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9番教室のなぞ 幽霊からのメッセージ がんばれフランキー・DBNT! みんなのレビュー

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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.7

評価内訳

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紙の本

ディスレクシアだからこそ解けたなぞ

2009/08/10 05:36

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初のページの謝辞に、こんな言葉がある。

「特に、読んだり書いたりするときの困難さを話してくれて、
実際の手書きの文字を参考として貸してくれた子どもたち、
また、そうした子どもたちを支援している先生方には
あらためてお礼を申し上げます。」

本書は、ディスレクシアの当事者や家族、支援している先生、
ディスレクシア協会等の協力を得て書かれた本なのである。

巻末には、
「保護者や教育関係者の方へ―ディスレクシア(読み書き困難)について」
という東京学芸大学教授の小池敏英氏の論考もついている。

2005年12月出版。

書名にディスレクシアと入っていなかったために、
見逃してしまっていたのだが、結構前に出版されていたのだ。

本書は、ディスレクシアの少年を主人公とした
ミステリー仕立て、ホラー仕立ての児童書である。

主人公のフランキーは、
ディスレクシアの当事者の協力を得ていることがうまく生かされていて、
ディスレクシア的な特徴と本人のキャラクターとがうまくマッチした、
読者が共感できる少年になっている。

彼は、フランキー・ラグルズ・DBNT。

彼が自分につける、DBNTにはちゃんと意味があるのだが、
それは、最後まで読んでのお楽しみ。

混乱しそうになったとき、落ち込みそうになったとき、
心無い人の言葉で傷つきそうなとき、
フランキーは、いつものモットーをこころの中でとなえる。

「背すじをのばせ、フランキー、自信を持つんだ!」

この言葉は、太字で何度も表れる。

これは、フランキーの言葉だけではない。

著者が接した多くのディスレクシアの子どもたちが
自分にかけていた言葉だったに違いない。

どれほど、セルフ・エスティームが大事かを、フランキーは知っている。

彼は、自分の励ます言葉をたくさん持っていて、心の中でかけ続けている。

ディスレクシアの特徴は、随所に織り込まれている。

文字が躍りだして、順番が変わってしまうこと、

言葉からイメージが出るから、
自分の名前を絵にするような課題は得意なこと、

毎回どうやって逃げ出そうか知恵を絞って悩むくらいに、
音読が苦手なこと、

将来のことを思うと不安になること・・・。

母親は、フランキーのためにディスレクシアの情報を
いつも集めているような熱心な人。

「フランキーは、レオナルド・ダ・ヴィンチのように創造力があるのよ」
と言ったように、ディスレクシアといわれている
有名な人を引き合いに出して、フランキーを褒める。

毎日、読み聞かせもする。

フランキーは、ダ・ヴィンチのように絵がとびぬけて
うまいわけでもないし、すごい発明ができるわけでもないし、
ダンカン・グッドヒューのように
オリンピックで金メダルをとる水泳選手でもないし・・・・と
おおげさな母親の反応にちょっと困ってもいる。

彼女は、赤ちゃんのときにハイハイが足りなかった説を聞けば
ハイハイを試し、
両方の目の像がうまく結びつかないから字が読みにくいんだから
片目で見ればよいという説を聞けば、眼帯を試す。

熱心なお母さんは、学校にディスレクシアを理解しない先生がいると、
真っ向からけんかを売ってしまう。

それで、フランキーは前の学校を転校して、
この聖オウラフ学校に来たのだ。

「ぼくはフランキー・ラグルズ・DBNTだ。そこそこうまくやってければそれでいいんだ」と思っている。

イギリスの学校がディスレクシアをどう支援しているのかも、
本書から読み取ることができる。

たとえば、授業のときに集中がそれたら注意したり、
今どこをやっているかなどを教えてくれるような
サポートにつくクラスメートがいる。

イギリスにも、いじわるな先生や友達もいるのだろうが、
支援がより自然な形で準備されているのだと感じる。

いじわるな先生といえば、
絵に描いたようないじわるな先生・ドックブル先生は
本書のキーとなる登場人物の一人である。

9番教室に現れる幽霊は、フランキーにしか見えない。

ペイシャンスのおじさんも幽霊が見えたらしいけれど、
今はオーストラリアにいる。

幽霊は、黒板に文字を残していく。

これは、フランキーだからこそ、読み取れた。

「ディスレクシアでも読み取れた」ではなくて、
「ディスレクシアだからこそ読み取れた」というところが深い。

学校の歴史を紐解いていくうち、フランキーは幽霊の正体、
そして、幽霊がどんな人だったのかがわかっていく。

幽霊は、なぜ現れるのか、なぜフランキーにだけ見えるのか、
黒板のメッセージは何を伝えようとしているのか。

ホラー系、ミステリー系のもつ、
どこか悲しい、どこか切ない雰囲気は確かにあるのだが、
この作品は、いろいろあっても、最後は前向きになれる作品である。

すべての謎が解けたとき、悲しさと切なさだけでなく、爽快感があった。

自身と息子のディスレクシアについて語った藤堂栄子氏が本の題名とした
『ディスレクシアでも大丈夫!』。

フランキーには、まさに、この言葉がまさにぴったりなのである。

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2008/10/18 10:44

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/09/14 20:28

投稿元:ブクログ

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