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難しそうなタイトルですが、とてもわかりやすいですよ!
温暖化防止に「鉄」が有効であることがよくわかります。
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[ 内容 ]
人類が金属の鉄を使いだしたのは、たかだか五千年前のことにすぎない。
しかし元素としての鉄は、四十億年前に生命が誕生したときから、生命になくてはならないものであり、その後の生命の発展を陰で演出してきた、と言ったらみなさんは驚かれるだろうか。
このいずれの鉄のはたらきも、一つの奇跡的な偶然から生み出された。
鉄はすべての元素のなかでもっとも安定な原子核を持ち、その一つの帰結として、地球では質量比でもっとも多い元素である。
その鉄が、その持っている電子の数のために、生命にとっても、現代文明にとっても、かけがえがない機能を持つ元素となった、という偶然である。
このことが、生命の誕生と発展のなかで、またさらに人類文明の展開のなかで、数々の奇跡を起こしてきた。
[ 目次 ]
第1章 奇跡の誕生
第2章 生命は鉄にどのように依存しているか
第3章 鉄から見えてくる生命の歴史
第4章 鉄が人類を救うか
第5章 鉄が人類に高度な文明をもたらした
第6章 鉄から見た文明史
第7章 鉄器時代は終わらない
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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専門性の高い文章は、理解度四割。肝心の鉄理論が全体の半分もなかったのは、残念だったけど、特に生命誕生と鉄の関わりは、難しかったけど、面白かった。
その関わりあっての鉄散布や鉄理論と再確認。
鉄散布と温暖化防止の信憑度は、なんとも言えないけど、
米国ベンチャー企業が、その方策を排出権取引と
絡ませて、金儲けを企み、ひんしゅくをかったというのは、
なんとも残念。評価が正当性のあるものにならなくなるので。
次は、湧昇水へと進みます。これまたどこまでついていけるか。
[キーワード]
鉄と生命の関わり、鉄と酸素の戦い、フルボ酸の魅力=森が海と鉄で繋がる、南極パラドックス、海が鉄不足、湧昇流二千年の旅、海への鉄散布=温暖化解決策?、温暖化は政治面大、鉄と森と文明の関係、製鉄鉄は中国から始まった、リサイクルの優等生
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鉄がどんだけすごいかを徹底的に教えてくれる本。海洋への鉄の散布は、とても有望そうだけれど、皆が認めるまでにはまだ相当かかりそうだなあ。
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前半はタイトル通り生命進化に鉄がどう関わったかの話。後半は鉄が文明に及ぼした影響と材料としての特性。
前半の部分もさることながら、後半の材料特性の部分も「そうそう、こういう話だったよな」と学生時代に習った内容を思い出しながら、面白く読めました。
核反応のエネルギー準位が低い、要するに核反応が終わった後の絞りカスである鉄と、シアノバクテリアが光合成の副産物としてのべつ幕なしに放出した猛毒の酸素を巧く利用してエネルギーを採り出す仕組みを作った生き物の進化ってのは、今日で考えれば生ゴミと核廃棄物を食って生きる生物が現れるようなもので、そう考えると生命の進化ってとてつもないな、と。
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前半は生物の代謝において鉄が果たしている役割を説明したうえで、高栄養塩−低クロロフィル(HNLC)海域に鉄を撒くことによって植物プランクトンを繁殖させてCO2を吸収させる方法を紹介する。この方法については、生態系への影響が懸念されているが、それに対する著者の見解は乱暴な印象を受ける。生態学者の出番だろう。後半は鉄が人間の文明において果たしてきた役割を説明する。
鉄をめぐって化学、物理の両面を扱っているため欲張りな感もあるが、勉強にはなった。
・27億年前頃、固体の内核ができたため磁場が現在と同じ程度に強くなった。この頃から大陸の面積が増加して大陸沿岸に浅海が広がり、シアノバクテリアの繁栄の場所を提供した。
・世界の光合成の50%は植物プランクトンが行っている。吸収する炭素年間300億トンのうち、約100億トンが海の中深層に沈降する(生物ポンプ)。
・ヴォストーク氷柱の分析によると、鉄含有量の多い時期はCO2濃度が低く、鉄含有量が少ない時期はCO2濃度が高い。鉄分が植物プランクトンを増殖させ、CO2濃度が減少したと考えられる。
・人間が古くから生活していた地域では、隕石のうち隕鉄の占める割合が低い。人類が古くから隕鉄を利用してきたと推測される。
・鉄生産には、雨が多く森林資源が豊富な地域が必要だった。そのために、乾燥した西アジアでは広域の供給体制を維持するために帝国化を必要とし、ギリシアは黒海沿岸やイタリア半島、南フランス地方などの植民地から入手した。ローマ帝国は、オーストリア南部のノリクムを併合することで供給が安定した。中国では、五代十国時代から木炭が不足して石炭を使用したため、鉄の品質は低下した。18世紀のイギリスで、石炭を蒸し焼きしたコークスと送風に蒸気機関を利用することによって製鉄革命がおこった。
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人間、そして生物、さらにはこの地球にとって「鉄」が
いかに重要な役割をはたしているか、鉄という物質がいかに
希有な特徴を持ったものであるか、について書かれた本。
総論的であり、全体的に浅い印象は拭えないが、いくつか
気になるポイントもあった。特に、地球温暖化対策として
海に鉄をまき、海中プランクトンの発生を促して二酸化炭素
を固定するという「鉄仮説」には新たな可能性を感じた。
著者の記述はいささか乱暴である気もするのだが、真剣に
考えてもいい方策だとは思う。問題はそこまで世界の、と
言うか各国の意思の統一が図られるかどうか、であろうが