紙の本
原作漫画をより濃厚に味わえる
2005/06/21 20:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
舞台は19世紀末の英国ヴィクトリア王朝時代末期。上流階級に名を連ねる豪商・ジョーンズ家の長男ウィリアムと、彼のかつての家庭教師の家で働くメイド・エマの身分違いの恋物語です。原作の漫画をより緻密に描いた小説版です。
この作者の、絵だけで登場人物の心情を物語る表現力も絶品!なのですが、小説では彼らの心情が言葉で描かれるので、物語の時代背景や実生活がより具体的な風景として見えるところが味わい深くて、いっそう「エマ」にはまってしまいます。小説の著者・久美沙織さんもかなり勉強されていて、エマのメイドとしての仕事ぶりなど、丁寧で目に浮かぶようによくわかります。私は朝のコンロの大掃除について語られている部分など、結構好きです。掃除が嫌いな人にはわからないだろうなーという掃除の醍醐味まで書かれていて、マニアックな喜びがあります(笑)。
また、漫画だけではわからなかった、当時リネン類に使われていたラベンダーの香りの描写も、ウィリアムがエマを想うときのいいスパイスになっていて、小説版ならではの心憎い表現だと思います。当時の階級の壁の厚さ(所詮、一時代でしか通用しない一部の人間が勝手に作り上げた自己満足の極致だと思うんですけど、そういうのが最もやっかいなんですよね・・・)もさらに理解できるし、今後ウィリアムがその壁を乗り越えて自分の思いを貫いていくのか、エマはどうするのか(といっても彼女にできることは身分的に限られてしまうような気はしますが)楽しみでなりません。
個人的には漫画を読んでから小説を読むのがオススメです。
投稿元:
レビューを見る
大ファンの久美沙織さんが書いている小説版。
漫画のコマの間の坊ちゃんの(笑える)葛藤とか細かな描写に心酔。
現在2巻まで発売中。
投稿元:
レビューを見る
現在1、2巻まで出ているのですが丁度エマがウィリアムと離れてしまうまで描かれています。文が久美沙織さんで世界観にあってました。漫画にはないシーンがあったりより細かく話を追っていけるのがいいですね。これは読むべきです。
投稿元:
レビューを見る
眼鏡をかけた時の戸惑いと感動、ハンカチへのあこがれ、ケリーとの別れ。原作では見られなかった(無口なので決してセリフでは語られない)エマの心理描写が素敵。
投稿元:
レビューを見る
翻訳小説かのような文章。作品にはあっているけど読みにくかったなあ。原作を追いかけつつも適度にオリジナルシーンを入れていて好感が持てました。アニメ一期ラストくらいまではノベライズされるんだろうか。
投稿元:
レビューを見る
エマを読んだことがなかった。
なんかコミックスでは有名だけれど、絵柄がそこまで好きではなかったので手にとったことすらない。
あぁ僕はなんて愚かものだったんだろう。
こんな素敵な作品を埒外においていたなんて!!
エマの舞台はヴィクトリア朝時代のロンドン。
貴族階級と新興の資本家、そして貧民がいた時代。
そんな時代のメイドのエマと大金持ちの息子ウィリアムとの純愛の話し。
エマもウィリアムも心が清冽で、お互いの階級を意識しないで魅かれあい、やがてその階級の壁にぶちあたる。
小説などでは使い古されたありきたりなストーリだけど、やはりいい。
エマは天涯孤独の身で物乞いをしていたこともあり、どんな小さな喜びでも大切なものに思い大事にする。
特にエマが初めて眼鏡と出逢い、世界が一変したシーンなどは感動ものだった。
投稿元:
レビューを見る
マンガはとても好きで、何度もくりかえし読む。
小説は若干無機質になってしまったかなという印象ですが、心理描写は良かったと思う
投稿元:
レビューを見る
コミック『エマ』のノベライズ版。原作は時代考証がしっかりされており、作者の愛情がふんだんにあふれた物語でしたが、コミックという性質上、人物の内面心理描写に物足りなさを感じたので、小説版があると知り、読んでみました。
久美沙織の本を読むのも、久しぶりです。
思った通り、当時の19世紀末、ヴィクトリア朝の時代背景などについて十分な説明が入り、加えて人物たちの心理もしっかりと書かれていたので、狙いが当たった満足感とともに読みました。
主人公エマは、必要ないことはほとんど喋らない、口数少ないメイド(むしろオールワークス[雑役女中])として描かれていますが、小説版では内面の吐露が漏らさず書かれているため、原作の補強ができます。
近視の彼女が初めてメガネをかけ、世界が変わった時の感動が、詳細に表現されており、自分が初めてコンタクトをつけた時の興奮がよみがえりました。
1巻では、彼女はガヴァネス(家庭教師)のケリー夫人宅で働いており、そこでのウイリアムとの出逢いがメインとなっています。
そのほかにはウイリアム宅に滞在するインドの王族のハキル。
母国から象を何頭も連れてくるなんて、さすがはマハラジャ族、やることが半端ありません。
この時期、1877年のセポイの乱後、インドはイギリスの植民地になったためか、やけに当時のイギリス作品に、インドが登場してくる気がします。
ぱっと思い出せるだけでも『小公女』『秘密の花園』『ジェーン・エア』『インドへの道』『黒執事』など。『海底二万マイル』も間接的に含まれます。
この辺に詳しい資料があれば、読んでみたいものです。
1巻では、ウイリアムは、エマに出会って単なる恋する浮かれ男になっておりますが、ジェントリ(上流階級)の跡取りである彼の責務として、まずは結婚相手の身分を第一に考えるべきなのでは?と思うと、ウイリアムの頼りなさ、自覚のなさが気になります。
そこまでエマとの付き合いを現実的なものとして考えていなかったのかもしれませんが。
まあ、ウイリアムのそういったふわふわした性格は、コミックにもよく出ています。
彼はイートン校を出ていますが、その後は特に大学に進んでいないようです。
ケリー夫人の描写が、厳格な当時のガヴァネスの典型的姿のようで、興味深く読みました。
私にとって英国ガヴァネスといったらジェーン・エアでしたが、ガヴァネスとはナニーとチューター(家庭教師)の間のような職種と知りました。
『黒馬物語(ブラック・ビューティー)』の話が少し登場しました。
この物語もセポイの乱と同年に出たので、やはり時代はインドが植民地化した後の話とわかりました。
かなり細部にいたって描かれており、原作にないシーンも取り込まれているので、小説だけを単体として読んでも、十分楽しめます。
投稿元:
レビューを見る
私の大好きな漫画、森薫さんの「エマ」のノベライズ。
番外編的なお話かと思いきや、本編をノベライズしたものでしたね。
序盤からのんびり坊ちゃん全開のウィリアム(笑)
漫画ではほんの数コマで流れてしまう場面を丁寧に描かれ、エマの世界の空気がとても良く伝わってきました。
ほんのりと頬を染める時の心情や、何気ないやり取りの中の心の駆け引き。素敵でした。
ただ、もともと漫画ファンなだけに、「ああっ、そこの台詞だけは変えないで欲しかった…!」ってところが少々ありましたので、個人的な感情で星ひとつ減らさせていただきました。
エマさんは決して自分の心や欲求をぺらぺらと口に出して言う人ではなかったので、今回ノベライズを読んで、ウィリアムの存在にどれだけ心を動かされていたか、どれだけケリーさんのことを慕っていたかなど、無口でおくゆかしいエマさんの心のうちがとても心に響いた。
でも、やっぱり、エマさんはエマさんなのだ(涙)
小説を読んだ後に漫画を読むと、なお一層エマさんの微妙な表情の変化にニタニタしたりできました(笑)
私の大好きなヴィクトリアン時代の小物や生活の描写も細かにされていますので、とても楽しんで読めますし、参考になりました。
この巻で描かれているのは、ウィリアムがエレノアとの婚約話を知るところまでですね。
この後どうなるか展開はわかっているけれど、ドキドキせずにはいられない…。
投稿元:
レビューを見る
漫画「エマ」1巻を、エマ視点から丁寧に追っていったノベライズ。
読んだ後は、エマがますます魅力的に思えてくる。
投稿元:
レビューを見る
森薫さんの漫画「エマ」のノベライズ第1巻。
漫画を読んでからこの本があることを知って読み始めたが、漫画の内容がさらに詳しく(裏事情というか)書いてあり、漫画のあの場面はこういうことだったんだなと明らかになることもたくさんあった。これを読んでからまた漫画を読み直したくなる一冊。