紙の本
生きている、ただそれだけのことが何と素晴らしいことか。
2005/11/22 14:11
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、15歳の少年、ネイサンが語る親友サイモンとの友情の物語だ。
サイモンは、筋ジストロフィーという難病を抱えている。そんな深刻な事情がありながらも、物語は明るく、ユーモラスに語られている。
なによりサイモンのキャラクターが良い。決して弱音を吐かず、誰かが同情しようものなら得意の毒舌で相手をやりこめ、ユーモアで乗り切ってしまう。
そうはいっても、当然サイモンは他人には見せない苦しみを心に抱えて生きている。サイモンの創った詩はまさに彼の心の叫びであり、胸に迫るものがある。本に付録としてついているしおりにもこの詩が載っている。
病気は本人だけでなく、その家族をも苦しめる。しかしサイモンの母親の「ごくありふれたことが、じつはどんなにすばらしいものなのか、サイモンとの暮らしでわかったの。たとえば、あの子のおかげで、わたしは木の葉に目をとめたり、たき火の炎がいろんな形に変化するのを見たりするようになった。草がのびていくさまを見る楽しさまで教わったのよ」との言葉から分かるように、決して不幸ではなかった。むしろお互いを思いやり幸せな家庭だった。
「幸福とは何か」を改めて考えさせられることだろう。
この物語はサイモンの病気を通して成長してゆくネイサンの心の動きがうまく表現されている。「死」について考えることは忌むべきことではなく、よりよく生きるためには欠かせないものなのだ、と感じさせられた一冊。
紙の本
筋ジス、闘病
2020/10/30 12:26
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投稿者:MILKy - この投稿者のレビュー一覧を見る
筋ジストロフィー(ALSとは違うのか、症状は同様)の病を持つ少年サイモンを友人に持つ彼ネイサンの爽やかだけでない青春の話。病気モノは苦手だけど、つらつらと苦しさが、また死への秒読みが綴られている種とは異なる。この病気は遺伝子レベルでの遺伝らしい。しかも病気として出るのは男児とか。血液の循環も悪くなるので冷やしてはいけないそう。胸や肩の筋肉も落ちてくから肺も機能が落ちてくる。サイモンの人柄からサラっと描かれる。
2020523
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友達が死に至る病であるという重いテーマであるけれど、登場人物が15歳の等身大で描かれているのがいいと思う。
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筋ジストロフィー病の少年と、親友の強い絆、“死ぬ”ということと“生きる”とはどういうことか?を考えさせる友情の物語!
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友情物語。ネイサンとサイモンは、どこにでも居る15歳の少年。ただし二人には決定的に違う点が・・・それは、サイモンが筋ジストロフィーを患っているという事。二人を通して、友情、命、社会について考えさせられるお話。是非に再読したいと思う。
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死に向かってる友人に何ができるか…
親でも子でもなく同年代の死という視点での想いというのが書かれています。
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不治の病でありながらも、いつも前向きで明るい少年、サイモン。周りの友達も、彼を特別扱いすることなく、普通に接してくれところに、また、優しさを感じた。自分も、頑張れない事への言い訳は、できないな、、と思った。
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でもさわやかで読みやすい。障害を持っている少年に嫉妬したり,乱暴に慰めたり,なんかそういう感覚で接する主人公達に共感した。
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筋ジストロフィーをわずらっているサイモンとネイサンの友情の話。ユーモアがあって登場人物の会話がすごく面白い。
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15歳の少年ネイサンが語る親友サイモンとの日々。サイモンは筋ジストロフィーという病気のため車いす生活を送っている。ユーモアがあって毒舌家で頭の切れるサイモンはクラスの人気者。仲間たちとRPGのこと、女の子のことを話し、悩みを抱えたフツウの15歳だったが、サイモンの病気は進行してやがて死を迎える病気で・・・。リアルでやさしくて、とってもおすすめの一冊です。
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(2006.05.11読了)(拝借)
日曜日は、8時前に起きて朝食を食べながらNHK BS2の「週刊ブックレビュー」を見ています。この本も「週刊ブックレビュー」で紹介され、神さんが興味を持ち、渋谷の本屋さんを数件探し回ってやっと見つけてきて読み、僕に回ってきました。
しばらく積んであったのですが、「おわりの雪」を読んだついでに、読んでしまうことにしました。原作は、1992年にニュージーランドで出版されたもので、日本での出版は、2005年9月です。
物語の語り手は、15歳の少年ネイサンです。主人公は、ネイサンの親友のサイモン・ショウです。
サイモンは筋ジストロフィーという病気にかかっている。体の筋肉がだんだん衰えて、筋力が失われていく病気だ。(21頁)
筋ジストロフィーは病原菌によって人にうつる病気じゃない。親からの遺伝が原因で発病する。たとえ親が発病してなくてもだ。ある遺伝子を受け継ぐことで筋ジストロフィーになる。筋ジストロフィーになる確率は大体5千人に一人で、最も重い症状になるのは男の子だけだ。(22頁)
サイモンには3歳上のカースティという姉がいる。サイモンの両親は、サイモンが筋ジストロフィーと分かってからは、もう子供は作らないと決めた。
サイモンは、車椅子に乗っているが、体が不自由なだけで、頭が切れて、ユーモアのセンスが抜群で、みんなをよく笑わせてくれる。
サイモンの病気は、徐々に進行し、筋力が衰えてゆきます。検査のための入院も時々します。本人も、周りもそんなに長く生きられないのは知っています。
サイモンは、学校に通えて、みんなと交流できたことを喜んでいます。生まれて生きている間は、みんなと同じようにできることが何よりです。
●キッドマン先生の授業「本当の自分」(75頁)
「何枚もの皮の下に-いくつもの円の下に、本当の自分がいます。そして、その本当の自分を人に見せるのはとても恥ずかしいと思っています。誰だって本当の自分は、恐怖、心配、戸惑いといった色んなものでできていて、そんなものを人に見せたら笑われると思っているからです-ここまではわかるわね?」
「面白いことに、中心の円が抱えている恐怖を人に話してみると、よくこんなことがわかります。他の人たちも同じような恐怖や心配を抱えていたんだと。そして、打ち明けたことで、気分がよくなります-話についてきている?」
乙武洋匡さんの「五体不満足」(講談社、1998.10.20)を読んだ時もびっくりしましたが、この本も同じような感じです。生まれてきたら、精一杯生きようという気にさせてくれます。
作者 デイヴィッド・ヒル
1942年 ニュージーランド、ネイピア生まれ
高校教師、運転手、軍人などの職を経て
1982年 作家になる
2005年 マーガレット・マーヒー賞受賞
(「BOOK」データベースより)amazon
十五歳の少年ネイサンが語る、親友サイモンとの日々。筋ジストロフィーという病気で車椅子生活を送るサイモンは、強い個性とユーモアでクラスの人気者。しかし、サイモンの病気は死にいたる病。次第に衰えていく親友に対し、さまざまな思いが交錯し戸惑うネイサン。そんなネイサンも、考えなければならない問題��悩みを抱えていた。何があろうと人生はつづいていく。どんなに悲しいことがあっても、生きることはすばらしい。ニュージーランド発の青春小説。
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泣きました。本を読んで泣くことはしょっちゅうなのですがこれはこらえこらえて泣きました。世に多くある病気の友だちを支える青春物語とは一線を画するすばらしさです。病気を持っている人を健康な人が支える そんなステロタイプな友情とは違う そう お互いに支えあう心の物語なのです。身近に心や身体に病を持った人がいる人もいない人も死ぬまでに必ず一度は読んで欲しい本です。
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十五歳の少年ネイサンが語る、親友サイモンとの日々。
筋ジストロフィーという病気で車椅子生活を送るサイモンは、強い個性とユーモアを持つクラスの人気者。
ちょっと毒舌なサイモンと、彼を取り巻く友達、両親、大人たちが優しく描かれていました。
「人は喜びと悲しみを同時に感じることができる」
表面的な優しさではなく、悲しみも感じながら接することができる人になりたいです。
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10年生のネイサンの親友サイモンは、筋ジストロフィーという病気のため車椅子生活を送っている。
サイモンはユーモア・センス抜群な毒舌家でクラスの人気者。
しかし、筋ジストロフィーは死に至る病。
次第に衰えていく親友を見るネイサンの胸の内をさまざまな思いが交錯する。
「めちゃくちゃいいやつ」なサイモンが病に侵される理不尽さと怒り。
同時に病気なのが自分でなくて良かったと思っている自分がいる。
ネイサン自身も、考えなければならない問題や悩みを抱えていた。
家庭のこと、恋のこと、未来について。
思春期真っ只中の少年たちは、生と死を意識しながらも、大好きなRPGで遊び、女の子の話をし、軽口を叩いて楽しい学校生活を送っていた。
──そして訪れるその日。
けれどネイサンは知っている。何があろうと人生はつづいていく。
どんなに悲しいことがあっても、生きることはすばらしい。
目の前で実際に起きていることから目を背けることなく、真摯に向き合うサイモンとネイサン、周囲の人々の姿をユーモアたっぷりに描くニュージーランド発の青春小説。
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筋ジストロフィー、重い病気を扱いながら、ユーモアたっぷりの文章で読みやすい。1992年の作なので、病気の理解が変わってくることが残念と言えば残念だけれど、心情など素晴らしい。