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「崩壊」が許されない現代社会
2011/09/04 14:41
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投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去そして現在の人間社会において、崩壊した集団(社会)と存続している集団(社会)の違いについて比較し、考察する。分析のための観点は、(1)環境被害、(2)気候変動、(3)近隣の敵対集団、(4)友好的な取引相手(の不在)、(5)環境問題への社会の対応、という5つの要因である。特に著者が強調しているのは、「環境問題への社会の対応」である。
現代社会の喫緊の課題は環境問題であることは論を待たない。この点に関して警鐘を鳴らすために、数多くの過去の社会の崩壊の様子を事細かに描写する。そして、崩壊を免れた現代の例を少しだけ紹介する。
これまで人類には、さまざまな要因でひとつの社会を崩壊させた後、別の場所に移って新たな「崩壊」を開始する、という選択肢があった。未開の土地や、征服すべき新天地が十分にあったからだ。しかし、人口が70億にまで膨れ上がった現在の宇宙船「地球号」には、その余地はほとんど残されていない。過去の教訓からいかにして学び、崩壊を繰り返すことなく、循環的で持続可能な社会をどのように作り上げていけばよいのか。それは人類の試練と言っていいかもしれない。
次に来る社会の崩壊は、人類そのものの崩壊、すなわち滅亡につながりかねないのである。
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世界の文明崩壊のメカニズムを解き明かす!知的好奇心を十分に満たしてくれる!
2016/03/22 09:03
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『銃・病原菌・鉄』でピュリッアー賞を受け、全米でベストセラーを誇ったダイヤモンド氏の次作です。ここでは、前作の基礎の上に、世界各地で発生した文明が現代に至るまでに崩壊してしまった文明崩壊のメカニズムを解き明かしてくれます。イースター島の文明、南米マヤの文明、グリーンランドの文明など、世界各地に起こった古代文明を扱い、読者の興味心を十分に満たしてくれる最高の一冊です。
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内容紹介
2005/11/03 23:56
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投稿者:草思社 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピュリッツァー賞『銃・病原菌・鉄』の著者が再び世に問う本年度全米ベストセラー! 文明の繁栄には崩壊の芽が内包されている。歴史の盛衰サイクルの壮大な謎に迫る!
イースター島、マヤ文明、中国・・・。文明の繁栄は環境に負荷を与え、やがてそれが跳ね返って崩壊が始まる。文明盛衰のサイクルの秘密に世界史のさまざまな事例を綿密に分析することで迫る。環境危機をたくみに乗り越えた例として江戸時代の日本も紹介。グローバル世界において最も重要なテーマをスリリングに解明。
【主な内容】
・イースター島の黄昏
・マヤ文明の崩壊
・バイキングの行方
・グリーンランドの盛衰
・江戸時代の環境保全策
・ルワンダの大量虐殺
・揺れ動く巨人・中国
・搾取されるオーストラリア
・企業活動と環境負荷
・現代世界の向かう先
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前作「銃・病原菌・鉄」に続く人類の歴史もの。今回はどのように文明が誕生し崩壊するのかが書かれている・・・という。
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祇園精舎の鐘の声、盛者必衰の理を表す。驕れる者は久しからず、現代社会もまた人間の力を過信してるのではなかろうか。この本には過去に隆盛を極めつつも崩壊して行った文明を考察している。現在も謎に包まれる巨石文明を築き上げながらも忽然と姿を消した中米のマヤやイースター島。そのほかグリーンランド入植地など多様な文明崩壊の実例からそこに共通するパターンを導き出している。つまり文明発展における環境負荷が崩壊の原因であることを論じている。著者は生理学者であるが博識であり、なかなか分かりやすく論じられている。環境負荷についても自然・社会など多角的に検討されているので歴史や環境問題に興味のある人に非常にお勧めです。ただ欠点を言えば、上下巻になるほど長いということですかね。
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銃・病原菌・鉄が文明の発展に主眼を置いたの対し、本著は崩壊に焦点をあてている。前回よりも提言がしっかり書かれており、多くの社会を比較して考察した知見が活かされている。一番印象的だったのはハイチとドミニカの事例。同じ島に属す国として、環境要因だけでなくそこで営まれた社会活動の違いが二つの国の命運を分けた。独裁政権は一見悪のように感じられるが、有能な指導者であればそれは必要悪であるという点が新鮮な考え方であった。これかからの世の中を考えていくうえでどのうように崩壊から免れることができるか、筆者は意外と楽観的な考察をしていたが、アメリカの目指す自由を広めていくことは崩壊の道へ突き進んでいる気がしてならない。(2006/3/17読了)
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「銃・病原菌・鉄」がすばらしかったので、発売後すぐに買いました。大部なのでしばらくおいていたのですが、読み始めると上下巻一気に読み通すことになりました。
グリーンランドやヴァイキング、イースター島、ミクロネシアの島々、などの個々の物語はよく準備されたエピソードを絡めて進められており、今まで知らない世界を興味深く教えてくれて秀逸です。普段3年でも一昔のような近視眼的な業界で働いている固まり気味の頭を、文字文明前の悠久の歴史の中で、すっとほぐしてくれるような気分です。
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実にまっすぐなタイトルである。「鉄・銃・病原菌」の著者ジャレド・ダイアモンドによるものなので、さっさと購入したものの、読むのに時間がかかった。ここに書かれている問題に今すぐ応える必要が各国政府にあると思う。そういう行動をしている政府を知らないけれど。
かつて滅んだ社会がいかにして滅んだのか。今失敗している社会が似た境遇にありながらなんとかしている社会とどう違うのか。著者はともかく比較検討する。
それにしても人間はお粗末だな、と言うのが基本的な感想だ。どう考えても人間は頭が悪い。いや、どうも頭というのは理性よりも欲望が中心なんだなと思う。職場でペットボトルのリサイクルをしろといくら言ってもほとんどの人間ができないのでつくづく人間の馬鹿さ加減は知っているつもりだが、どうもそれ以下のようだ。これだけの行動もできないのだ。そう思うとこの本で語られるようなレベルに人間がなる前にどうも破綻しそうだ。
いいですか、みなさん、このままだと間違いなく50年で破綻するので、今のうちにケアしないと危ないですよ、と冷静に書いている。人類は近々生存を賭けたルビコン橋に至るようだ。私はこの橋を渡る前に人間はきっと考える、という方に賭けている。そのくらいの思考力はあると思うが、実際はどうなんだろうか。
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「生態系サービス」の言葉の意味と重要性が今一つ理解出来ないときにこいつを読むと劇薬。環境運動は偽善行為でも、慈善行為でもなく、至極シンプルにサバイバル技術なんだよと。
すごくいい本で面白くて読んだんだけど、途中でげんなりしちゃって下巻の続きを読めてない・・・
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なぜ文明が崩壊するのか?ピュリッツァー賞を受賞した著者は文明が崩壊する原因は主に環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応の5つの要因であると主張する。本書では実際に崩壊した過去のさまざまな文明を扱い筆者が主張する5つの要因に当てはめてながらとてもわかりやすく解説している。これはホント面白かった。まあとても分厚くて読むのに時間がかかると思っていたんだけど面白くて意外とすらすら読めてしまった。5つの原因だかこれは企業の崩壊に当てはめても興味深いね。崩壊が起きる原因は一つではなくいろいろな原因が複合的に絡み合って起こっていくことがよくわかる。
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「持続可能性(サスティナブル)」という表現は最近しきりに使われるが、具体的に私たちが何をすべきかとなると、昔ながらの省エネ・省資源の延長でしか語られていないことが多い。そもそも、持続可能な活動とそうでない活動を見分けることが一般消費者には容易でない。
イースター島やマヤなど、過去に高度な文明を築きながら崩壊した例は数多くある。いわば「持続不能」だったことになるが、彼らがなぜ滅亡を予見し避けることができなかったのか。そこからどのような教訓が得られ、現代の私たちはどのようにそれを活かせるのか。過去の例と現代の例を詳しく取り上げた上で、これから何をすべきか提言する。
基本的には環境問題に警鐘を鳴らす書であり、著者は環境保護主義者と呼ばれることも多いようだ。しかし、しばしば彼のような人物に投げ掛けられる「人間より鳥の方が大事なのか」という問い掛けに見られるような、文明を否定する内容では決してない。あくまでも、文明を滅亡から守る方法を論じている。
米国人によって書かれているが、日本についても何度か言及される。江戸時代の日本は国内の森林を持続させることに成功した例として。現代の日本は外国から大量の木材を輸入することでそれらの国の森林破壊を助長している国として。
モンタナの例、グリーンランドの例、オーストラリアの例などを読むと、世界に進出したヨーロッパ人の行動は、時に愚かとしか思えない場合もある。しかし日本人の行動も、愚かではないとしても最善とは言いがたい。残念ながら日本で進んでいる取り組みはまだ実効性が高いとは言いがたいだろう。
第3部まで様々な例を概観した上で語られる第4部の「将来への提言」は、見方によっては特に目新しいものではない。政治の取り組み、企業の取り組み、消費者のすべきこと。だが、多くの事例を観察した上で得られた結論には説得力を感じる。
古代社会と現代社会の大きな違いは、情報化、グローバル化、そして大企業という集団の存在と影響力だろう。しかし、個人(市民、消費者)の力は悲観するほど小さいものではない。著者の言う「慎重な楽観主義者」として、成功に繋がる選択を心がけたい。
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この書の要点としては、同じような状況でも、崩壊していく集団と存続してく集団を分けるものは何か?という事です。
主に環境破壊をどう文明が抑制できたか、できなかったか。
環境に適応できた集団とできなかった集団の差、などを中心に語られてます。
あえて、興味深かったポイントをあげると。
・イースター島はポリネシア人により900年ぐらいから移住がすすんだ。そして、イースター島の文明崩壊は、島民による森林破壊によりもたらされた。
・ヴァイキングが北太平洋に進出した6ヶ所の島や地域の存続と滅亡について。
・ケネディがキューバ危機で正しい意思決定をできた背景には、ピッグズ湾事件の大失態に反省をし、顧問団にも真剣に考えるよう指示した事。
■ピッグズ湾事件の審議での間違った決断を導きがちな特徴
1)表向きの合意の早まった察知
2)個人的な疑念や反対意見の表明に対する抑圧
3)集団の指導者(ケネディ)が意見の不一致を最小限にする方法で議論を進めたこと
■キューバ危機の審議
1)ケネディが疑念を捨てずに考えるよう参加者に命じた事
2)好き勝手な意見が言えるまで論議を重ねた事
3)複数の下位集団と別々にケネディが会談した事
4)自身が議論に影響を与えすぎないよう、時々席を外した事
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複数の文明・文化の崩壊要因・過程を分析していく。
考古学者の分析力と想像力ってすごいなと改めて感心させられた。
過去の文明崩壊過程を現在に当てはめて警鐘を鳴らすという構成に持っていこうとしているのかな。
P430 こういう類似性があるから、ノルウェー領グリーンランドの運命を、
単に脆弱な環境を抱えた辺境の小社会の問題で、われわれの住む大きな社会とは無縁のものだと片付けるわけには行かないのだ。
P413 不適切な条件のもとで人々が最も頑迷にこだわる価値観というのは、過去に、逆境に対する最も偉大な勝利をもたらしたものでもあるのだ。
社会規模が大きくなればなるほど、各個人・地域間の相互依存は高まっていく。
互いの強みを交換し合う過程が必要になる。
思えば現代は貿易を通じて過去最高のレベルで世界中が依存しあっている状態といえるのか。
著者の他出版も興味あるな。
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『銃・病原菌・鉄』の著者、ジャレド・ダイヤモンドの著書。
『銃・病原菌・鉄』が世界の地域ごとの発展要因を突き詰めたのに対し、『文明崩壊』は世界の崩壊した文明・地域に焦点を当て、その理由を探る。
スリルある展開という意味では前作の方が良かったが、こちらは現代社会に対し警鐘を鳴らす内容であり、非常に示唆に富んだ内容。
純粋に書物として面白いので、是非お読み頂きたい。
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