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ローマ人の物語 14 キリストの勝利 みんなのレビュー

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みんなのレビュー26件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (8件)
  • 星 4 (10件)
  • 星 3 (5件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
26 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

多様性が失われていく斜陽のローマを描く

2006/01/06 23:40

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アラン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本シリーズも本巻を含め、いよいよ2巻を残すのみとなった。誠に寂しい限りである。本巻は、大帝と呼ばれたコンスタンティヌスの死直後から、これまた大帝と呼ばれたテオドシウスが死し、帝国が東西に分裂するまでを描いている。題名のとおり、キリスト教が帝国のヘゲモニーを握り、ローマ発展を支えていた寛容の精神が失われていく様が描かれている。本巻では、“背教者”ユリアヌスが歴史の流れ(?)に抗してギリシア・ローマ古来の神への信仰を復活させようとしたのを除けば、一貫して他の皇帝たちはキリスト教を保護・優遇し、テオドシウス帝の治世でついにキリスト教がローマ帝国の国教となるに至った。
 著者はキリスト教を大変嫌っているようである。あるいは多様性を愛し排他性を嫌っていると言った方が正確かもしれない。正直言って本巻の最初の1/3は、文章に力がこもっておらず、著者も手を抜いているかと思ったが、ユリアヌス帝の章になると、文章がとても活き活きしてきて、引き込まれていった。キリスト教中興の祖とでも言える司教アンブロシウスの章についても、ローマのよさが失われていくことが鮮やかに描かれているという点で、これまた文章に引き込まれていく。そして最終巻で蛮族に帝国が乗っ取られることが暗示されている。次巻を早く読みたくて待ち遠しい一方、最終巻となるのは大変残念であり、すこぶる複雑な心境である。

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紙の本

カエサルを扱った巻を除けば、一番分かりやすかったかかもしれません。なんたって、あの「背教者ユリアヌス」が登場するんですから・・・

2006/03/04 21:23

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

さてさて、10年以上読みつづけてきたこの塩野ローマ史も残すところ一冊になってしまいました。今年の暮には、最後の一冊が出てしまう。次は何を書いてくれるのかな、少し休養かな、でももっと塩野に教えて欲しいことがあるしなあ、なんて思います。で、今回のカバー写真、結構ショボイです。なんだ?このオッサンは、と思う方も多いのでしょう。それへの対策はちゃんとうってあります。
彼の名は聖アンブロシウス、ミラノの聖人に列せられるほどの人物だそうです。私、全く知りません。で、「読者に」のあとのほうで、何故この巻の表紙にアンブロシウスが選ばれたか、その理由が書かれています。要するに、時代を表わす顔なんですが、今までの雄々しい皇帝たちに対して、どこか卑しい顔つきですよね。それがキリスト教である、とは私の勝手な理解です。
本の構成を書いておけば、「読者に」に始まり、第一部 皇帝コンスタンティウス(在位、紀元三三七年から三六一年)、第二部 皇帝ユリアヌス(在位、紀元三六一年から三六三年)、第三部 司教アンブロシウス(在位、紀元七四年から三九七年)、年表、参考文献1、図版出典一覧6、ということになっています。
で、この時代がどんな時代であったのか、各部の章のタイトルからキーとなるものを書いておきましょう。まず第一部では、「コンスタンティウスとキリスト教」「ゲルマン民族」「ローマでの最後の凱旋式」。第二部では「ササン朝ペルシア」「「背教者」ユリアヌス」「対キリスト教宣戦布告」。第三部では「フン族登場」「「異端」排斥」「キリスト教、ローマ帝国の国教に」といったところです。
最初にキリスト教を公認したのが、後世から「大帝」の尊称づきで呼ばれるコンスタンティウスで、彼の死が紀元三三七年で、この巻で取り上げられるコンスタンティウスはその三男。で、ユリアヌスは甥にあたります。私だけなんでしょうが、カイサルのあたりを別にすれば、結構、名前だけは朧気に頭に残るんですが、人物相互の関係が意外と理解しにくかったりしていた権力者たち。でも、この巻だけはそこが理解しやすいです。
しかも、読んでいて思うんですね、いよいよ出たか「背教者ユリアヌス」って。そう、この本の中で塩野も言及している辻邦生の傑作『背教者ユリアヌス』、その人が第二部で出てきます。背教者、っていうのが如何に勝手な命名であるか、キリスト教の害毒というのは果てしないなあ、何て思うんです。
その道を開いたのが第一部の主人公・皇帝コンスタンティウスであり、その父親であるコンスタンティウス大帝です。そして、着々と布石をうって、キリスト教を世界宗教にし、現在の世界の混乱の元を作った男というのが、冒頭で私がショボイ、と書いた司教アンブロシウスです。裏に回って画策する官僚みたいな奴です。
ともかく、ローマとキリスト教の関係が手に取るように解ります。個人的に思うんですが、今まで出た14巻のなかでも読みやすさで言ったらベストではないかな、そんな気がします。なぜ20世紀が戦争の時代であり、21世紀がテロの時代であるのか。もし、ユリアヌスがあと10年生き長らえていたらこの悲惨はなかったのではないか、そうすれば黒船はなく、当然、鎖国も開国もなく、明治維新や天皇制や帝国軍人といった悪夢のような存在もなかったはず、なんて夢想もできます。
策士をアンブロシウス描いたモザイクはミラノ・サンタンブロージョ教会所蔵だそうです、装幀は勿論、新潮社装幀室。

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紙の本

真の哲人皇帝

2007/12/29 00:10

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『ローマ人の物語』第14巻の表紙を飾る人物は、聖アンブロシウス。これまでのシリーズ、特に帝政期からの巻の表紙に現れたのは、皇帝など政治的リーダーばかりであった。ついにキリスト教がローマの国教となる過程を描いた本巻の表紙が、それの聖職者であるというのは、意味深長である。アンブロシウスは、ミラノ勅令によって市民権を得たキリスト教を、国教とさせるべくテオドシウス帝に働きかけ、最終的に同宗教がローマを支配することを可能にした人物である。そして彼は、その前では皇帝さえも跪かざるをえないほどの絶大なる権威を確立した。表紙の肖像画でもって作者の塩野が暗示したかったのは、キリスト教が国教となったローマで事実上の権力を握ったのは、皇帝ではなく教会であったということであろう。
 それはともかく、私がこの巻で最も心を惹かれた人物は、アンブロシウスの少し前に出た皇帝ユリアヌスである。彼は、コンスタンティヌス帝没後、息子のコンスタンティウス2世による粛清の中で生き残った、数少ないコンスタンティヌスの親族の一人であった。事実上幽閉の状態で哲学のみを友としながら青少年時代を送った彼は、兄ガルスの処刑後、突如ガリアの副帝として、ゲルマン人征伐の総指揮を任される。軍事も何も知らない彼は、コンスタンティウスからの後方支援もなく、軍団からは冷笑で迎えられた。しかし、彼にはこつこつと仕事を行う忍耐と責任感があった。また、若い頃から親しんでいたギリシア哲学の恩恵もあった。くじけそうになったとき、彼はよくこう叫んで自らを鼓舞したという。「おゝ、プラトン、プラトン、哲学の一学徒というのに何たる大仕事!」
 そして、このひよわな哲学青年が、もてるかぎりの力を発揮して軍隊を指揮した結果、なんと彼は蛮族を撃退したのである!その後も持ち前の健気さで、内政もよくこなしたユリアヌスに対して、以前はあざけりと猜疑の目で見ていた兵士たちも、全幅の信頼と尊敬を寄せるようになり、ついには彼を自分たちの皇帝と仰ぐようになる。やがてコンスタンティウス2世の死後、彼はただ一人の皇帝となる。
 皇帝になってからの政策から、後世ひとはユリアヌスのことを「背教者」と呼ぶようになる。なぜなら彼は、キリスト教会にのみ認められるようになった免税などの特権を廃止するなど、キリスト教一色となったローマの社会をもとの、多神教国家にもどそうとしたからである。これに関して、塩野は次のように書いている。
 ―ユリウス・カエサルもアウグストゥスも・・・ユダヤやガリアやゲルマンの神々への信仰はなかった。だが、それを信じている人の信仰心は尊重したのである。お稲荷さんを祭った神社の前を通ってもお参りはしないが、その前で不敬な振る舞いはしないということだ。この種の寛容とは、多種多様な生活習慣をもつ人間が共に生きていくうえでの智恵の一つなのだが...それが失われつつあるのを見かねての、ユリアヌスが発した「全面的な寛容」であった―
 だが、このような政策も、キリスト教一色に染まりつつあったローマ社会の流れを変えることはできず、結局ユリアヌスは東方遠征の最中、敵の槍に当たってこの世を去る。皇帝在位わずか19ヶ月間という31歳の死であった。
 『ローマ人』シリーズを読み進んでいく中で、自ら哲学を愛好する私は、ローマ史に現れる哲学者にはキケロ、セネカなど器の小さな者が多く、あの哲人賢帝マルクス・アウレリウスさえも実はそれほど賢明な政治を行ったわけではないということを知らされ、哲学者に対する信頼を失いつつあった。しかし、このユリアヌスの章に至って、真に哲学を自己の糧としながら、立派な足跡を歴史に刻んだ人物に会えたような気がした。ユリアヌスこそ、消えつつある古きよきローマをとりもどし、それを守ろうとした真にローマ人らしい偉大な皇帝であった。死の直前に、彼が自分の人生と信念を語った、いかにも哲学者らしい言葉を読めば、心ある者は誰しも涙せずにいられないだろう。
 しかし、こんなにも愛すべき人の死後、ふたたびキリスト教は勢力をひろげ、策士アンブロシウスの企みは成功をおさめる。そして、ついにはこの巻のタイトル通り、キリストが勝利するのであった。

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背教者ユリアヌス

2023/11/14 10:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

古代ローマ帝国を支えた大きな特長の一つ「寛容性 多様性」がキリスト教によってどんどん失われ、帝国が変質してゆく過程を、憤りを含めながら語っている。作者の一神教嫌いが明確出ている作品である。息抜きの部分は、かなり前に辻邦生の名著「背教者ユリアヌス」を読んでいたので、本書も彼が主人公である章はワクワクしながら読むことができた。

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なんだか先が読みたいような読みたくないような……

2006/07/08 05:48

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ローマ人の物語」も残りわずか,案の定というかまたしてもというか,とにかくどんどんローマのローマらしき美点,ローマ人のローマ人らしき合理的精神が「溶解」していくさまを描くのは著者にとっても辛いらしく(そりゃそうだ,ふつう何かを好きになるのはその対象物の勃興・隆盛の時であって衰退期ぢゃない。貴乃花が休場ばっかりしているのでファンになった,というヒトはいないだろう?),筆の進みも渋りがち,読んでおるこっちにもそれが伝染してしまい,なんだか先が読みたいような読みたくないような(読んぢゃうんだけどね)妙な気分になる。
時代は「ミラノ勅令」のコンスタンティヌス帝の跡を継いだ親戚殺しのコンスタンティウス帝,彼がやむなく後継にした(なにしろ他の血縁者を全部殺しちゃってたから)「背教者」ユリアヌス帝の治世を経て,ついに帝国がキリスト教に呑み込まれるまで。オレにとって結構メウロコだったのは,ローマ市民にキリスト教が流行した理由のひとつがコンスタンティヌス帝による「キリスト教徒への免税」だったこと,それからテオドシウス帝がはっきり「キリスト教国教化」へカジを取ったときの「廃仏毀釈」が,本邦明治維新のときのそれより陰惨苛烈を極めたこと。皮肉なことに「ウチの中で先祖に祈りを捧げるだけでも死罪」つうのは,江戸幕府がキリシタンに対して行なった弾圧を彷彿とさせる。げにおそろしき,めぐる因果は糸車(ちょっと違うか)。

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2006/02/02 22:46

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2006/02/13 22:18

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2007/10/04 12:48

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2011/03/26 00:25

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2010/12/23 18:25

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