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みんなのレビュー71件

みんなの評価4.0

評価内訳

69 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

昭和30年代を懐かしい、っていう他人がおおいいんでしょうね。それは分かるんですが、どうも身勝手な妹っていうのが可愛くないんだなあ、ったく

2006/02/24 22:54

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

直木賞作家の新作です。受賞作をパスしたので、どんな作家なのか期待して読ませてもらいました。で、内容には関係ないんですがカバーがいいです。まず色がいい。小説にも出てくるお化け煙突を中央に配して、その向こうが夕焼け、というか沈んでいく太陽の光を受けて暖色に染まる雲でしょ、これがもうノスタルジックで。
しかもです、その色合いが夕闇が迫る色に染まりつつある町全体を暖かく包むわけです。向かって左側手前のタバコ屋さん、カウンターに置かれた公衆電話、その正面は交番でしょうか、入口の上に取り付けられた外灯の光の暖かさ。そしてその向こうにある時計、5:35分をさしているんですが文字盤の色が、いかにも古びていて手描き風です。
全部が線描ではないですし、手描きというわけではなくて色なんかも印刷のときにベタで指示したようなところもある、描かれる町にしても電信柱くらいはあってもいいかな、ちょっとスケールがなあ、この巾の路地に交番はないんじゃあないなんて思いもするんですけど、全体がいいんで納得ですね。装画・扉画でこういう技を見せるのは影山徹。装丁は、角川書店の装丁室でただ一人名前が公表されている高柳雅人。
『若いお巡りさん』がヒットした昭和32年、友人の弟がひき逃げされた。その解決を姉に頼み込んで「追憶の虹」。昭和33年、女子高校生が殺された「夏空への梯子」。昭和33年、東京タワーが完成した年、身近でおきた盗難事件「いつか夕陽の中で」。昭和34年、いまの天皇陛下がご成婚された年、姉の恋を描く「流星のまたたき」。昭和35年、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」が公開された年、知り合いのおばさんが逮捕された「春の悪魔」。
主人公はワッコこと上条和歌子で、このある種ゴーマンともいえる妹が、病弱で美しい姉鈴音巻き込んで、姉に事件を解決させるという、なんていうか虐待探偵小説みたいな連作集です。そのせいか、姉は27歳でこの世を去ることになります。ここらへん、正義感の強い人にはお勧めできませんねえ、妹のがわからのハラスメントでしょう。
では、なでワッコは姉を事件に引きずり込むのか。実は、体の弱いお姉さんは、人の過去を見ることができるのです。実際は過去ではなくて、ある時期の思い出、あるいは感情なんです。どこまでも遡れる、というわけではありませんし、それも人を介してだけか、といえば場であったり遺留品であったりとはするんですが、基本は本人を前にすれば、その人の最近の感情が見える。
で、姉のその能力に気づいたワッコは、それを人に吹聴する。動機は、自分の人気取り。具体的に言えば、ワッコが小学生の時近所にいた交番のお巡りさんの秦野に気に入られたいから。で、一見、人に良さそうな、それでいて成績を上げることに汲々としている軽薄なポリスは、そのことをさらに上司に報告する。
そこにつけ込んだのが、本庁の刑事で爬虫類の印象を与える神楽百合丸です。妹は姉のことなんかなんにも考えていないから、平然と事件現場に姉をやる。病弱で学校にも行っていない中三の少女に殺人現場を見させる。姉が倒れようが、苦しもうが自分だけが気に入られればいい。ワッコ、秦野、神楽、三人がさんにんともそういう人間です。
この鬼畜たちに苛められながら、姉は体を弱くしていく。とまあ、私は読むんですが、これは皮肉な読み方。普通の人は、昭和30年代、日本が高度成長の波に乗ろうとする直前の下町を舞台に、過去を見ることのできる美しい姉と、姉を慕う妹が解決する事件の数々、ってな読書をするんでしょう。でも、繰り返しますが、私には主人公の身勝手さだけが見苦しく映ります。
お話としても、どこかで読んだような。これで直木賞か・・・

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紙の本

姉さまのあの力は人を救いもしましたが…。昭和30年代を背景にした切ない短編集。

2007/11/03 17:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る

舞台は昭和30年代。過去を見ることができる少女鈴音とその妹、和歌子が事件に関わることによって知る真実と哀しみの5編。

上手い作家さんです。この作品も、昭和30年代を背景に東京の千住を舞台に暮らす姉妹が関わる事件。鈴音という過去を見ることができるという超能力をもつ少女が解決していく物語。しかし、決して解決がいいことではなく、知らなくていいことまで知ってしまう悲しみ。それがやはり切ない。

わたしが好きなのは「夏空への梯子」と「流星のまたたき」
昭和30年代の世相と時代背景が痛切に伝わってくる。それはわたし達が決して忘れてはいけないこと。戦争の傷も深く残っていたんですね。
「流星のまたたき」には涙なくして読めない。

登場人物もそれぞれが個性的。妹和歌子もそうだが、わたしは母親が好き。川原まで連れて行って柔道技でぶん投げるシーンは圧巻。そして悲しい過去から立ち直る茜。鈴音に思いを寄せる警官秦野、強面の刑事の神楽(実はすごく優しい)などなど。

語り口が昔話の感覚ではあるが…、少年の犯罪、差別や原爆が残しているものなど現在も考えさせられます。お化け煙突が示す急速な近代化。
こんな対比も本当に朱川さんは上手いと思う。

この話は何だか続きがありそうです。
特殊な能力よりもわたしは不思議な話の方が好きなのですが。切なさが漂うこの短編集を一読されたい。

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紙の本

作者のセンスが光る物語

2006/06/13 20:23

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る

何だか不思議な、心温まる物語が五つ。それはほのぼの、と言っていいくらいの気持ちよさだけれど、それだけでは終わらせない、犯罪というものを考えることを促すストーリーにもなっている。語り手・和歌子の美しき姉・鈴音にはものを見つめることによってそれにまつわる「過去」を「見て」しまう能力がある。この超能力設定、決してこの物語をこわしていない。なぜなら刑事の要請によって、或いは和歌子自身の頼みによってその能力を駆使する度に鈴音は傷つき、倒れてしまうほどのショックを受けるからである。それが彼女の存在を逆に本物にしている。病身で、すぐくずれおれてしまう彼女だからこそ、この能力を得ているのだ、と読者は自然に納得するはずだ。それにこの能力が決していいものではないことを彼女自身が知っているし、数々の事件でそれが証明されていく。
ああ、もどかしい。何だかこんな風に書いてくるとこの本は陰鬱な作品なようではないか。そうではないことを私はここに宣言する。正直言って世間で賞賛された『花まんま』や『かたみ歌』は、私にはそれほどしっくりこなかった。それは、それらの作品の底辺に漂う暗さを私が感じ取ってしまうからだった。けれど、今回の作品は、暗くなるような事件を取り上げつつも、なおかつ明るくやわらかな雰囲気に満ちている。そこが何よりいい。礼儀に厳しい母親にしつけられた和歌子の語り口は「姉さまは〜しました」というような、下手をすればべったり口調になりそうなものなのだが、それも和歌子のお転婆な性格のためか懐かしい語り口調にとどまっている。要するに、語り口としても成功している。
一篇一篇のよさについては実際に読んで味わっていただきたい。ここで一篇一篇に触れていると切りがなさそうなので…ただ、「わくらば」この本に出会えたことを喜んで、ここに記すものである。
(蛇足)作中、「このお話はまたべつの機会に…」という表現がしばしば見られるのだが、これ、続きを期待してよいものなのだろうか?そうでないと、どうも収まりがつかないのだが。

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2006/03/22 08:29

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2006/06/16 23:11

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2006/09/17 01:58

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2006/12/17 21:33

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2007/04/29 16:59

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2007/05/10 14:03

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2008/03/23 15:18

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2008/04/18 23:06

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2006/09/25 00:00

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2009/03/18 11:12

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