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紙の本
知ることで何かが始められそうな気になる
2005/06/23 22:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
新宿小田急百貨店の近辺で、黙って「ビッグイシュー」という雑誌を右手に掲げて立っている初老の男性を随分前から見かけていました。雑誌の表紙写真はケビン・コスナーなどハリウッドスターなのですが、どことなく安っぽさを感じさせるくすんだ色合いの写真です。10年ほど前にはその近くで宇宙人を信仰対象とする宗教団体がパンフを掲げていたので、「ビッグイシュー」もやはり宗教団体の宣伝誌だと思って通り過ぎていました。
本書によれば、これは英国でホームレスの就業支援を目的に創刊された雑誌の日本語版とのこと。ホームレスはまず一人10部を無料で受け取って街頭販売します。売価は一部200円なので10部売り切れば2000円が収入になります。これを元手にして以後は1部90円で仕入れて販売するという制度です。誌面構成は表紙写真の著名人の単独インタビューを中心とした、いたってまじめな情報誌だとか。
本書はこのビッグイシュー誌の取り組みを東京と大阪に取材してまとめたものです。
こうした就業支援活動が自分が行きかう路上で、目の前で展開されていたとは知りませんでした。そうした「身近な未知」を知らせてくれる読書というのは楽しいものです。身近であるからこそ、知ることで何かが始められそうな気がしてきます。
ただし本書が一作目であるだけに、著者の取材には詰めの甘いところが見られます。ホームレスの男たちにかなりウェットな形で関わってしまっていて、必要以上に肩入れしたり、無邪気に感動の涙を流したりしています。取材対象との距離のとり方が気になりました。
ホームレスのことを単に怠惰で不潔な人々という風にしか見られない市民の生理は確かにあります。読者の否定的な思いを払拭するためには、彼らの多くがなぜホームレスとなったのかついてもっと突っ込んだ記述が必要です。「あることがきっかけで」(120頁)と一言で片付けるのは損です。
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