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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
正に殉職ともいえる最期を遂げた中村医師が、支援団体とともに現地に根差した医療を実践していく姿から、国際協力のあり方を見せてくれます。
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もっとはやく読むべきだった。
池澤夏樹の「新世紀へようこそ」をメールマガジンで読んでいた頃に知って、もっとちゃんと知らないといけない、と思いながらそのままに。
痛ましい事件でかえって有名になってしまった氏とペシャワール会。
知らないとわからないことが世の中にはたくさんある。
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ペシャワール会の中村哲医師の本が文庫になっていたので買いました。中村医師がそもそもの初めにかの地を訪れたのが山行だったことやその後もなぜだか自然とそういう流れになり、もはや他の生活は考えられなくなったというのがさらりと書かれていました。文章にすればさらりという表現になったのかもしれませんが、言葉では説明しきれないような密度の濃い思いが根底に流れているような、静かな中に情熱を感じるような、そういう内容でした。
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ペシャワール会代表の中村医師が、まだペシャワールのに入る前にアフガニスタンで活動したことをまとめた本。
現地での活動、支援と現場のギャップ、中村医師が感じたことが全て書かれていて、国際支援とは何かを考えさせられる。
こういう現場からの声を聞いてみたかった。
詳細は割愛するが、真実を知れて、読んでよかったと思った。
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今夏も娘の夏の課題に付き合って、本書を再読した。国語の先生の推薦図書に入っている数冊と本書を渡すと、どういうわけかこの1冊を選んできた。私の記憶があいまいで、実は本書には井戸掘りのことが詳しく書かれていると思っていたのだが、文庫本あとがきに来るまで、一切井戸の話はなかった。それよりも前に書かれていたということだった。今回読み直したことで、あらためてボランティアということについて深く考えさせられた。「あなたたちのために私は来たのだ」という恩着せがましい態度は慎まなくてはならないのだろう。自分が好きでやってきて、少しでもそこにいる人たちの役に立てればいいなあ、というくらいが良いのだろう。決して自分たちの価値観を押しつけないこと。何が幸せかなんてわかったことじゃないのだから。実は、私が高校生の頃、1982~83年の1年間、アメリカに留学をした。サッカー部に所属したのだけれど、そこにアフガニスタンから逃れてきたという兄弟がいた。当時は大して状況がのみ込めておらず、何の話を聞くこともしなかった。それでも、平和ボケしている自分に、世界には戦争があって自分の生まれた町に留まれない人々がいるのだなあということくらいは感じることができた。海外に出ると文化の違いを感じることが多い。けれど、やっぱり同じ人間なのだと感じることもある。互いの文化は認め合い、その上で、人と人として付き合っていければよい。(2015夏再読)
もう全くの無知で、どういう歴史的、宗教的背景があってこんなことになってしまったのか知らないものだから、何ともコメントしづらいのですが・・・。ただこの本の中で、現地の住民が、「アメリカ(あるいはイギリス?)とロシアの戦争に自分たちを巻き沿いにしないでほしい」と言っているあたりが真実であるような気がします。私は、高校生のころ、1980年代前半だけれど、アメリカの公立高校に1年間通っていて、サッカー部に入っていた。そこにアフガン人の兄弟がいた。戦争から逃げてきたと言っていた。そんなことがあったにもかかわらず、それを現実として受けとめ、その事実を知ろうとしなかった自分がはずかしい。著者の中村哲さんは医者です。アフガンとパキスタンの国境あたりにあるペシャワールという街で、ずいぶん長い間医療活動に当たっていらっしゃいます。名前だけは存じ上げていましたが、著書は今回初めて文庫になったので購入して読んでみました。日本人の国際化とかボランティアとか言っていろいろやっていることが、どうも上っ面だけ、格好をつけているだけ、自己満足をしているだけ・・・ということがあるようです。本書を読むことで本当の国際化の意味が少しは分かるのではないかと思います。そしてもう一つ、「らい病(ハンセン氏病)」についても始めて知ることばかりでした。もっともっと社会のことに目を向けないといけないと思い知らされました。
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2005年(底本1993年)刊行。ソ連のアフガン侵攻(1979年)後、戦乱に喘ぐアフガン、パキスタン・ペシャワールにて、84年から10年間(その後もアフガン在)、該地域のらい病(ハンセン病。らい病の呼称は著者の指定)撲滅・軽減に尽力してきた著者の見聞・奮闘録。①ベトナム戦争は従軍記も含め多数の記録が残されているが、ソ連アフガン侵攻後、撤退までは全く報道しない点への憤り。②現地ハンセン病支援に対する日本人の冷たい仕打ち(等質…を強制する合意…ある日本社会…底意地の悪い冷徹な不文律が…拒絶の理由に)への怒り。
③都市部への支援しか目が向かない国連・米国その他、さらに、治安確保と輸送システム回復のため、流入する武器の減少や地雷撤去が緊喫の課題なのに、その支援に全く手が回らない。等々、現地にいるからこそ理解できる切実な課題と憤りを、率直すぎる物言いで開陳する。誰でもができることではないが、究極の僻地医療がここにある。
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アフガニスタンの診療所から(ちくま文庫)
著作者:中村哲
国連の事務総長はアフガニスタンで長年人道支援と復興に携わってきた医師の中村哲さんが殺害された事件について「彼の家族と日本人の人々に心からのお悔やみを申しあげました」と哀悼の意を示した上で「もっとも弱い立場の人々に奉仕している人が殺される事に絶対に許せない」と述べ人道支援に対する攻撃を非難しました。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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日本の「世間」の、ある残酷さがピタリと言い当てられているところに深い頷きを得、また、以前から疑問を持っていた「一様に西洋化することがほんとうに進歩なのか?」という疑問にも答えのひとさじをいただいた気がした。そうして、「実際」は場所問わず、足元に座って視線を同じくしなければ知り得ないという考えも新たにしていただいた。
中村哲医師の冥福を祈るとともに、アフガニスタンのひとびとがまたも大国の犠牲にならないことを願う。
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海外医療協力としてアフガニスタンに派遣され、現地の状況を文字通り身体に擦り込んできた筆者には、その地から見る日本や、先進国を中心とする世界の現状が、ひたすら終局へと向かっているようにしか映らなかった。その思いは、最後の「そして日本は…」の章にほとばしるように溢れる。
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カテゴリ:図書館企画展示
2019年度第6回図書館企画展示
「追悼展示:中村哲氏執筆本等」
展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。
開催期間:2020年1月6日(月) ~ 2020年2月28日(金)
開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース
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中村医師のこの行動力の源泉はなんなのか。あえて難しい方、厳しい方を選択し、進んでいく。そこには本当に困っている人がいるが、他の誰も行かない。
短期的な成果を求める多くの国際協力チームとは対極にあり、地元の人の育成まで含めた長期的なビジョンを実践する。あの朴訥とした中村先生のどこのそのパワーがあったのだろうか。
中村医師のことは知ってはいたが、実際の活動は知らなかった。現地でハンセン病の治療に携わり、さらに近年では自ら重機を操縦して灌漑をつくる。
本当の国際貢献の在り方を知るとともに、我われがいかに無知で無関心であったか、恥じる思いが沸き起こる一冊であった。
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様々な困難の中でも人に寄り添い志を貫いた生き方に心を動かされました。もっともっと生きていて欲しかったです
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中村哲さんがハンセン病治療していたころの著作。国連をはじめ支援国が金ばらまいてその土地の上層部だけ潤うのや、自分たちの思い描くような「国際援助」を現地の文化や習慣を無視してやりがちなことへの怒りがあふれてた。中村さんは目の前にいる人々を助けることだけをひたすらに考えて、状況を冷静に見極めて行動していく。
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アフガニスタンを長年支援してきた著者が、ハンセン病治療活動に従事していた頃の活動を紹介した戦記。著者追悼のため復刊したとのこと。
印象的だったのは徹底的なリアリズム。欧米の文化、習慣、言葉を押し付けるのではなく、現地に沿う形での支援に徹されていた。活動メンバーも現地の言語をおそらく複数会得し、現地に溶け込み活動されていた。また、アフガニスタンに対する上から目線もない。権力闘争、部族主義など困難な点があることを認めつつ、一方でパキスタンのペシャワールとアフガニスタンに対する愛を節々で感じられた。著者の生き様に触れ、心の豊かさを問いただされた気がした。
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国際理解、支援、協力といった華々しい言葉がいかに空虚なものであるか。中村哲さんが現地でやってきたこと、感じてきたことを目の当たりにし、「先進国」が「発展途上国」に近代的な価値観を押し付けながら正義と民主主義の名の下に殺戮を繰り返してきたことがよくわかった。
ボランティア=立派なこと、みたいに教育されるが、本書を読むとそれが本当に現地に歓迎されるものなのか、その中身、本質が問われていることを感じる。国連に対するイメージも大きく変わった。
本書ではらい患者への取り組みがメインに書かれているが、ここから井戸を掘って農地を開拓して…どうしてそこまで?と思うようなことまでやってきた中村哲さんの内面をもっと知りたいと思う。
心よりご冥福をお祈りいたします。