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紙の本
これまでのバカ騒ぎはメッキにすぎない。このまとめ方こそ、菊池たけしの実力なのだ。
2005/02/23 14:46
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投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルールブック発売前に第1巻が発売されたこのシリーズ。3作目である本書で、一つの大きなシナリオ(キャンペーン)が終わりとなる。
前二作は、良くも悪くも“こってり菊池たけし味”だった。相変わらずあちらこちらでプレイヤーのアドリブで済ますには大きすぎる発言を採用してしまうし、その発言を伏線として利用しようとシナリオは複雑化していくし、“(笑)”は多用しすぎるしで、読むのに骨が折れた。ところが、本書にはそれほどの脱線が見られない。実際は乱発されていた発言を書かなかっただけなのかもしれないが、プレイヤー達もゲームマスターを務める菊池たけしも、とても落ち着いているのだ。また、“(笑)”の多さも気にならない。これまでは内輪受けに近い発言にも付いていたのが、少なくなったためだろう。なにはともあれ、読むのがとても楽になった。他の作品でも気を付けてもらいたいものだ。
いよいよ物語が終わるとあって、単行本収録の話だけではなく、別の機会にプレイした分の経験値も使って、プレイヤーキャラ達は一気に2レベルアップしている。これで冒険が少しは楽に……とは問屋が卸すはずもなく、立ち塞がる敵も更に強大になったのだった。となると“世界滅亡の危機”が大好きな菊池たけしのこと、今回もまた滅茶苦茶な最後になるのでは、との心配が浮かんだ。しかし、それも杞憂に終わる。とてもスマートに、それでいて思い入れタップリに終わっているのだ。
菊池たけしは元々クライマックスへの盛り上がらせ方が上手い。リプレイを読んでいる者も思わず「ひでー」と呻いてしまうような鬼畜紙一重の行動を悪役にとらせ、プレイヤーの気持ちを一つにまとめさせてしまう。今回はその手腕が特に光っているように感じる。バカ騒ぎに発展することもないし、菊池たけしを見直す一冊となった。
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