紙の本
一見辞書みたいなスタイルに圧倒されますが、わりと読みやすいです
2006/10/31 17:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
もう殆ど、立方体です。
(注意、表紙に縦横のサイズの差があるかぎり立方体には決してなりません。 あくまで、文章表現上の誇張です)
このページ数の威圧感だけで、本屋で陳列されているだけで宣伝効果があります。
(それにやられた、一人です)
こういうページ数の多いのは、”Hey you おれを、読了できるかい!?”って
聞かれている気がするんですよね、、。
こちらも、”やーやー我こそは、、、、、”と名乗りを挙げて読み出したくなります。
ちょっと、今回は、脱線気味ですが、、、。
設定は未来(当たり前)
ダン・シルベステは名家の出身で啓示空間から、生きて生還した一人
そして現在は、リサーガム星で滅亡してしまった地球外知的生命体の考古学調査を行っています。
一方、イエローストーン星では、殺し屋のアナ・クーリーを雇い、そのシルベステの暗殺計画が
持ち上がっています。
イリア・ボリョーワが戦術担当士官を務める近光速宇宙船で、
謎の原因により発狂してしまった乗員の変わりにアナ・クーリーを採用します、
そしてダン・シルベステもやがてこの宇宙船の乗り込むことになるのですが、、、
これが、ほんのほんの大枠です、
(なんせ、1000ページもあるので、、)
SF的設定としては、最近はなんでもありの設定が多いのですが、
最先端のSFからするとかなり制限をつけているところにこの本の面白みがあると思われます。
身体をサイボーグにしたり(ウルトラ族といいます)
人間の遺伝情報をβ版として保存したりが、ぎりぎり限界でそれ以上は、ありません。
スペースオペラの一番の制約となるあまりにも距離の開きすぎた宇宙空間移動ですが、これも、ワープとかどこでもドアみたいなゲートも無しで、反物質は、ちょこっと出てきますが、宇宙船の移動用の出力には使われていません。
ひたすら、理論上もっとも早いとされる光速にせまって、移動するだけです。
その分、乗員の主体時間差が、現れます。
しかし、制限をつけてますが、
その他のSF的要素は、なんでもありのてんこもりでこれは、あの作品のあれみたいだなぁ、、とか、これは、あれじゃないか、とか、いっぱいありました。
読書中の一番の感想は、
「読みやすい」
ページ数は勿論あるのですが、さらさら読めます。
文章がハードボイルドスタイルで短文でざくざく書いているあるからかもしれませんね。
この読みやすさというか、感覚は、最近の日本のアニメが、欧米のSFに影響しだした所為かもしれないと、だれか、プロの批評家の方が、仰ってました。
挿絵に意図的にアニメ風の絵の(鷲尾さん)をあててたのかもしれません。
私の率直な感想は王道の宇宙空間物ですね。
あんまりアニメの雰囲気は感じませんでした。
投稿元:
レビューを見る
すごくよくできていて、面白い作品ではあるけれど、レナルズの初長編ということで、色々アイデアを詰め込み過ぎたかなと。
しかも、世界観やガジェットに説明がほとんど説明されていないので、この後に出た中短編集を先に読んだ方がいい。
私も知り合いの勧めでそうしたのである程度理解を持って読むことができた。
1000pを超える超大作なのだが、200p超える辺りまでどう絡むのかよくわからない3つの話が細切れに並行して進むので、読み慣れていない人には辛いかも。
それ以降もなかなか前に進まないが、600p超えて3つの話が1つになってからは怒涛のごとぐ話は進むけど、それでも400pもある。(-_-;)
正直、シルベステがジラルデューに捕まるまでと、ボリョーワがナゴヌルイを殺して、クーリがボリョーワに雇われるまでの話は無くても良かったんじゃないかなと。
結局話しが合流した時にそれぞれの事情を説明しているんだから、その時に回想シーンとして挿入で十分では。
投稿元:
レビューを見る
前半の伏線が辛い。
最終的には、たたみかける展開でとても面白かったが、前半はもっと簡潔でも良かったような、、、
投稿元:
レビューを見る
長いので、はじめは、心配したが、非常に読みやすく、面白い。まるで、映画を見ているみたいに映像が浮かび、ドラマチックである。映画なら2時間で、終わってしまうが、贅沢な面白い長編映画を見ているみたいだ。作者も面白いが、訳した人もすばらしい。色々、詰め込まれているが、面白かった。
投稿元:
レビューを見る
誰もが思うだろうが、とにかくページ数が多い。1000ページ超えの文庫本って初めて読んだ。だからといって読むのが苦痛にはならない。最初は、場面転換が突然過ぎて迷子になりそうだった。これは、1行空いたところは場面転換があると知れば、何も問題ない。むしろ、小刻みな場面転換がいいリズムとなり、長いストーリーをテンポ良く読ませてくれる。内容もストレートなSFだ。宇宙を行く巨大な宇宙船や滅びた異星文明、機械化された人種、サイバー空間で生きる生命体。SF好きなら心を奪われるガジェットが登場する。堪能しました。
投稿元:
レビューを見る
『啓示空間』という思わせぶりなタイトルに気を惹かれたというよりも、京極堂シリーズを読破した勢いで、このとんでもない厚さに挑発されて購入したようなものだ。
新世代のスペースオペラであって、あまりハードSF的展開は期待しないほうがいい。運命の糸に引きつけられるように3人の主要登場人物が出会い、何かが起こるというのがプロットの骨子だが、それをこの分量を使って、細部に様々なエピソードとガジェットを詰め込んでやるところが読みどころだろう。迷宮のように先が見えにくくて、先へ先へと読み進まねばならなくなったら、レナルズの術中に落ちたということだ。
ただ、3人の登場人物ともに灰汁が強くて、感情移入しずらいのが難。絶滅した異性種族とその絶滅理由が重要なアイディアとなるが、これにはそう新機軸はなくて、あっと言って仰け反るようなものはでないので、本書はこの長さを楽しむものではないだろうか。
しかし、厚さの割に手応えの残らない、この軽い読後感はなんだろうか。それが『カズムシティ』も『量子真空』をいまだに読んでいない理由なのだ。
投稿元:
レビューを見る
1000ページ超えにびびったが面白くてよかった
表紙 6点鷲尾 直広 中原 尚哉訳
展開 7点2000年著作
文章 7点
内容 765点
合計 780点
投稿元:
レビューを見る
文庫の分厚さに圧倒されるが、内容はちっともダレることなく、最後まで読み切れる。複数のストーリーが絡み合い、謎が謎がを呼び、そして大団円を迎えるという、最高の出来である。広大な宇宙空間を冷凍睡眠でつなぎ、ナノレベル機械とAIが支える舞台は、昔のSFでは味わえない、現代SFならではの素晴らしさだ。
投稿元:
レビューを見る
読了。文庫本ながら1000ページオーバーという長大な作品。なぜ上下巻に分けなかったのかと思いつつ読んでみると、そんなに長さは感じさせず、どんどん読み進めてしまうので、まあ分けなくてもいいかな…と思わされてしまった。
設定がスペースオペラレベルに大きいんだけど、最後の方は壮大すぎて引いてしまうぐらいだった。「2001年」以来の定番のパターンと言えなくもないなとは思った。
しかし、こういう本こそ、電子書籍化してほしい。過去のそんなに売れてない本だと厳しいのかな…。
投稿元:
レビューを見る
こちらの本を手に取った理由は尋常じゃない厚さでした。Amazonの「本の詳細」によると1039ページ。完全に縦置き自立する文庫本です。
全体像が見えてこない前半は、描かれる技術やガジェットに興味を置いて過ごし、後半からストーリーを楽しめれば読了できます。
本書、劉 慈欣「三体」シリーズを読了された方にもおすすめできます。なぜ広大な宇宙にありながら人類は他の知的生命体と交流できないのかという疑問をベースにストーリー世界が描かれていくのです。2000年台の宇宙観にはこうした視点が強かったのでしょうか。