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紙の本

絵は魂を満たす

2005/01/05 18:54

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Yan - この投稿者のレビュー一覧を見る

オスマントルコのスレイマーンの時代
青いチューリップを作り出すことに
信念を持っていた人々と
モスクのタイル画を描く絵師たち
トルコとペルシャの国境の山岳地帯で
暗躍する義賊
たった3個の青いラーレ(チューリップ)のために
様々な人が現れてかかわりあっていく
その人々の中で一番引かれたのは
絵師頭の孫でラーレの研究者の娘ラーレだ
オスマンの世界では偶像禁止
肖像画も禁止されているのだそうだが
ラーレの母はひそかに自分の娘の肖像画を描いていたし
文様を描けと指導する祖父も、最後のほうでわかるのだが
自分の妻の肖像画を描いていたのだ。
ラーレは見たものをそのままに描きたいという欲求があり
祖父の教えに矛盾を感じるのだけれど
最後にはそれが解消される。
囚われの身となった父を助ける旅をして
自分も義賊にとらわれてしまうのだけれど
女首領にすすめられて壁画を描くときのラーレの姿が
一番生き生きとしている。
女首領の父が残した言葉
「パンは飢えを満たし、絵は魂を満たす」いい言葉だ。
青いラーレは2つは盗まれ
最後の1つは燃やされてしまうが
スルタンがラーレに熱狂するあまり
人民の平和を忘れてしまうからだと静かに語る
ラーレの父の誇り高い姿もすばらしい。

Yanの花畑

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紙の本

16世紀のトルコを舞台とした深遠な冒険物語〜魂を満たし、歴史への関心や人間を超えるものへの洞察を促す良書

2004/11/30 17:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

 クルディスタンの山の中腹に咲く青いチューリップは、クルディスタンに春を告げる花だ。「ラーレ、ラーレ、青いラーレ」と歌うのは、羊飼いの少年ネフィム、ラーレと呼ばれるのはチューリップ。原産地のトルコではラーレは赤い花だった。ネフィムは「青い」という言葉に力を込めて歌う。「大地が血で染まろうと、天空に咲くは青いラーレ」とどこからともなく、しゃがれた声が響いてきた。父親のカワとネフィム以外の誰も知らないはずの歌の続きだ。チューリップの群生の中に男が倒れていた。ネフィムは、あわててカワを呼びに行く。
 男の名は、バロ。オスマンの国の都イスタンブルからやってきた流れ者だ。時は16世紀、スルタン・スレイマン一世のオスマン・トルコの全盛の時代である。スルタンは、建築家のシナンに命じて、アヤソフィアを凌ぐモスクを建築することを計画している。クルディスタンの秘境で咲きほこる青いチューリップは、都では幻の花と言われている。スルタン・スレイマンがハレムの庭に欲しがっている花であることをバロは告げる。
 父親のカワとともに青いチューリップの球根を持って、聖地エユップに巡礼の旅に出たネフィムは、神学校の教授アーデムの屋敷に引き取られることになり、教授とともに青いチューリップの交配による品種改良を行うことになった。
 7年もの月日を費やして品種改良されたチューリップのアーモンド形の蕾から、青い花が開いた。宮廷の絵師頭シャー・クルーが「ペルシアの空の青だ」とうなる美しさ、目の覚めるような青、本物の青の中の青。妖しいほど美しい青であった。
 「ラーレ、ラーレ、青いラーレ」と歌いながら、病床から起きてきたアーデム教授の妻アイラは、ようやく咲いた3本の青いチューリップを引きちぎってしまった。一瞬のできごとだった。「青いラーレ」の歌は、アイラの母親であるライラの形見の歌だ。「こんな花、咲かせてはいけない。よからぬことが、かならず起こります。」とアイラは言う。
 アイラの言葉どおり、よからぬことが起こり始めた。
 ネフィムとその父親のカワ、アーデム教授とその妻アイラ、娘のラーレ、アイラの父でありラーレの祖父である宮廷の絵師頭シャー・クルー、シャー・クルーの亡き妻ライラ、シャー・クルーの弟子メフメット、アーデム教授の屋敷を守る乞食の頭のジェム、屋敷のお手伝いのセマ、山の長老団を率いる山賊の長カジェ…16世紀のトルコを生きた人々の青いラーレの歌と青いチユーリップを巡る冒険物語。中近東、特にトルコに造詣が深い作家新藤悦子さんが初めて書き下ろした児童書である。
 登場人物の一人一人が生き生きと描かれている。アヤソフィア、キャラバンサライ、スルタンの宮廷、辺境の地、巡礼の人々の様子、奴隷市、トルコの人々が愛したお菓子、キリム、シャフメーランの言い伝えなど、細やかな描写の中に、16世紀のトルコの生活が見事に甦っている。トルコのカッパドキア地方に留まり、中近東を旅し、中央アジアの遊牧民とともに過ごした作者ならではの語りではないだろうか。作者は、都イスタンブルより、辺境の地での貧しく、苦しい生活の中で力を合わせて生きている人々を語ることに多く筆を割いている。アーデム教授も青いチューリップの球根をスルタンには渡さなかった。幻の青を追うあまりに、目の前に咲く赤いチューリップが見えなくなるからだ。「文様にだって生命がある。目に映るものを、一度殺して、新たな生命を吹き込む、それが文様というものじゃ」という絵師頭シャー・クルーの言葉や、「パンは飢えを満たし、絵は魂を満たす。」という山の長老団の長カジェの父親の言葉が心に残る。天才建築家シナンへの興味や中近東の歴史への関心を促し、人間を超える偉大なものへの洞察を促す。児童書とは言え、大人まで味わうことができる深遠な冒険物語、魂を満たす良書ではないだろうか。

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