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神無き月十番目の夜 みんなのレビュー

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みんなのレビュー38件

みんなの評価4.2

評価内訳

6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

横暴な領主に叛旗を翻し滅んで行った人々へ捧げられた鎮魂歌

2006/04/05 23:42

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

飯嶋和一氏は、これまで誰も取り上げたことがない人物を主人公にした歴史小説を幾つか書いている。歴史上の著名な英雄や英傑たちを主役にしたものが多い歴史小説の中にあって、著者のように忘れ去られた人々や敗者を真正面から描く作家は貴重な存在と言える。
本書の登場人物も歴史の表舞台には登場しない人々ばかりであるが、著者の練達した筆致によってユニークな歴史小説となっている。話は、藩命を受けた侍が、急に無人になってしまった山間の村を訪れるところから始まる。少し前まで村人たちが通常に生活していた痕跡が残っているにもかかわらず、村人たちは一人残さずどこに消えてしまったのか・・・。
このようなミステリアスなシーンから始まる歴史小説も珍しいが、中々魅力的な書き出しと言えよう。
小説の書評という性格上、ストーリーに詳しく立ち入ることはできないが、飯嶋氏は、小説のテーマになりにくいと思われる村の地侍や農民たちと領主たちとの争いを巧みに描いている。それは、主人公の地侍が初陣を飾る戦闘の躍動感溢れる描写や過酷な検地の模様、舞台となる村が攻められるシーンなどによく現れている。また、登場人物たちの人間的な弱さや卑小さも余すところ無く描かれており、作品に奥行きを与えている。
加えて、この作品を魅惑的なものにしているのは、民俗的な知見が随所に盛り込まれていることである。舞台となっている村自体、一種の桃源郷として設定されており、先に紹介した冒頭のシーンなどは伝説や昔話で語られているような隠れ里に足を踏み入れる趣さえ漂っている。
また、領主側の軍勢に追われた村人たちが逃げ込んだ避難先が、「サンリン」と呼ばれるところであり、そこに逃げ込めば世俗の権力は一切手出しができないアジールという設定になっているのも興味深い。著者は、このような民俗学的な知見を取り入れて物語に膨らみを与えている。
最近、歴史上の敗者を描く小説は比較的多く見かけるようになって来たが、その中にあっても本書は、権力の横暴さの前に滅んで行った人々の無念さがひしひしと伝わってくる傑作となっている。

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電子書籍

不気味さ満点の本

2022/04/09 20:58

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

表面的な不気味さ スリラーではなく、人間の持つ本質的な残酷さ不合理さが静謐な文体で描き出され、「不気味さ」が漂う作品に仕上がっている。作者 飯嶋和一は、別の作品 例えば「雷電本紀」などでは権力に反抗する強い意志の持ち主を主人公としているが、この作品では不条理な権力に偶然とも言える齟齬によって押しつぶされてゆく無力な人々を描いている。筆致が巧みなだけに救いのない物語である。

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紙の本

全く救いがない

2020/07/05 21:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作家の作品を読むのは、島原の乱を題材にした「出星前夜」以来。この作品は前に読んだ作品と違って常陸国で起こった百姓一揆の生瀬騒動を題材にしているが、この事件が本当に起こったものなのか、伝説なのか定かではない点。検地というのは役人の胸先三寸で決まる農民にとっては過酷な仕組みだったようだが、この小説の舞台になっている小生瀬村のそれもまさしく過酷なものだった。「出星前夜」も救いのない悲劇の物語であったが、歴史に埋もれてしまったこの小説にでてくる主人公の藤九郎や辰蔵、直次郎の運命には何の救いもない、村人ほぼ全員が惨殺されてしまったのだから。でも、この騒動に救いを付け足すよりかはいいと思う。

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紙の本

読み応え十分な良品

2017/05/16 20:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る

初見の作家さんです。

これは中々読み応えのある作品でした。

時代は関ヶ原の2年後、旧来の支配者であった佐竹義宣が徳川家康により秋田へ移封されたことで新たに徳川家の御領地となる村の物語です。
この時代は織田家の軍以外は基本、戦の時だけ足軽として徴用される半農半士の者も多く、殿様大名が変わったり、他所へ移っても召しかかえの家臣以外はその土地から離れない者が多かったようです。
ですので、その土地の新たな支配者となった者は、基本従来の村の統治体制を自らの障害とならない限りは維持する形で統治する方が一般的だったのでしょう。
中世からの武士による領民統治が長く続いた土地では百姓はただただ支配者である武士に年貢を納めるだけにのみ存在する者として扱われ、百姓の方もこの時代ではある意味思考停止してそれを受け入れていたのかもしれません。

そんな中、新たに佐竹家から徳川家に支配者が変わり、徳川家による検地が行われることになり、その結果これまでの支配とは比べることもできないほど苛烈な暮らしになることに気付いた者たちの中で抵抗することを選んだ者達の滅びの姿が丹念に切々と描かれています。

普通なら過剰なまでの残酷な対応をする徳川家の武士が悪役で憎まれ役であっても良さそうですが、そう単純に割り切れないものを読む者に考えさせるところがこの作品の奥の深さであり著者の凄いところだと思いました。

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紙の本

神無き月十番目の夜

2013/03/06 15:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:jkj - この投稿者のレビュー一覧を見る

まさに神も仏もないお話でした。

小さな勘違いとか、嫉妬とか、ほんの些細なズレで全てが狂っていく。しかも最悪な方へ。

他人事ではないと思う分、本当に怖い。

もっとミステリー的な要素を期待していた自分には少し物足りない部分もありましたが

戦国時代にもこんなにも魅力的な風土を培って美しく、楽しく生活を送った人々がいたんだな、と

複雑だけれどそう思いました。

勇敢な彼らの魂が安らかでありますように。

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電子書籍

メンタルの弱っている方にはおすすめしません

2022/01/03 20:52

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mdr - この投稿者のレビュー一覧を見る

不勉強で元ネタになった生瀬騒動という史実を全く知りませんでしたが、非常に興味深い事件(?)ですね。プロローグを読めば「何が起こったか」はわかるし、以前同じ著者の「出星前夜」を読んでいたので、後の流れはだいたい予想がつきました。資料にある小さな記録からここまでの物語を紡ぎだす力は素晴らしく、読み応えも十分な力作ですが、どうにも凄惨すぎて読後感が悪く、また2作読んで、ある意味よく似ており著者の問題意識というか描きたいことはわかったような気がしたので、もうこの人の著作をこれ以上読むことはないかな、という感想を持ちました。もういいです、私は。
 個人的な好みですが、プロローグがよかったのでエピローグで時系列を戻して締めて欲しかったです。

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