紙の本
先日、娘たちと次女の友人から借りたDVDで映画『オペラ座の怪人』を見たばかりのせいか、どうもね。で、横でこの本のCGを見ていた建築士夫がいうには、いくらアメリカでもこの構造はないだろ、って
2006/01/08 19:08
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきを含めてピッタシ600頁の大作です。クラシックというのも変ですが、落ち着いた色調の装幀はタダモノデハナイと思っていましたら、やはり菊地信義でした。で、本文中に出てくるちょっとパースが効き過ぎてんじゃんないの、と思わせるCGイラストレーションは、あとがきで島田が触れる友田星児です。
得意の脱線をしますが、そのCGの元となっているのが、これまた後書きで著者が触れている安藤忠雄のアイデアです。さわりだけ紹介しておきますと
「『摩天楼の怪人』という物語が、自分のうちではっきりとしたかたちを成したのは、二〇〇三年四月に東京駅ステーションギャラリーで開かれた、「安藤忠雄建築展」の会場においてであった。この展覧会会場からはいくつものインスピレーションを得たが、なかでもマンハッタンのペントハウスのアイデアは抜群で、この計画を表現した模型の前で、三十分も佇んでしまったほどだった。」
だそうです。
主な登場人物ですが、ロイ・ウィンザースプーン教授、コロンビア大学の助教授ミタライ、語り手は若い劇作家のジェイミー・デントン、大女優の盟友。その大女優というのが、舞台女優として全米屈指の、演劇界の宝と称されるジョディ・サリナス。肝臓癌だそうです。彼女の主治医というのがアダム・カリエフスキー医師。
で、彼らが集っているのがニューヨークに建つ1910年製の38階建て高層アパートで、「1969年にあのクリスタル片が突き刺さったのだ」という設定。セントラルパーク・タワー・ビルというこのアールデコ以前のビルを設計したのは三〇そこそこでこのアパートを設計して、すぐに亡くなったオーソン・タルマッジという天才。
建築的な話をしますと、ジョディの住むのはその34階だそうで、41ページにCGが出ていますが彼女の部屋にガラスのボックスが突き刺さった形の改造がなされています。ちなみに、この本のCGのなかでは、この頁のものが最も自然です。で、このテラスの設計者がタダオ・アンドーということになっています。
時代的なズレもあるんですが、やはりアリエネー、って思うのは41ページにCGです。質的にはいいけれど、完全に構造を無視しています。なんたって肝心の柱が抜けています。48頁の平面図を見ると一層はっきりするんですが、外壁側の柱を抜く、しかも最上階でもないのにそれをやる、というのは上下階に手を加えねばならず、まして古い高層建築では不可能だ、と建築士である夫はいいます。
あとがきでは、安藤忠雄がこういった形で彼の案を小説に使うことを認めた云々とありますが、小説の中とはいえ無責任ですね。ま、これは安藤を責めているのではなく、こんないい加減な形で使う島田に対しての意見なんですが。
で、事件はこの摩天楼で起きます。古い高層ビルとはいえ、やはり38階建てともなると危険も考えて窓は換気用の小窓を除いてすべて嵌め殺し、しかも強化ガラス製。で、1921年、一〇月三日、嵐の夜、大停電が起きました。その時、照明だけではなくエレヴェーターも停止したビルの一階で男が殺されました。ジョディは彼を殺したのは自分だ、と告白します。
しかし、彼女自身、三四階にいた自分がどうやって一階のオフィスにいた男を殺したのか、覚えてはいないのです。その謎を解けますか?それがミタライに突きつけられた謎でした。密室状態のビルのなかで頻発する怪死事件、アメリカ芸能界でのトップの座を狙う女たちの争い、そしてジョディを見守る謎の人物ファントム。あとは読んでもらいましょう。
ただし、個人的には後書きの「当『摩天楼の怪人』は、従来に増した内容の濃い仕上がりとなった自負が、今はある」っていいうのは、どうかな?って思います。近年の作品のなかでは最も軽い内容、といっていいでしょう。期待していただけに残念です。
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一気に読み終えたが、当初、「本当にこの作者が書いたのか?」という変な違和感があったため、それが解消される間は非常に不快だった。若き御手洗には後の奇人変人ぶりは見受けられない。彼を始め、キャラがあっさりとしすぎているような気がした。本作品の主人公は“摩天楼”なのだろう。怪事件が次々出てくるが、作者本来のトリックのキレは残念ながら鋭いとは言えない。大掛かりで、このストーリーでなくては成立しない類のものではあるが、一度にコンパクトにまとめすぎた感がある。頭の中で映像化してみると、本作品は素晴らしいと思う。しかし、物言わぬ建造物にスポットが当たりすぎて、肝心のトリックも動機も、とってつけたように思えてしまった。トリックとストーリーを同じ目線で見れば、それはそれで面白く、充分楽しめる作品であることは間違いない。
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御手洗潔シリーズ最新作です。
ニューヨーク摩天楼の一室で、死の床にあった往年の大女優が、半世紀近く前の殺人を告白。
同じ摩天楼に住む女優たちの自殺、ビルの窓ガラス全てを破壊する謎の爆発、建築家の死、時計塔の凄惨な殺人。
全ての事件に絡むファントムの存在。
舞台はニューヨーク。
日本に来る前の御手洗潔が、この謎に挑みます。
久々の御手洗ものの長編です。
堂々600ページ。
さすがです。
トリックといい、人物描写といい、情景描写といい、素晴らしいです。
文章も良い。ぐいぐい引き込まれます。
冒頭に掲げられる事件は、いつものように実現不可能なもので、不思議にあふれています。
この大風呂敷をどう収束するのか。見所です。
しかし、さすが大御所島田荘司。
単なる物理トリックに終わらず、心理トリックも加味しながら、壮大なトリックを構築しています。
久しぶりに読み応えのあるミステリでした。
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面白かった!!! もう、こうでなくっちゃ!! と。カラーの挿絵もすごい★でも、それを先にぱらぱらみるのはオススメしない。
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オペラ座の怪人をとても思い出した。ガストン・ルルーの素晴らしさが重なって、この作品もまた魅力的だった。背景は違うけれど構造が同じという、不思議な感じ。
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御手洗潔シリーズです。
これは時間的にどこにあたるんでしょうか?てか御手洗潔がコロンビア大の教授時代って・・・。
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これ借りた友達が
「絶対パラ見しないほうがいいよ!ネタバレだから!!」
と忠告してくれた。その通りだったw
相変わらず奇想天外で面白かったです。
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若い御手洗(石岡君と知り合う前)が見られる。石岡君がいないのは寂しいが、アメリカに渡って放浪していた金田一を見るような気分(もっと健全だけど)になれる。トリックは「さすが島田御大!」である。
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この本にはBackstreet boysのTreat Me Right♪
という曲がバッチシ合います
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御手洗潔シリーズ
コロンビア大学助教授時代の事件。大女優ジョディ・サナリスからの挑戦。彼女がかつて殺害したという男、その殺害方法の解明。彼女の語るファントムの正体。3人の女優の自殺事件、時計台でのプロデューサー殺害事件、マンションのガラスが突然すべて爆発し設計者の転落死事件、設計者のポケットから発見されたヒエログリフの謎、サナリスの話す停電中に起きたジークフリート射殺事件。
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50年近く前の嵐の晩にマンハッタンの摩天楼で起きた殺人事件の犯人は私よ…。死の間際に往年の大女優が告白した。不可能犯罪の壮大な謎に御手洗潔が挑む。
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090407貸出
よい。グロでもないし。どんでん返しが素敵。
なぜ、いけるはずもないセントラルパークに行って帰ってこれたのか?
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【所持有無】×
【読了日】081220
【キーワード】アメリカ セントラルパーク 建築 御手洗清 大仕掛け
【所感】久しぶりにおもしろい島田荘司…幻想的な挿話と意表を突く大仕掛けを堪能。これだよ、これ!
【備考】
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カラーの口絵があるけど、これはぱらぱらっと見たりしちゃダメです。見なくて正解。雰囲気掴みやすいし、非常に解りやすい図解になっています。
ど派手な事件とトリックてんこ盛り。これは読み応えありました。建物の存在感だけでも完全に圧倒されちゃうなあ。かーなりツボです。
でも個人的に一番感動したのが、「窓に浮かぶファントム」の謎。もっともオカルティックなこの謎がいったいどう処理されるのかと思っていたら……! 他の事件とかに比べたら占める部分は些細なんだけどね。妙にインパクトありましたよ。
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うぅーん。
無難に面白かった。
ただ、文章がくどくなってるような……?
もうちょっと色々削れた気もする。
一部トリックは驚きってか、この作品グロくないか?
グロ?
グロが書きたくなったの?島田
スプラッタではないが、なんか嫌悪感はわくよ!
しかし、これ過去なんだよなあ。
すると、この落ち着いて結構普通な人から、
あの異邦の騎士とか占星術の御手洗になったん?
その後ヒステリックになったん。
石岡君がダメにしたん?
とりあえず衝撃のトリックとか論述とかないけども、
島田得意の「最初すごく不思議な出来事がおきるけど、それが後から解かれる」というパターンは健在です。
ただ、なんか勢い?パワーは大分無くなってます。いい風に言えば落ち着いてます。悪い風に言えば物足りない!
途中唐突に出てきたサイドストーリーはなんだったんだろう……
回収し切れなかったフラグなの?