紙の本
「ああ,こういう職業もあったんだなぁ,人間って面白いなぁ」とシミジミできる本
2006/02/09 06:03
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
数年前になるが,仲間数十人で屋形船を借り切り隅田川で舟遊びと洒落込んだことがあった。オレに限れば屋形船に乗ったのはそれが三度目,季節も春と秋を経験し,生意気にも「もう屋形船はいいかな」と思っていた……んだけどねあなた,「この国で『絶滅寸前の職業』の人々に話を聞いてまわった」というこのノンフィクションの中に,その時点で東京には4人(日本全国で5人)しか残っていない幇間の一人,悠玄亭玉八を呼んで屋形船の停泊時間にその芸を見せてもらう話が出てくるのだ。
幇間芸と言ってどんなことをやるのが想像のつく人は稀だろう(と知ったかぶるオレもこの本で初めて知ったんだけどね)。著者によれば,30人ほどの客が飲み食いを始めた船の中,玉八は楽屋もないところで見事に(忍者のように,だそうな)気配を消していて,いつの間にかマイクを手に取って隅田川のガイドを始めた。自分の肌襦袢の裏を見せて笑いを取り(所謂48手が描いてある),船が停泊地点で止まるとおもむろに三味線を取り出しつま弾きながら世相漫談,都々逸など。歌舞伎役者の声帯模写から政治家,有名人などの物まね,日本舞踊を取り入れた所作事でエッチな未亡人を演じ,房事が過ぎる新婚夫婦の屏風芸,短い落語を一席挿んで「深川」,「奴さん」などの手踊りでやんやの喝采を受け,気がつくとまた気配を消して船は動き出していたという。ね,ね,これ見てみたいでしょ?
この幇間の他に取り上げられている職業は縁日などに出る飴細工師,自転車に乗ってやってくる紙芝居屋,銭湯絵師,見世物小屋に俗曲師,彫り師に真剣師にへび屋といった方々……。え,へび屋って何だって? へび屋はへび屋なんだがな……。判らなければGoogleで「黒田救命堂」のサイトを探してみてください。とにかく「ああ,こういう職業もあったんだなぁ,人間って面白いなぁ」とシミジミできること請け合いの一冊であります。
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へびや、俗曲師、紙芝居や、銭湯絵師など。絶滅寸前の職業にスポットを当てた本。それぞれの人物もまた面白い。
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この国には、絶滅寸前の職業がこんなにあるんです。
飴細工師、街頭紙芝居師、へび屋、銭湯絵師、見世物小屋、能装束師、俗曲師、幇間…懐かしいけど、どこか新しい。
絶滅寸前の職業の数々を、それを愛してやまない達人達の生き様を織り交ぜて紹介する“ハローワーク外伝”。
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2009.03.17. 現在、絶滅しつつある日本の伝統的な職業紹介。本当に、いろんな職業があるんだ…そして、その天職に辿り着くまで道は決してなだらかではないんだ。と、職探し迷走中の私は、けっこう感じ入ったのでした。みなさん、かっこいいです。
飴細工師/俗曲師/銭湯絵師/へび屋/街頭紙芝居師/野州麻紙紙漉人/幇間/彫師/能装束師/席亭/見世物師/真剣師
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レッドデータ職業@JAPAN な本。
職人好きにはたまらん1冊。
自分も家族も、こういう職業には就けないだろうなぁ と思う一方で
なんだかかちょいいなぁ と感じる自分を発見。
しかし『へび屋』さんって初めて聞いたよ。
反鼻、正体を知ってしまったけど どんまい(笑。
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面白い!こんなに面白いルポルタージュを読むのは久しぶりだ。
この本で紹介されている職業は飴細工師から始まって、俗曲師、銭湯絵師、へび屋、街頭紙芝居師、紙漉人、幇間、彫師、能装束師、席亭、見世物師、真剣師まで、貴賎なく選ばれている。
それらの唯一の共通点は、古来より日本において綿々と続いてきたものの、現在消失しようとしているというところだろう。
彼らはみな、現在の職業に誇りを持ち、「最後の1人」と言われようとも断固としてその砦を守っている。
作者の秋山氏の子供の頃の風景や思い出が織り込まれて、さらに郷愁を誘う作りになっている。
それとは別に、普段目にする機会のない各種の職業の仕事の様子や様々なしきたり、考え方など非常に興味深く読んだ。
そして自分も自分の仕事を愛して、自信を持っていこうと思わせてくれた。続編も読んでみようと思う。
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絶滅しそうな職業を取材した本。確かに物珍しい職業の人が並んでいて面白かったけれど、どのお仕事もマイナーすぎて「わぁ、こんなお仕事やってみたいな~」とはほど遠く、いまいち響かなかった。
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2013.3.21読了。
自分の知らない世界へのルサンチマン。天職とは、神様から呼びかけられて、どうしても断れなくて、その職に就いた…というもんではないか。
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12の、独特な職業紹介。
最初の飴細工職人ぐらいしか分かりませんでした。
後は、こんな職業あったのか~まだあったんだまで。
しかし『知っている』飴細工職人も、祭りの背後というか
元締め(?)はこんな状態になっているとは…驚きです。
精神的に驚いたのは『へび屋』ですが
そんな所にまで職業が! なのは『能装束師』かと。
色とりどり、豪華絢爛に見えているあの布が
まさか薄くて軽いものだったとは…。
専門職は、奥が深い。