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本書は気象学に関するもっとも基本的な事柄を中心にして、特に専門知識を必要とすることなく一般人(義務教育終了位の知識)に読めるレベルで記述されたものである。
本書で紹介されている事柄の中には、一般常識として日常生活の中で自然と身についているであろう事案も多数含まれている。
概して、気象現象の説明は「~ということが分かっている」「~については今尚原因不明である」「~と思われる」のように、具体的な理由に触れることなく言い切ることによって難解な背景は省略している箇所が多が、極簡単に説明が成り立つ部分については平易な表現を用いたり、直感的な理解に頼るような方向で解説が加わっている。
全体としては、気象用語・気象現象 等の基本的な部分を概説したミニ百科事典の様相である。著者が雷を特に専門にしているだけあって、雷に関してはやや紙面を割いて様々な事例が紹介されている。中には稀な現象の「ボール・ライトニング」等の挿絵も含まれている。
さらに、後半(第五章気象予報の方法、及び付録)では、天気予報で日常的に何気なく接している用語で、実は明確な定義がわからない!という用語も多いと思うが、それらの定義が満載されている。
入門書籍ではあるが、特に一般には馴染みの薄い「宇宙天気予報」に関しても若干触れられている。といっても、それが何を意味するかに触れているだけではある。一言でいえば、宇宙天気予報とは地球上のように大気があるわけではないので、雨や雪が降ったり、雲が広がるわけではない。地球の衛星軌道上には現在幾多の観測衛星、さらには宇宙ステーションがあるが、それらの機器が太陽活動の影響で、通信障害を起こすことがあるのである。これらの障害発生を予測して対策を取るために必要な情報を提供するのが、宇宙天気予報である。
本書は入門であり、敷居の非常に低い誰でも読みやすい内容となっている。この方面に興味のある方が最初に手にとってみるのには適切な一冊となるであろう。