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紙の本
新書は川から海へ
2009/02/25 19:30
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
うまいなあ。歴史に残るような名文とはほど遠いが、自分には一生かかってもこんな文章は書けないなと思う。
本書は137冊の新書をキーワード別に分類し、一冊につき800字前後の字数で紹介している。基本的には、『いまどきの「読むに値する」新書』をセレクトしている。
字数の制約を制約と感じさせない、テンポがよく切れ味鋭い筆鋒で読ませる。冒頭の「つかみ」となる一文、ラストのキリッとした「締め」が短文の見本のようだ。
これにはさむ具材は、対象本の概要に永江氏の体験と主張だが、この重ねかたの手際がいい。最近はコンビニのものもだいぶおいしくなってきたそうだが、いぜん、それよりワンランク上の手作りサンドイッチの味わいだ。
ときに乱暴で激辛だが、ひねりの効いたフレーズがスパイスになっている。
たとえば、『DV(ドメスティック・バイオレンス)殴らずにはいられない男たち』においては、妻を殴る夫たちをこう形容する。
《妻を殴る夫たちは、何らかの理由でそのトレーニングを積んでこられなかった。子供なのだ。子供が結婚してはいけない。》
幼い子どもを虐待する親と祖父母のことは、《(前略)幻想にとらわれ、衝動を抑えられない子供のような親たちだ。子供が子供を産んではいけない。》
未読の人に「読んでみたいな」と思わせること。ちょっとおおげさだが、それがプロ書評の役目だと思う(批判に徹するばあいは別として)。永江氏は、「読むべし」と強く推薦するわけでもなく、本そのものを激賞するわけでもない。そこはサラリとすませているのだが、未読のものは読んでみたくなり、既読のものも再読してみたくなった。
こういうところが、プロのライターならではなのだろう。
著者いわく、いまや新書は「なんでもあり」だそうだ。文庫の後塵を拝しているジャンルは小説と古典ぐらいか(「中公クラシックス」が気を吐いている)。ならば、「新書とは、新書サイズの書物のことである」という最小定義でいいつくせる日も近いかもしれない。
そんな、新書の海で溺れたい。
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