紙の本
きれいでうまいけど足りない・・・
2005/12/18 17:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
評判がいいということで読んでみました。
文章は確かに軽快で読みやすいし、物語の設定も実際には
ありえないようなひねりがあって、まあまあかなという感じ。
読後は前向きになれるとか、帯にある「受け止めきれない現実。
止まってしまった時間。」とか「だけど少しだけがんばればいい。
きっとまた、スタートできる。」といった言葉を全編通しては
実感できませんでした。
ただ、三話目はほかの二編に比べるとよかったと思います。
どの人物も、それぞれの場所で懸命に生きてるんだなぁ、といった
人間の生のリアルさや深みに欠けていて、正直面白みも魅力も
イマイチで、読後はなんだかすっきりしないもの足りさなを
感じました。
ちょうど平安寿子さんの「グッドラックららばい」を読んだ後だったので、
なおさらそう感じてしまったのかもしれませんが。。。
この作品で描かれる人物はどれも、いわゆるいい人とかできた人
といった型にはまるようなことはなく、逆に世間一般の人が
勝手に良いと考えている人間のあり方の中にはおさまりきらない。
好き勝手だけど自分らしくちゃんと生きている、そういう力強い
エネルギーを脈々と感じます。
対して瀬尾さんの作品には、平さんと同じようである必要はもちろん
ないけれども、文章からは、力強くなくてもほんわかでもじんわりでも、
人間が生きているというエネルギーがイマイチ感じられませんでした。
そんなことを感じる必要があるのかと言われれば、人それぞれの
感じ方の違いのせいというだけのことかもしれないけど、、、。
一話目は、悪くないけど伝えたいことが私にははっきりとわからなかったし、
二話目は、主人公の不倫相手とその父親の描かれ方があまりにも
あっさりとしているのが気に入らなかった(聴力障害者の奥さんとの
結婚の経緯とか、結婚を認めないのをありがちな理由で済ませている所とか)。
三話目の「がらくた効果」は、会話のテンポとか、人によって
知っていることが違うという賀詞と松の内のエピソードの部分は、
共感できるところがあったし、駅伝の繰上げスタートと佐々木さんを
ハモらせたところは巧いな、と思いました。
ただ、実際佐々木さんのような境遇の人間が、ああもすべてを
受け入れたように自分を変えずにおおらかにきれいに振舞えるもの
でしょうかね。もっと自暴自棄になって、もがき苦しんだ末に勝ち得る
希望のほうがリアリティーがあるし、人物に愛おしさを感じられて
私は好きですけど。きっと好みの問題なんでしょうね。
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一見「ありがち」なストーリーを
上手くまとめた一冊。
3つの話しのうち「タイム・ラグ」
が個人的イチオシ。
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瀬尾まいこさんの最新作を読みました。いつもながらいい作品です。
表題作の「優しい音楽」は駅の構内で突然声をかけられたタケル君と声をかけた千波ちゃんの交際を描いた作品だけど、重要なテーマは、千波ちゃんはなかなかタケル君を家族に紹介しないという謎にありました。その後の状況は、微笑ましく、なるほど「優しい音楽」とは、そういうことだったのかって感心。なんとも心温まる話です。
「タイムラグ」は、すごい設定(^^)。不倫相手が夫婦2人で旅行に行くからと、その子供を預かることになった深雪さんって設定。そんなことを頼む男性にも呆れるが(笑)、受け入れちゃう方もすごい。預かった娘の佐菜ちゃんと次第に心が通じて行き、最後には、不倫相手の奥さんであるサツキさんと娘の佐菜ちゃんのために熱弁している深雪さんがなんとも印象的。最後に、10分遅らせてある時計・・・「ぽかり」という別れの心情など、独特の世界観が楽しいです。
「がらくた効果」は、同棲中の章太郎とはな子さんだけど、そのはな子さんが公園でホームレス生活をしていた元大学教授・佐々木さんを連れて帰ってきてしまいます。3人の奇妙な年末年始の生活が始まりました。駅伝を見ての佐々木さんの決意が帯にある「少しだけ、がんばればいい。きっとまた、スタートできる」ってことかもしれない。
「受けとめきれない現実」。一歩間違えば(いや、間違わなくても)大変な状況なのに、瀬尾さんの作品に出てくる人は、慌てず現実をじっくり吸収してしまうようなそんな魅力があり、穏やかな気持ちにさせられます。時間がゆったり流れていくような気分になりました。
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瀬尾まいこさん初?の短編集。この中では僕は2番目の「タイムラグ」が1番好きです。(佐菜ちゃん凄くいい!)
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表題作が一番好き。駅で女子大学生に一目ぼれされて付き合い始めた会社員の話。O・ヘンリの短編集のようなテイストで、最後にちょっと驚くオチがあるのがいい。優しい気持ちになれます。(★★★)2番目の「タイムラグ」は、週末に不倫相手の子供の面倒をみることになった女性の話。大人がみんな身勝手すぎて全く共感できず。(★)最後の「がらくた効果」は、ホームレスの元大学教授を拾ってきた同棲中のカップルの話。爽やかだけど、何もひっかからなかった。(★★)
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すきになるのは、じぶんがこうであったらいいのにってのがぞんぶんにふくまれちゃうんだ。それが「優しい音楽」。みつけたいなあ。
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物語の登場人物が自分の歳と近いと、あたしはすごく読める気がするんだけど、瀬尾さんの物語はどんな人がでてきても読めるなぁ。
これは1冊に3編入っているけど『がらくた効果』が一番好き。メッセージが明確だからかな。
何も持ってなくてもスタートできるっていうのが良いですね。
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優しいお話3話。がーっと感動とかではないけれど、じんわり良い。コレを読み終わったら、周りの風景の色が濃く感じたり、季節の匂いを感じられるような、心にそんな効果をもたらせてくれましたよ。瀬尾さん、いいです。
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お友達にいただいた本。「優しい音楽」の主人公タケルは、恋人(とその家族)の秘密を知ってしまうものの、決して自棄になったり諦めたりはしない。
「タイムラグ」は、“不倫”がベースにあるのに読後は清々しささえ感じてしまう。瀬尾まいこさんの不思議な、でも心地良い世界にすっかり魅せられてしまいました。
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ますます、瀬尾まいこファンになってしまった!
三篇共良くって、あっという間に読んでしまった。
何なんだろう、読み終えた後の
この、ほのぼの感。。。
死んだ兄にソックリな恋人と自分たち家族。
不倫相手とその家族。
同棲カップルとホームレスのおじさん。
登場人物たちは、それぞれ、ちょっと特殊(?)な関係。
でも、人と人の係わりがステキなのだ。
やさしさって、どこから生まれるんだろう。
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うまいたとえかどうかはわかんないけど、読んでいてマジパンでできたケーキの上の飾りみたいだなどと思いました。マジパンでできたクリスマスケーキのサンタや煙突つきの家はとても愛らしくおいしそう。みんなほしくて争奪戦になるけど、食べてみたらスカスカざらざらした歯ざわりと、変に甘ったるい味がする。やさしく甘い文体で、さらりと読ませるけど・・・。
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久々に「読んだ!」という充足した読後感を味わえた本。他の作品も目を通したけど、今のところこれが一番お気に入り。これからが楽しみな作家さん。
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3つのやわらかなお話。
人と人の交流が優しく描かれている。落ち込んだとき、元気を出したいときにいいかも、な一冊。
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2005年締めくくりの読書がこの本でよかった。すごくやさしい気持ちになれて、時には声に出して笑って、楽しい時間でした。物語であり、表現も素敵であり、登場人物も豊かで好きです。表題の小説もいいけど、「がらくた効果」が特に好きです。丁度紅白が流れていて、時間も一致。面白い偶然でした。
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2005.11.24. 主人公、えらいよな。すごく痛々しいんだけど、最後に彼がフルートで奏でたのは、ゼッタイ優しい音楽。
「タイムログ」はなー。設定が今の私には辛い。おいもの季節だし。結局「がらくた効果」が1番おもしろかったかもね。