紙の本
“LOST LIGHT”が照らすもの
2008/04/19 15:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KOMSA - この投稿者のレビュー一覧を見る
男は女を想い
一人で戦う決心をした。
青い空が見える
白い空も見える
明るく、清らかな昼
暗く、聖なる夜
そしてわたしは、ひとりでこう思うのだ
なんと素晴らしい世界だろう、と
マイクル・コナリーの新作“LOST LIGHT”は、
文中にも引用されたルイ・アームストロングの名曲にちなみ、
「暗く聖なる夜」という邦題が冠されている。
当代最高のハード・ボイルドと言われている、
ハリー・ボッシュ・シリーズ。
この作品は「シティ・オブ・ボーンズ」に次ぐ作品である。
ハリウッド署の刑事を退職し私立探偵の免許をとったボッシュ。
彼にはどうしても心残りな未解決事件があった。
ある若い女性の殺人と、
その捜査中目の前で映画ロケ現場から奪われた200万ドル。
孤独な捜査を進めるボッシュはロス市警、FBIから、
激しい妨害と警告を受ける。
原題の“LOST LIGHT”とは坑道の道しるべである。
人の心の闇という坑道をボッシュは炙り出していく。
それはボッシュがベトナムに従軍し、
地下坑道での戦闘体験に遙かに通じているのだ。
ハリー・ボッシュは過去に囚われている。
「ラスト・コヨーテ」で母親の死を呪うとともに、
真相を暴かずにはいられなかったボッシュの執念が、
この作品の偏執的な戦いの基調でもある。
そして終幕にマイクル・コナリー作品最大の安堵が訪れる。
それはハッピー・エンドではない。
コナリーが主人公ボッシュに与えた配当なのだろう。
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ハードボイルドの頂点に立つ、といっても過言ではないハリー・ボッシュシリーズ。私の中では主人公のボッシュは、歌手のスティングが本の中で語りかけています。
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登場人物が次々と出てきて、沢山の事件が絡んでくるので、最初はかなりややこしいですが、まだまだ先がどうなるか分からないドキドキ感があります
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ボッシュのシリーズ9作目。
ロス市警を辞めて1年になるハリー・ボッシュが心残りのある事件を追って活躍します。
映画会社に勤めていた若い女性が殺された事件を捜査していた時、映画撮影の場で200万ドル強奪事件に遭遇、銃撃にも加わったボッシュ。
ところが強奪事件が大きすぎたために管轄が変わり、目撃したにもかかわらず捜査から外されていました。
その後、女性の事件が何の進展もなく放置されていることを知り、新たに証拠を調べ始めます。
事件に関わった元刑事が今は半身不随になっているのを訪ねたボッシュに市警とFBIから妨害が入り、そうなると止めるどころか絶対に後に引かないのがボッシュ。
原著は03年、日本では05年9月発行の本です。
刑事を辞めたために前ほどぴりぴりしていないような〜はじめのうちは展開も緩やか。
運命の女性エレノアとの再会も丁寧に、じりじりと描かれます。
半身付随の元刑事とその妻との出会いも描写が生半可でなく、この作者の鋭さを感じます。
そういえば、このシリーズは有能で魅力的な女性が意外なほど、たくさん出てくるのです。現実を反映しているのでしょうか?
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地道に一つ一つ調査する序盤から、尻上がりに話が盛り上がっていくスピード感は毎度ながら見事。FBIの横槍(というか、彼らから見ればボッシュが横槍を入れているのだろうが)と、それに絡むやりとりが読んでいて最高に楽しい。面白くて読み終わるまで止まらなかった。
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冒頭の文章「心に刻まれたものはけっして消えない。」に
わたしもまたやられてしまったのでした!
シリーズ9作目
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この本は、「このミステリーがすごい!」の2006年版の第2位で、さらに、エドガー賞にノミネートされているということで、おもしろいかな?と思って読んでみました。
エドガー賞といえば、桐野夏生さんが「OUT」でノミネートされて話題になりましたね。また「OUT」は、「このミステリーがすごい!」で1998年に第1位をとっています。
ストーリーは、警察官を辞めて探偵になったボッシュが、以前担当した未解決事件をもう一度調べなおすという内容。
そこに元同僚で今は下半身不随のロートン・クロス、その奥さんのダニー、FBI捜査官でその事件で行方不明になったマーサ・ゲスラー、その恋人のリンデル、弁護士でボッシュに協力するラングワイザー、などなど・・・
色々登場してくるから、ゴチャゴチャしてきます。
それでも、上巻の方は面白く、割と早く読みました。そして、下巻の途中まで読んだところでゴールデンウィークに入ってしまい、4日間の空白があったらすっかり登場人物の名前を忘れてしまい(苦笑)、だれだったっけ・・・と考えながら読むから・・・面白さが半減してしまいました。
これは、一気に読まないとだめです。
ただ、私のような人向けでしょうか?
栞が入っていて、そこに登場人物と簡単な説明が書いてあるのです。
すぐれものだわ!
翻訳物の読みにくい原因は、登場人物がカナなので、覚えにくいってこともありますが、たとえば、マーサ・ゲスラーをマーサと呼んだり、ゲスラーと呼んだりされると、同じ人なのに、2人いるのかと勘違いしたりすると、もうゴチャゴチャです。
統一して欲しいわ!なんて思ってしまいます。
シリーズの最初から読んでる人は、その人間関係も分かっているからかなり面白かったと思います。別れた奥さんとの成り行きも興味深いし・・・ね。
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コナリーのシリーズ本の9作目。IN Pocket 2005年総合ランキング第1位、このミス2006年代2位という帯に惹かれて購入。しかし、最初からとっても読みやすく、ぐいぐい引き込まれる。上下巻を一気に読める。
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“現代ハードボイルドの最高峰”というフレコミに納得。イントロ、プロセス、巧みな人物造形に主人公を取巻くジレンマと企み、冷静で非情なクライマックスを経ての心揺さぶられるラストまで、クールで隙のないプロットにただただ酔いしれた。
ミステリらしい視点から紐解く真相もよかったが、やはり特筆すべきは、事件に関わる人物たちのドラマだろう。さらりとした描写の中にいかに多くの怒りや悲しみが隠されていることか。シチュエーション、会話、すべてが絶妙のタイミングなので、少ない行間から余りある感情をダイレクトに受け取ることができる。この感触が最後まで途切れないので、引き込まれた作中からはみ出すストレスは皆無だった。
『マルタの鷹』の“コケにされるはごめんだ”が、本作品の“アンジェラ・ベントン”になるのだろう。サム・スペードとハリー・ボッシュの共通点は、心に一本強い柱が通っていること。その信念を前面に出し、圧倒的な筆力で描ききったコナリーには脱帽するしかない。
ディーヴァーが東の横綱なら、西の横綱は間違いなくコナリーだろう。お互いタイプの違うシリーズだが、リピート必至という点では同じかな。ただボッシュの方が、人生と事件がシンクロしているような印象を受ける。そういう意味ではこちらの方が中毒性が高いかも。
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マイクル・コナリーは最初はなじめなかったけど、何作か読んできてだんだんおもしろいと感じるようになってきた。
事件の性質や展開は毎回似たようではあるけれど、ストレスなく読める。
■このミス2006海外2位
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「夜より暗き闇」の後に読みました。
「シティーオブボーン」が間に入るのね。
だいぶ前に。「シティー 」を読んだので、
忘れてしまったわ。今度読み直そうっと。
「夜より」が、なんとなく暗さを残した終わり方
だったので、これは、すごく、救われました。
へへ、やっぱり気になる、エレノアウィッシュ。
以下、下巻へ続く。
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マイクル・コナリー小説は素晴らしい。謎解きやサスペンスの筆はもちろん一流だが、もう、主人公ハリー・ボッシュが最高!この作品の最期でとっても泣ける出来事が起きます。
マイクル・コナリーのHBものはこの小説から読んでも大丈夫です。次作『エコー・パーク』は信じられない位の大傑作!!早くHB物の新作がよみたくなります。
ちなみに僕は、この小説にぞっこんで、ハンドルネームにしました!LOSTLIGHT~迷い光
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有名なシリーズものなのか、知りませんでした。
ただ『ナイトホークス』は聞いたことがあるな。
とまぁ本の内容とは関係ないことばかり書いたが、なかなか良質のハードボイルドという感じ、この手の本はなかなか日本の作家では書けない。
警察、探偵、マスコミと人種の入り混じる街、これらが適度に乾き、湿る当たり前の世界から生み出される独自の空気なんだろう。
日本はこれら要素が全て「じとじとしている」からなぁ、無理な要求なんでしょう。
期待して下巻を読みますか。
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前作の終わりが衝撃的だったので、
どうしたかと思っていたら、刑事を引退していたので、
ちょっとがっかり。
できれば、刑事を続けてほしかった。
でもバッジがなくても、相変わらずストーリー展開は面白くて、
懐かしいFBI捜査官リンデルが出てきたりして面白かった。
(下巻に続く)
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「夜より暗き闇」の後の「シティーオブボーン」を読まずに「暗く聖なる夜」に取り掛かったので、ボッシュがロサンジェルス市警を辞めて私立探偵になったことを知らず、戸惑った。
やはりシリーズものは順に読むべきと反省。
それでも、私立探偵となったボッシュの信条、「この世におけるわたしの使命は、バッジがあろうとなかろうと、死者の代弁をすることなのだ(37ページ)」にいきなりノックアウトされ、過去に担当した未解決事件の独自捜査にのめり込んでいくボッシュにつられて、こちらもどんどんハリー・ボッシュのハードボイルドな世界にのめり込んでしまった。
映画会社に勤めていた「アンジェラ・ベントン」殺害事件と小道具として運ばれてきた現金二百万ドルの強奪事件の行方も気になるが、ボッシュの元妻エレノア・ウィッシュが何を隠しているのかも実に気になるところ。
下巻が楽しみ。