紙の本
現代のファーブル昆虫記。もっと続きが読みたくなる。
2011/05/08 00:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ダ・ヴィンチ電子書籍アワードの大賞に輝いた作品。
奇妙なタイトルとかわいらしい装丁に惹き込まれる。
本書は虫の生殖行為の不思議を絵本のかたちにしたもの。
内容を紹介するのがいちばん早いと思うので
一話だけ、おおまかな説明を。
たとえばepisode9の「永遠の絆」は
村でいちばんの美女と結婚できることになった男の話。
しかし彼は、妻となる女性のあまりの美しさに、
誰かに盗られるのではないかと過剰に心配する。
結婚のその日、男は神に懇願し、祈りを捧げる。
『彼女がずっと私だけのものでありますように。
それが叶うなら、死んでもかまいません』と。
結婚の儀式が終わると神の『願いを叶えてやろう』との声が。
つぎの瞬間、男の頭が取れてしまい、そのまま彼は死んでしまう。
しかし彼の胴体は、彼女としっかりと手を握ったまま離れなかった。
そんな彼女に誰も言い寄るはずもなく、彼女は彼の望みどおりに
彼以外の妻になることはなかったのだった。
このお話はじつはミツバチの生殖が元になっている。
ミツバチのオスは、交尾が終わると死んでしまうために
生涯に一度しか交尾できない。
彼らは交尾が終わった瞬間に硬直化して失神してしまい
体がそのまま落下する。
このときオスの生殖器はメスの中に入ったままである。
このため生殖器はひきちぎられ、即死するということらしい。
捨て身の行為には、おどろくべき理由があるのだが・・・・・・。
エロティックとホラーが混在した、ヒトの本能に訴えてくるお話。
13篇のお話にはそれぞれ「なぞ解き」という解説がつく。
これを読んでいくうち、読者は
おどろかされたり感心したりしながら
虫たちの行動や備わっている機能に
どんどん興味がわいていく。
虫の図鑑とか生態を描いたものは
(ビジュアルが)苦手な分野なのだが、
この本は虫をすべてかわいらしく擬人化しているので
気持ち悪さはまったくない。
閲覧できる機器を持っていないため、図書館で本書を借りたが、
あまりのおもしろさに、書評を書きたくなった。
アプリで話題になったものを紙で読むという逆バージョン。
本との出会いには、そんなこともある(というか増えるかも?)
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05/11/05読了。
虫の性を擬人化してしまうと、かなりえげつないことになっている。けど、それは人間の立場から見ているからそう思うのであって、生物的には都合のいいことなのだ。虫ってすげぇなぁ。
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虫の子孫繁栄の方法を擬人化して表現している。合理的で理屈的な方法が多いのだが、擬人化されるとせつなく、えげつない。解説もついているので解り易い。(電子書籍版)
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昆虫の子孫の残し方が絵本みたいな形式で、おぞましいなかにもやんわりとした感じで分かりやすくおもしろい。
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電子書籍で読む。
動き・絵が可愛い。が、内容がダークでシュールなのがよい。答え合わせでモデルがあるのがよい。生物って不思議だ
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種の保存が目的の合理的本能。人間の男女間にも、実はこうした本能が入っているのでは?と、虫の本能を見ながら、ドキッとさせらせる。
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昆虫の生殖を絵本にした内容です。カマキリの生殖が個性的なのは比較的知られているかもしれませんが、その他にも個性的な生殖をする昆虫が沢山いるのだなと関心しました。絵本なのですぐに読めるのも良いと思います。
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図書館から借りました
生態本。擬人化。科学。観察系。絵本。
擬人化されて、戯画になった短篇ストーリーが繰り広げられて、答え(謎解き)がある。
絵は可愛らしい。頭がでかい、落書きみたいな絵である。
いろんな虫がいるもので、結婚(番う)までは性別が無く、背が高い方が雌になり、でも雄の方が成長が早く、雌の背を追い抜いた雄は雌にかわり、背が負けた雌は雄になり、再びまた背丈が追いつかれたらまた交換、とかいう究極ジェンダーですがな♪
あとは蜘蛛。交尾後、雄が食べられてしまうのは知っていたけれど、あえて交尾の時間を引き延ばして自分の精子の受精確率をより高めるために、あえて雌に「頭」を差し出す、っていうのは初めて知った。すげー♪ 無夜はてっきり、にげ損なっているのかと思っていたので、感動です。そうまでして子孫を残そうとする本能ってすばらしいです。
という感じのが、可愛らしい絵で牧歌的に描かれています。
おもしろかったですよ♪
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○タイトルの意味がわからずに手に取ったところ、「なんだこの話は!?」という驚きがありました。そのまま読み進めてみると、生物の生殖のお話とのこと。つまり、こんな不思議な生殖をおこなう生き物が現実にいるんですね。生き物の神秘的ともいえる不思議さを面白おかしく描いた短い本です。
○生き物のなかで一夫一妻が特殊なものだということは容易に想像がつきますが、同じように、他の生物にもなぜこんな性戦略が必要なのかと思うものがたくさんあります。具体例を挙げれば、大きさでオスとメスが入れ替わるとか、自分の遺伝子を遺すためにメスに自分の頭を差し出すオス(カマキリの話は有名ですが、自分から差し出すとか!)とか、互いに受精し、互いに受精卵を放棄しないための仕組みがあるとか(つまり、相手さえ出産すれば自分の遺伝子は残るので、こちらが守る義理はない……のでそれを阻止する)……。
○生存に有利な遺伝子をもった個体が生き残るとは高校時代に学んだかなり怪しい記憶ですが、それにしても、どのようにしてこんな戦略をとるに至ったのでしょう。生き物の不思議さを知るという点で、面白い本です。
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ときに残酷でときに可笑しい人間以外の生殖行動を、擬人化した短いマンガと解説で紹介する。
初めに出会った相手によって性別が変わったり、環境で性別を産み分けられたりと、虫の世界は本当に不思議。
カマキリのメスが交尾中に相手を食べてしまう話はよく知られているだろうけど、他にも表題になっている『ヌカカ』という蚊もそうだということだし、交尾後に失神してしまいメスの体に性器を残したまま引きちぎれて死んでしまうミツバチなどまさに命がけ。特に、短命で食事をする口すら持たないというダニの仲間などは、正に子孫を残すためだけに生れてきたよう・・・。自分がこの世に生まれてきた意義なんてことを求める人間としては、やるせない気持ちになりますが、生き物としてはそちらが普通なんだろうね。