとめた家柄。うまく時流にのれば後に豊前の戦国大名ともなれたであろう家でしたが、南北朝時代に没落して以降は(分家筋も含め)豊前でも最大規模の勢力をほこるとはいえ一国人領主として代を重ねていました。

島津氏による大友攻めが始まり、さらには豊臣氏による介入(九州征伐)が始まるころからこの物語は始まります。時流が大きく変わるとき、昔ながらの国人たちはいかに世を渡っていくのか、いけるのか。中世武士から近世武士への脱皮を成し遂げられなかった地方豪族の、しかし必死で一所懸命な姿がここにあります。

そして、ついに発生する豊前国人一揆。

その中心となったのは、片田舎の国人・城井氏でした。
かの黒田長政を幾度も撃退し、ついに正攻法での戦をあきらめさせた偉大な武人・城井一族。しかしその次に控えていたのが戦国一の策士・黒田官兵衛でした。

かつて天下の豊臣、天下の黒田と対等に渡り合った偉大な武将のことを、いまでは地元の人間でも知る人は多くありません。まして作品になっているものは皆無です。それだけでも、この作品は高い価値があるといえます。

おそらく戦国時代、日本中でこのようなことがおこっていたのでしょうね。

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2006/06/16 23:03

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2008/03/16 22:18

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