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刺激的なタイトルの少子化関連の新書。昨今の少子化議論に違和感を感じている人も感じてない人も一度は読んでみるべき新書です。さまざまな統計手法(主に重回帰分析)が使われているが、そこは読み飛ばしても大丈夫かと。少子化は都市化の規定路線か、それとも防ぐべき課題か、学問的にも実感的にも考える契機になる良い本です。
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この本がいう「子どもが減って何が悪いか!」ってのは「減って悪くなってもいいじゃないか」ということで、「減って悪くなることはないぜ」ということではなかった。僕は後者の新しい見地を想定していたのでそこはちょっと残念だったけども、傾聴に値する本でした。/端的に言うとそのまんま、「減って悪くなってもいいじゃないか」っていうことなんですけども。もう少し丁寧に言うと「男女共同参画の達成、もしくはそれを組み込んだ少子化対策は、少子化を食い止めていない」というもの。そういうものにそういう視点(少子化対策)で税金を注ぎ込むべきではないし、選択に対してサンクション(懲罰や褒章)が与えられるべきではない、と。少子化というものは不可避のもので、少子化対策で対応するには費用が見合わない。/つまり男女共同参画と少子化が癒着しちゃってる現況に対する指摘というか批判ですね。男女共同参画は少子化対策にならないからと言って否定されるべきではない。これでは少子化が餌に使われちゃってるだけだぞ、と。
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少子化を「悪い」と言うのは、誰なんだろう?保守的な政治家に扇動されたところで、出産が増加するとも思えない。確かに、男女共同参画で少子化は救えないし、救う必要さえないだろうけれど、少子化の背景にあるものを問題視する必要性は別問題。統計は「読む」ものなので、恣意的でない統計や統計分析があるというなら、見てみたい(^^;)リヴァタリアンを自称するわりに、なぜあのラスト??
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■少子化が話題にのぼると、「子ども減ったらタイヘンじゃん!」派に属することもできないし「今どきいろいろタイヘンで産みたくても産めないわよね」派にも属することもできない人間の気持ちなんてのは、あんまりこの世では重要ではないようだね。と少々スネ気味のわたしが手にとった本。■「お、いってくれる学者さんもいるものだ。ありがとう」と素直に感謝してしまった。■「専業主婦(主夫)になろうとも、共働きしようとも、結婚しようとしまいと、子どもを産もうと産むまいと、そうした選択によって、損をすることも得をすることもない。ほめられることもけなされることもない。そのような制度を設計していけばよいだけのことだ」「『産みたくても産めない』人の『産みたい自由』を支援するが、このとき産みたくない人の『産まない自由』には何の支援もされない」。感謝!感謝!(1月17日読了)
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少子化と男女共同参画が一緒くたに論じられることについて厳しく批判した本。労働などの面での男女平等をはかると出生率があがるということで「男女共同参画」を推し進めたフェミクラートへの批判も含むので、業界ではいろんな評価がある。でもワタシは自分でこいつを読んで、この人は基本的には正しいと思った(細部ではまぁ、いろいろあるにしても)。どちらにしたって、こどもが増えようが減ろうが、不平等はあってはならないし。少子化は女性労働の変化によるものでなく、都市化現象の一つなので、少子化傾向を労働に関する政策やましてや倫理道徳では解決できない、少子化を視野にいれた政策を立てるほうがいい、というのはわかりやすい。
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少子化が進んでいる。このままでは日本が危ない。そう危ぶむ声もある。これ
に対し、仕事と子育ての両立支援などを行い、男女共同参画社会を実現させ
れば少子化は止まる、と主張する人たちがいる。本書は、こうした主張には
根拠がないことを、実証的なデータを用いて示してゆく。都市化が進む現代に
あって少子化は止めようがなく、これを前提とした公平で自由な社会を目指す
べきだと主張する本書は、小子化がもたらす問題を考える上で示唆に富む
一冊である。
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2008年上野ゼミ指定文献?、少子化・社会政策・統計。
男女共同参画の下での少子化対策に対する反証がテーマ。少子化対策の原因の検証ではない。
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社会調査の講義で、社会調査が世の中に与える影響力に関するディスカッションをやっていたら、乱入してきた変人・堀川教授がこの本を勧めてきた。今までの授業で読んできた文献が全て社会に影響を及ぼすものだったので、単純な僕は社会調査とは全て、社会へ影響力を持つことを意図して行われるものなのだと思っていたのだが、そういうことは誤解であると突っ込まれた。参考文献になった文献は社会に影響を及ぼすほど名作で、なおかつわかりやすいから参考文献になったのだ考えるのが普通だと、突っ込まれてやっと気づいた。
ハナっから社会へ影響を与えることを意図するか否かは調査者次第であるということ。調査者にはいろいろなタイプがおり、大きくは典型的な大学引きこもり派と、表舞台に立って議論する派と、その真ん中派の3派。教授は真ん中派であるらしく、世間に広く影響を与えようとするよりかは、あくまで学会の中で、あくまで調査対象との間での議論を主とするのだと言う。(おそらく法政の社会調査系の教授陣は真ん中派ばかりだと思う。)だから小樽の問題(教授は小樽の住民運動を専門に調査している)に関しても、大衆に向けた本を一冊と出していない。だから世の中の役に立ってないと言うのは大きな間違えで、問題を学者視点から整理することは、その問題を当事者たちがより円滑に解決していく上で大事なことなのである。
そこでプログラマーG(ディスカッション仲間である)がこんな質問をした。「どうして影響力を行使していこうと思わないのか?」その質問に対して「影響力を持とうとすることは即ち、メディアに訴えていくということになるが、その舞台で必要なのは学者としての資質と言うよりかは、政治力がモノを言ってくる。だからそこからさらに正確な研究を続けようとするならばかなり大きなリスクを背負うことになるし、実際ダメになった人をたくさん知っている。つまり影響力を与えようとすることは全然簡単なことではないのだ。そして僕にはまだその準備は無いから、現状の立場で頑張っていこうと思っている。」とまぁ、確かこんな話だったような。確かに有名になれば人と人との距離が重要な社会調査において、その図り方がかなり難しくなることは必至。そしてメディアに出てくる学者がだんだんと鼻につく人間になって、愚にもつかないことを言ったりしだす例はいくらでもある。影響力を与えようとすることが全てプラス要素になることは大きな間違えであるという、かなり平凡な事実なのだが、ついつい忘れてしまうことである。もし、影響力を行使しようとするならばそれだけ大きな力量が必要なのだ。
そこで、この本を勧められた。社会調査がどのようにして社会に対して影響力を与えるのかについて考えるのに参考になるとのこと。読んでみると、統計リテラシーの話である。前によんだジョエル・ベストと同じセンのお話である。ただこの本は統計学的な話がかなり入ってくるのでちょっと手ごわい。が、大した量ではないし、相関係数さえわかってれば理解できる。
題名からして大胆であるが、内容もまた大胆である。社会学者の典型、ひねくれ者(統計リテラシーの話をするひとのひねくれ度はハンパじゃないかと��う)の言説である。だからこそ、我々がどのようにして陽動されてしまうのかについての分析は詳しい。政治を行おうとする者たちは物事を単純化させて、スムーズにシステムを構築しようとする。そのため調査結果がその政策に有利に働くように意図的に操作されている可能性がある。我々としても調査結果が単純である方がとっつきやすいし、もしその調査の対象が社会問題に関することであり、それを解決する手立てとしてデータが紹介されたなら、ぜひともそれを利用して「社会問題を指摘できる人間」になりたいものだ。そして多くの人間がそうなる。「この調査結果が示すようにこれこれの問題はかくかくすべきだ!」と世論は動く。そこに「待った!君らは本気でその調査結果が正しいものだと確認したのか?え?」と突っ込みを入れるのがひねくれ者の役目だ。
かなりKYである。「問題を解決しようとしているつもりになるな!」と言っているのだから、言われた方はムカつく。「偽善者ぶるな!」と言われてるのと同じであるのだから。著者が述べているように、これはある努力を一気に無化してしまう可能性もある。だが、その姿勢は認められるべきものである。教授の話に戻るが、影響力を与えようとする人間には政治力が憑いている、だからその影響力に対してどっしり構えることのできる、ひねくれることのできる、そしてされにそれを感情的なものではなく、学問的知見に基づいた冷静な分析のできる人間の役割は大きい。より問題の解決を正しい方向に導くためにも。(ただ、赤川学はどちらかといえば影響力を持とうとする派であることも言えるが、統計リテラシーの話は日本であまりされないので、プラスの影響を与えたと思っている。)
後半のほとんどは、政策に対する批判と代替案について述べられているのだが、これに対して明確にYES・NOすることは少し自身のレベルが足りない。でも「選択の自由」というのはわかる話だと思う。価値観の多様化に合わせた政策が必要であることは確かだし、そもそも現状のシステムは金の無駄である。ニートに関する支援システムでもそれが問題視されている。的確なところに正確な量を支援することが、政府の役割なのだから、単純化された調査結果を基にシステムを構築することにそもそもの無理がある。これは変えていく必要があると思った。
だがひっかかる点もある。やはり子供を産むということは、生きとし生けるものの役割であり、自然の摂理であるのだから、それを頭ごなしに自由だ自由だと言いふらすのははたして正しいことなのだろうかと。セックスしない、子供も産まない人間の未来ってどんなものなのか、想像すると少し怖い気がする。まぁそこから得る幸福感・満足感を犠牲にしても(犠牲とも言わないのかもしれない)得られるものがあるのだから、個人の選択を重要視するのだろうが、何か不安だ。原理崇拝者と言われてもいいです。
そして、話はそれるのだが、反「近ごろの若者は」の話になるのだが、「日本精神自己批判」の高まりと「平均寿命」の高まりの相関を調べたい。平均寿命が延びているということは、世代間での価値観のギャップが激しくなるということである。そして過去ほど何故か美化される。そして若年世代へのバッシングがはじまる。もっとデータをしっかり分析すれば、若年世代も腐ったものではないのではないかと思うのだが、それはまたあとで。
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なぜか、読みとおすのがつらかったです。意地で読みましたが。
データがサンプルの取り方によってここまで大きく変わる、有意かどうかまで変わってしまうというのに驚きました。
数値で出ていると信用してしまいがちですが、しっかりした裏付けのもとにサンプルが選ばれているのかにも注目してデータを見ていこうと思いました。
でも、筆者の意図が混じらないデータなんて、果たしてあるのだろうか、という疑問が。
男女共同参画社会が少子化対策のためのものだったというのは初めて知りました。確かに、本当にそれが社会のためになるならば、対策になるかならないかは別として、推進されるべきだと思います。
家族手当や子育て支援を不公平なものだと言いたいらしいのですが、そうしたら奨学金とかも不公平なものになるのでしょうか。
学校に行く人だけがお金をもらえるわけですから、学校に行かないという選択をした人や、奨学金をもらえるだけの成績・生活困窮度がない人にとっては不公平だ、という論理になりそうです。
「選択の自由」にこだわることが、必ずしも良いことなのかが分かりませんでした。
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タイトルがトンデモ本のようでアレなんだけど、中身はちゃんとしたもの。
インパクトを与えたかったんだろうね。
社会学者が社会学的に「少子化は何の問題もない!!」と斬っている。
しかもこの先生、社会学でもこの分野は専門外らしい。
それだけ少子化対策とかジェンダーフリーに疑問を持っていたのだろう。
自分も少子化は問題ないと薄々思っていて、何か学術的にそういう本が読みたいと思っていた。
思想としてそういう本はあるんだけどね。
そして実際にこの本を読んで納得した、と。
まあ、でもこれは思想的に偏りのある人からは攻撃、もしくは黙殺されるだろうね。
実際出版から数年立っているけど、少子化はこれから更に進行するものと考えて何とか対策を立てていこう、って流れにはなってないもん。
未だに「どうしたら若者は産むのか」なんて議論をしているでしょ。
これ読んだことあるかなー、小渕の娘(笑)。
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個人的に、少子化・日米同盟・憲法9条・小泉改革・死刑制度・非正規雇用の
6つは、次の総選挙までに、一市民としてとりあえずの意見を固めておきたい
トピックだと思っている。
少子化問題というと、担当大臣のポストまで出来たり、移民の受入れ促進とか
ちょっと過激な話になってきたりすることが多いが、そもそも少子化がなぜ
問題なのかをきちんと問題にしている論説があまりに少ない。同じトピックで
あと数冊手にとってみる予定だが、本書は十分に「あたり」だった。
過激な語り口で、わりと穏当なデータ分析の妙技を見せてくれる一冊。
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大学に入る前に読んだ本。
少子化と少子化対策について、よくわかりました。
それまで言われていた、保育所政策を拡充すれば(働きながら子育てできれば)少子化は止まる!わけじゃないと知って目からウロコ状態。。
統計の取り方によってこんなに違うものなんだ、と初めて知った。
タイトルで選んだけど、正解(勉強になった)本でした。
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[ 内容 ]
少子化が進んでいる。
このままでは日本が危ない。
そう危ぶむ声もある。
これに対し、仕事と子育ての両立支援などを行い、男女共同参画社会を実現させれば少子化は止まる、と主張する人たちがいる。
本書は、こうした主張には根拠がないことを、実証的なデータを用いて示してゆく。
都市化が進む現代にあって少子化は止めようがなく、これを前提とした公平で自由な社会を目指すべきだと主張する本書は、小子化がもたらす問題を考える上で示唆に富む一冊である。
[ 目次 ]
序章 世に溢れるトンデモ少子化言説
第1章 男女共同参画は少子化を防げるか
第2章 子どもを増減させる社会的要因は何か
第3章 夫の家事分担は子どもを増やせるか
第4章 男女共同参画は少子化対策ではない
第5章 少子化の何が問題なのか
第6章 少子化はなぜ止まらないのか
第7章 子育て支援はいかにして正当化されるか
第8章 子どもが減って何が悪いか!
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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少子化で日本の未来が危ない!というのが通説であるが、
この本はそれに真っ向勝負している。
というか、「別に子供うみたきゃ産めばいいし、産みたくないなら無理しなくていいじゃん!」って言ったほうが正しいだろうか。
男女共同参画社会が少子化対策になるのは嘘だよー
だまされるなー
って感じ。
前半は実証分析の良い勉強になります。
何にも勉強したことない人でもかるーく方法論が理解できる。
一度勉強した人にはおさらい。噛み砕ける。
後半はちょっとした精神論になっていきます。
とても読みやすい。
なかなか面白いです。
正しいと思われていることを疑ってみる目が養えるかも。
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「選択の自由」という理念を強調しながら男女雇用機会均等と少子化対策が如何にリンクしていないか論じられている本。